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避けて通れない悩ましき死後の問題

カテゴリー: ロングステイの光と影 | 2008.05.24 Saturday

 

 当誌第116号まで「ギャ!ギャップ!(これって常識?非常識?)」を連載していたのがロバート・H・スガさん。1月早々に、そのスガさんよりロングステイに関する意見コラムが当編集部に寄せられてきました。
 その意見コラムの対象者は一般のロングステイヤーというよりも、タイ人配偶者や内縁関係のタイ人を得ての定住日本人だと思われます。しかし、広い意味では、そのような定住日本人もロングステイヤーの範疇に入れる考える方もなきにしもあらずです。いずれにせよ、まずはスガさんの意見コラムを以下に紹介することに。

 新しい年が明けたばかりなのに縁起でもないとお叱りを受けるかも知れないが、「正月や冥土の道の一里塚、目出度くもあり目出度くもなし」の狂歌の通り、中高年のロングステイヤーにとってはもう視野の内の問題なので、敢えてこのコラムを呈する次第です。
 正真正銘の単身者なら、領事館邦人援護課のお手数を煩わして日本の親族や知人に連絡し、彼らによって幕が引かれるでしょう。これでも結構なトラブルですが、その範囲は日本人側のみに限定されます。一方、正式の婚姻であるなしにかかわらず、タイ人女性を同伴者としている男性はこれでは済みません。その殆どが娘か孫くらいの年令差がありますから、当然女性は長い余生を控えています。また99%といってよい程、女性の方は資産がなくタイ社会の平均収入以下で自立する経済力に欠けていたでしょう。そして、それが二人が結ばれる最大の理由であったはずです。失礼ですが、日本では鼻を摘んで通る人は沢山あっても、振返ってくれる女(ひと)などなかった貴方。その貴方が彼女を得て、カルチャーの大きく違うタイで比較的トラブルもなく楽しい第二の人生を送っています。
 そのために彼女には十分な代償を払い、中にはその親族にまで十二分の施しをしています。だが貴方が亡くなり、それらがゼロになったらこれは大きなトラブルです。「私も貴女も昨日までは楽しかった」、でも「その夢は今日まで、お互い様じゃないか? ハイ、それまでよ。バイバイ!」で済まされるでしょうか?
「ロングステイヤーに使い捨てされた」「タイの女は、乗り捨て自由のレンタカーじゃない」と言われて、未だ生き残っているロングステイヤー達が白い目で見られ、後に日タイの歴史に汚点が残りはしないだろうか?
 年金を財源にしていた人は収入ゼロになります。本当は正式の婚姻関係がなく国籍が違っても、同居していた家族には遺族年金が残ります。だが、日本の社会保険庁への受給申請は言葉の壁、両国の制度の違い、物理的な距離などの難しい問題が出てきます。だから、日頃からの準備と有能な助っ人がいないと、女性本人だけでは絶対に無理で、面倒な事を嫌うタイ人の性格から権利放棄になりかねません。退職金や資産を処分して持ち込んだお金や、男性名義で購入出来たコンドーは残り、正妻ならば当然その権利があります。が、日本の親族などからどんなクレームが出ないとは限りません。資産の一部が日本に残っていても、これまで無事に相続する事は先ず不可能でしょう。女性の名義を借りて購入した不動産は常識的には問題ないはずですが、事実男性が全て支払っていた事を理由に、男性側親族からクレームついたら対抗出来るでしょうか? 最悪のケースは銀行融資に残高があったら、ゼロどころか彼女に借金を残す事にもなりかねません。 
 このように列挙していけば、経済問題だけでも、普段から研究し話し合いや手配をしておかないと間に合いません。ですから、お屠蘇気分の覚めた所で、「若し俺が死んだら?」を検討課題として充分に考え、準備される事をお勧めするわけです。

 以上がスガさんからの意見コラムです。この問題に直接ないしは間接的に関係のある方は、「うーん、そういう差し迫った問題が生じてくるとは??!!」と考え込んでしまうのではないでしょうか。
 このコラムを読んで、実際にあったケースを思い起こした。それは長年タイ人女性と内縁関係にあった日本人老人が、病に倒れて入院して意識不明、昏睡状態の後に病死。もちろん、遺書などはなにもないが、老人はこちらタイの銀行にある程度の額の貯金を残してあった。日本からやってきた老人の息子さんと内縁関係にあったタイ人女性との間で、老人の残した貯金の分配を巡ってややこしい問題が起こったそうだ。一時は、内縁関係のタイ人女性が、残した貯金を巡って裁判に訴える寸前までこじれたそうだ。
 上記のコラムでも指摘されているように、年金受給を受けている、あるいは、年金受給待ちの日本人定住者は、チェンマイ、チェンラーイを中心として北タイにはまあまあの数がいるようだ。その人たちが「予期せぬ病での急死や、不幸な事故死の場合」に備えて、安心と信頼の相互扶助グループを自分達でつくる必要があろうかと。ただし、こればかりは、見知らぬ人やよくない噂のある日本人を完璧に排除する厳格さが必要となろう。なにせ、死後に残った財産や遺族年金手続きなどを託するので、それをネコババされてはたまったものでない。少しでも信用の置けない人には、絶対に託するわけにはいかないであろうから。となると、どうしたらよいものだろうか?


(118号掲載)

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日本を棄てたニッポン人

カテゴリー: ロングステイの光と影 | 2007.12.06 Thursday

 

「トロピカーナ」が一躍有名に!


 先日、日本では「NNNドキュメント」番組で「アパート・トロピカーナ/日本を棄てたニッポン人」が放映された。その番組の内容案内は『タイ北部チェンマイにあるアパート「トロピカーナ」。20室全てがロングステイの日本人でうまっている。年金暮らしの夫婦や早期退職をした50代、残業生活に疲れた元会社員など。チェンマイの在留邦人2000人のうち約半数が50歳以上。観光客でも駐在員でもない彼らは、ただ生きるためにここにいる。優雅なライフスタイルの象徴だった海外ロングステイ。最近では「生活に余裕がなく物価の安い海外へ」という人が多い。その多くは「年金」「介護」「家族の崩壊」といった日本にある様々な問題を抱えていた』とのふれこみ。
 まずお断りしておくが、その番組をまだ視ていないということで、述べさせていただくのをご了解いただきたい。「トロピカーナ」だが、そこのタイ人オーナー女性の旦那さんが日本人のYさんで、彼がアパートのロビーに常駐している。その彼とは、そのアパートが新築オープン前から、親しくお付き合いさせていただいている。オープン前の真新しい部屋などを見させていただいたとき、「この部屋を月5千バーツで貸す予定です」と彼は言う。この賃貸料金には私だけでなく同行したTさんも驚いた。
 四角い濠の近くと市内中心部の便利この上ない立地条件で、かつ路地の奥まった静かな場所。部屋に台所はないが、エアコン付きで日本人用にとバスタブも設置。これで月5千バーツは安すぎると驚いた。それにその月5千バーツの安さでは、日本の年配男性や老人が現地の愛人を連れ込んだり、あるいは、6万バーツ払って簡単に1年契約して占領するのではなどと危惧した。賃貸料をそれなりに高くすれば、それに見合う良い客が来るようになるのでは、などと彼と話したものだ。
 ところが、便利な立地で新築の綺麗な部屋を、月5千バーツの安い賃貸料でオープンし、それを数年間も継続。最近は少し値上げしたようだが…。オープンしてからしばらくは、よからぬ人も入居してよろしくない噂も出るなど、オーナーの奥さんや旦那さんの彼も苦労したらしい。しかし、何よりも面倒見の良い日本人の彼の好感の持てる人柄で、次第に良い日本人が入居、ないしは宿泊するように。最近では、全室フル稼動で、新しい方の入居は困難という状態らしい。
 チェンマイ在住者やチェンマイ・ロングステイヤーで、その入居者がすべて日本人の「トロピカーナ」を知らない人は少ない。その上に今回のTV放映で、日本でも広く知らしめることになってしまった。今後の「トロピカーナ」の日本人ロングステイヤーの動向や推移に注目したいものである。

「日本を棄てたニッポン人」とは誰?


 TVや週刊誌や新聞などが、これまでに幾度も飽きずに「チェンマイ・ロングステイ」をセンセーショナルに取り上げてきた。まずは注目を引き寄せるために、刺激的というか過激なタイトルをつける。今回のTV放映もズバリ「日本を棄てたニッポン人」と、かなり強烈で過激なタイトル。すでに舞台となったトロピカーナ住民の間では、「私ら何も日本を棄ててませんよ!」との反論の声が出ているとかいないとか(?)。
 そのタイトルがずばり示すように、今回のTV放映は「チェンマイ・ロングステイの影」を全面に出している。4年前の2003年の当誌第10号から現在まで、このコラム「ロングステイの光と影」で、おもにロングステイの影の部分を断続的に掲載。今さら「チェンマイ・ロングステイの影」に注目しても、すっかり色褪せてしまっているテーマにさえ思える。
 それでも、日本では今後とも「素晴らしきチェンマイ・ロングステイ」として、雑誌やロングステイ関連業者が飽きずに喧伝するであろう。その意味では、甘い夢を破るようなチェンマイ・ロングステイの現実の一面のTV放映は、新しい切り口としてそれなりの評価を与えたい。そして今後は、意義ある、生きがいのある、現地との交流のあるロングステイにスポットライトを向けたいものである。
 今回のTV放映で、チェンマイ・ロングステイヤーが「チェンマイ・ロング棄てやー」に聞こえるようになってきた??!!


(111号掲載)

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年配・老人ロングステイヤーの結婚(4)

カテゴリー: ロングステイの光と影 | 2007.12.06 Thursday

 

 日本人年配・老人ロングステイヤーとリス族の若い女性との結婚が、多いとはいえないまでも決して少なくないようだ。そのような結婚で、幸せな家庭生活を送っているケースをこれまで2組ご紹介した。しかし、リス族の若い女性と結婚をしたものの失敗に終わるケースが大半。誤解を恐れずに言わせてもらえば、日本人年配・老人ロングステイヤーとリス族の若い女性との結婚は95%以上(100人中95人以上)は失敗する。冷たく突き放して言えば、30歳から50歳もの年齢差のある若い女性が老人と結婚して、うまく継続する方が土台無理な話といっても過言ではない。
 実際に、チェンマイ市内在住者で結婚したリス族女性に「逃げられた人」「別れた人」「別れたい人」などが何人もおられるようだ。そんな中で「別れたい人」の日本人老人ロングステイヤーのケースを紹介しよう。
 その日本人老人ロングステイヤーを仮にAさんとする。Aさんは72歳を超えている老人だが、足腰はしっかりして車も運転し簡単な畑仕事や大工仕事もやるなど、まさに元気そのもので、そのような年齢を感じさせない。何か止むを得ない家庭事情があったのだろう、Aさんは日本での財産をすべて処分してチェンマイにやってきてロングステイをスタートした。郊外の高級新興住宅地に、タイ人の名義を借りて一軒家の住宅地を購入。偶然だが、その住宅地にタイ人の奥さんと暮らしている年配日本人と知り合うことになり、その夫婦から、山岳民族であるリス族の18歳の未成年少女との結婚を紹介される。これにはさすがのA老人も、夢のような話だと完全に舞い上がってしまう。言われるままに紹介料や結納金などを払って、山奥のリス族村になんと日帰りで出向いて結婚儀式を慌しく済ませる。汚く粗末な村の家に泊まるなどできぬと頑固に拒否したA老人の、日帰り電撃結婚式だったそうだ。
 村での結婚式を済ませ、次は役所に出向いての結婚登録だが、相手が未成年の少女なので少女の両親も承諾署名してのそれだった。結婚登録した後は、住宅地を借りているタイ人名義から、結婚したリス族若妻の名義に変更。夢のような結婚生活が始まるはずだったのだが、それは結婚後数ヶ月でリス族若妻は手のひらを返したように態度を豹変する。
 最新の携帯電話を買えだの、自分用にもう1台自動車を買えだのと、あれこれ買えとの要求。それを断るとケチだと罵倒し、一緒の食事も一緒の寝室も何もかも拒否行動に出て、Aさんをことごとく無視する始末。
「あきらかに私にいろんな嫌がらせを次々にしてきて、私がこの住宅から逃げ出すのを狙っています。これも妻を紹介してくれた日本人のタイ人妻の指図だと思います。あのタイ人妻と私の妻はぐるになって私を追い出そうと、あの手この手を繰り出してきているようです! どうも最初からはめられたようです…」
 さすがにA老人は結婚を早まったのをしきりに後悔。後悔しても、この妻の名義の住宅を出て行ったら、A老人は路頭に迷うことになる。別れたいのだが、それでは若妻の思う壺にはまってしまうというジレンマに悩むことに。
 ここまで記したら、「70歳過ぎの老人が20歳にもなっていない少女と、本気になって結婚した報いというか、自業自得でしょう」と大半の人が冷たくみるに相違ないだろう。しかし、A老人にしてみれば「家に居るも地獄、家を出るも地獄」の切羽詰った状況で、相談を受けた立場としては無碍に突き放すわけにもいかない。A老人は弁護士をたてて、土地住宅名義を返してもらっての円満離婚を考えていた。ところが、タイ国弁護士協会でさえ悪徳弁護士の多さに警告を発しているお国柄。リス族若妻が、紹介したタイ人妻と結託して悪徳弁護士を立ててきたらどうなるのか。あれこれ考えてもなかなかうまい対処法は見つからなかった。もうしばらくリス族若妻の様子を見ながら、何とか穏便に別れる方法を考えることとなった。ところがその後、風の噂ではだいぶマシになって、離婚せずになんとか続いているとのことだが、真偽の程はわからない。
 ちなみにA老人はタイ語などほとんど話せず、リス族若妻とは日本語で会話しているとのこと。18歳の彼女がどうして片言でも日本語を話せるのか。そこの素朴な疑問にAさんは気付かなかったようだ。老人と若い女性との結婚話など所詮無理な話。それを百も承知で、手っ取り早いゼニ儲けと結婚を斡旋する個人や業者が後を絶たない。しかし、これまで紹介したご夫婦家族のように、30歳以上の年齢差を超えて幸せな家族生活を続けているのも、疑いようのない事実である。


(110号掲載)

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年配・老人ロングステイヤーの結婚(3)

カテゴリー: ロングステイの光と影 | 2007.12.06 Thursday

 

 今回紹介する御夫婦はチェンマイ市内近郊の郡(アンプー)の新興住宅街の瀟洒な一軒家にお住まい。御主人のAさんは現在66歳で、山岳民族のリス族の奥さんは30歳。コーヒーやお冷をテーブルに運んできてくれる応対などでは、奥さんというよりむしろ娘さんという雰囲気。2人の年齢差は36歳にもなるのだが、若い娘さんと結婚したと思えば、そのような年齢差をことさら意識しなくて済む。
 66歳のAさんだが、嬉しいことに奥さんが妊娠しており来年2月頃に出産の予定。先だって奥さんを初めて日本の実家に連れて行った。今年88歳になるAさんの母親は元気過ぎるほど元気で、Aさんの姉が面倒を見ているとのこと。
 「この写真を見てください、妻は日本人そっくりでしょう!」
 額に入って飾られているその写真は、実家で奥さんに和服を着せての記念写真。確かに色白の奥さんなので、誰が見ても日本人にしか見えない。
 「家族や友人など、みんな妻に親切で優しくしてくれて、妻も本当に喜んでくれましたよ!」
 そのように嬉しく語るAさん。Aさんはもちろんだが、Aさんの親戚兄弟や友人も、大きな年齢差のタイ人妻に差別感や偏見などはなさそうである。
 ところで、Aさんとリス族の奥さんとの出会いであるが、先にリス族女性と結婚していた日本人Sさんとの偶然の出会いから始まる。そのSさんにとあるリス族村の新年祭りに案内され、そこで気に入った娘さんに出会う。それから4年後に再度そのリス族村を訪問したら、なんと4年前のその娘さんがまだ独身でいることがわかった。さっそく、結婚を申し出る64歳独身のAさん。両親は賛同なのだが当の本人の娘さんが「年寄りは嫌だ!」と簡単に拒否。仕方ないと諦めたのだが、その後、どういう風の吹き回しか娘さんが結婚を承諾したらしく、1ヵ月後に村で結婚儀式を終えた。それが2年前で、現在に至っている。
 奥さんの里であるリス族村は確かにチェンマイ市内からは遠い山中にあるのだが、国道沿いなので車での行き来は時間さえ気にしなければ便利と言える。それでも、その貧しいリス族村で暮らしている娘さんとわかっていて、それも娘のような年齢さとわかっていて簡単に結婚するのには、やはりそれなりの人生経験があったとしか思えない。
 そこでAさんに過去の経歴などをお聞きした。教育関係の地方公務員で、恩給(公務員年給)がもらえる資格が出来た43歳でさっさと退職。これには理由があり、それはAさんの父親が46歳で早死にしていることによる。Aさんも父親同様に早死にするかもしれないと、早く仕事をやめて好きなことをする人生を選択。フィリピン、カンボジア、ラオスなど海外旅行を繰り返しながら暮らす。とりわけ各国の海でのスキューバダイビングにはまってしまった。東南アジア諸国での貧しい人たちやその生活には、ある程度慣れていたようである。
 「現在の奥さんと出会うことなくこのような結婚生活もなかったとしたら、今頃日本で何をしていたと思いますか?」とAさんに尋ねた。すると、
 「いやー、妻と出会わなくても、どこかの外国で暮らしていたと思いますよ。日本はねー、ストレスが多いのでねー!」とのこと。
 次に結婚歴というか離婚歴を尋ねると、教育関係公務員と2回結婚しいずれも離婚。その後は裕福な女性と長く同棲生活したが、それも別れたので、実質3回結婚に失敗したことに。淡々と話す口調には、この妻との結婚が最後だろうから大切にしたいとの雰囲気が感じられた。
 まだ一緒に暮らしてまだ2年ですので、と謙遜するAさんに結婚暮らし維持のコツをお聞きした。まず夫であるAさんの心得として「細かいことには拘泥しない。ストレスを持たないようにする」。そして、なるたけ2人が共有できる趣味なりがあること。それに関しては、うまい具合に2人とも花や野菜などの園芸や農業に興味関心が深く、そのための苦労はいとわないとのこと。最近はゴルフも2人で出かけるようにもなったとのこと。
 過去の経歴からは豪傑ともいえるAさん。娘さんのような年齢差の奥さんだが、彼女との暮らしには自信を持っているようだ。そして、貧しい山岳民族の出身だけに、都会に慣れたタイ人女性よりは素朴で、つらい畑仕事などもいとわずに一生懸命にやるとのこと。奥さんがリス族で働き者である、そのことを誇らしげに語っているAさん。大きな年齢差など簡単に克服している頼もしいAさん66歳でした。


(108号掲載)

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年配・老人ロングステイヤーの結婚(2)

カテゴリー: ロングステイの光と影 | 2007.09.29 Saturday

 

 チェンマイ市内に隣接した郡の閑静な新興住宅街の家に、奥さんと2人の子供さんの家族4人で暮らしているのが、日本人男性のAさん60歳。奥さんは山岳少数民族のリス族出身で現在は30歳。
 年齢的には60歳とはとても思えない若々しさがAさんにはあり、30歳も年齢差があるご夫婦とはとても見えない。チェンマイ市内の私立小学校に通う小学2年生の男の子。それに、まだ1歳余りの娘さんがいる。傍目には2人のお孫さんと勘違いするのだが、親子の様子には不自然さはどこにもない。
「今年から年金を貰えるようになり、経済的にはもちろんですが、気分的にも余裕が出来たように思います」と語るAさん。奥さんとの生活も10年余り経過し、現在では2人の子供にも恵まれていての年金受給の開始。これまでのことをお伺いしても、Aさんの心にも家族生活にも、なんとなく余裕が生まれてきているように感じられた。
 さてAさんと奥さんとの出会いと結婚だが、以下のようなものだったらしい。タイで現在の奥さんと出会ったのはAさんが50歳の時、バンコクに旅行に来ているうちに偶然知り合った。そしてバンコクの案内をしてもらうなどして親密になり、奥さんの里のリス族村で結婚の儀式を行なう。現在の長男が2歳半の時に、妻と長男を連れて日本へ定住。というのも、Aさんはまだ会社に勤めていたので、家族一緒に住むには日本に連れてくる他なかったようだ。
 妻も長男も連れてきて日本での家族3人での生活も、タイ人の彼女には辛くて悲しい生活だった。それというのも、日本語は少ししか話せない彼女には、当然のことながら周囲に話せるタイ人などいるはずもなく、話し相手もない孤立無援の日本での暮らしとならざるを得なかった。そんな辛い思いをしている日本での彼女を見て、Aさんはこのまま日本に奥さんを置けないとして一大決心をする。それは会社を早期退職して、家族3人で彼女の国であるタイに定住することであった。
 定住にあたって、Aさんは妻の国であるタイに骨を埋める覚悟で、日本の財産をすべて処分しての後戻りできない道を選択。年金が貰えるまでは、これまでの蓄えを少しずつ取り崩すことになった。そして今年ようやく年金受給の60歳になって一安心したとのこと。
 山岳民族も含めてタイ人女性と結婚すると、悩みの種の定番となっているのが、親戚一族郎党からの度重なるお金の無心。その点についてAさんは言う。「たまにはお金を貸してくれと妻を通してありますが、期間はまちまちですがなんとかお金を返してくれるので、こちらが驚いています」とのこと。次に山岳民族の親や親戚などは不便な山奥に暮らしているので、何かにつけて家にやってきては勝手に泊まりこむ場合が少なくないようだ。その点については「妻の出身は遠い県ですし、妻の親兄弟のいるリス族村も遠い県ですので、ほとんど来ないですね。ただ現在は、妻の姉の高校生の娘さんを下宿させてチェンマイ市内の学校に通わせています」とのこと。
 次に、兄弟親戚や近所など周囲の目に対する見栄で、なんでもそれなりに買い揃えようとするタイ人妻が少なくない。その点に関しては「安物買いの服などで、すぐに駄目になってはまた買うような無駄遣いはあるようですが、それ以外のものにはあまり執着しないようです」とのこと。
 Aさんは現在の奥さんと結婚するまでに、実は日本で2回結婚して2回とも離婚している経歴を持っている。こちらで大きな年齢差で結婚する日本人男性には、離婚経験者が少なくない。失敗は成功の元などともいうのだが、離婚という苦い体験を素直に振り返っての、年齢を重ねての再度の結婚のほうが、意外に続く可能性は高くなるともいえようか。
「タイではたとえ夫でも土地や家の財産はすべて妻名義で、うちでは乗用車もバイクも妻名義ですわ。でも、死んであの世に土地などの財産やお金を持って行けるわけではなし、妻と子供の物になるならかまいませんわ!」
 このようにまるで悟ったように語るAさん。この心の懐(ふところ)の寛大さが、大きな年齢差を克服しての幸せそうな家族を成り立たせているような気がしてならない。


(107号掲載)

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年配・老人ロングステイヤーの結婚(1)

カテゴリー: ロングステイの光と影 | 2007.09.29 Saturday

 

結婚なんて簡単なんです!


「山岳民族のそれも若い女の子との結婚なんて、簡単に出来るんですよ! ちゃんとお金さえ出せば本当に簡単に結婚出来るんです! でも・・・」 このように自信を持って語るのは、リス族の女性と結婚してチェンマイで暮らしているとある日本人男性。
「山奥のリス族の若い未婚の女の人やその両親は、同じ貧しいリス族の男と結婚しても、将来など何も期待できないと考えています。それならば、お金があるであろう日本人と結婚したほうが、ある程度お金はもらえるし、まだ将来に夢が持てるというものですよ。だから、お金を出す気さえあれば、山奥の山岳民族の若い女の子との結婚は出来ます」
 はるか山奥のリス族村の娘さんと結婚した彼は、親戚縁者一族郎党や村人とのこれまでの関わり合いから、貧しい家の外国人との結婚願望を身に沁みてわかったらしく、力を込めて語る。
 それでは、お金での人身売買結婚に過ぎないではないかと。そう思うのだが、そんな思いも、家族で貧しさからの脱出チャンスという重い現実の前では引っ込んでしまいそうだ。
 

大きく年下の女性との結婚


 これまでも再三再四述べてきたように、ロングステイヤーにも光と影の2つのロングステイヤーがあろう。お金を落とす比較的裕福な年金ロングステイヤーが、タイ政府が望むところの光のロングステイヤー。他方、諸物価の安さ頼りだけにやってきた経済難民的ロングステイヤーは、タイ政府にとっては招かれざるロングステイヤーで、影のロングステイヤーといえるであろう。
 その影のロングステイヤーにもいろんなタイプがあろうが、その一つに年配・老人の部類の単身ロングステイヤーがある。ここで年配・老人とは男性で60歳以上を一応の目安としよう。
 この年配・老人で単身男性のロングステイヤーだが、チェンマイやチェンラーイには決して少なくないようだ。少なくないばかりでなく、じわじわとその数が増えている感もする。
 その大半は日本で財産を処分し、親戚や家族関係も縁遠くしての覚悟のロングステイ。こうなると傍目には、いわば死に場所を決めての後戻りできない悲壮なロングステイにさえ思えてくる。こうなると「日本は発展途上国のタイに老人まで輸出するつもりか!」との非難も、あながちピント外れではなくなる。まあ、老人側としては「いったいこんな私に誰がしたのか?」と、暮らしにくい日本に文句を言いたいのだろうが。老人側に言い分は言い分としてあるとしても、日本を見限ってチェンマイやチェンラーイに単身でロングステイする事実には変わりない。
 しかし、言葉が通じない異国での年配・老人単身暮らしは、さすがに侘しさや切なさが影のように付きまとう。一緒に暮らして身の回りの世話をしてくれる現地の女性がいれば・・・・・・と夢見ることになる。
 というのも、他人の私生活には適当に無関心で距離を置くタイ人社会では、欧米や日本の年配・老人と現地の若いタイ人女性との大きな年齢差カップルも、それなりに受け入れてくれる寛容性があるからだ。逆に言えば、日本では年配・老人男性が30歳前後離れた若い女性との結婚や同棲などは、間違っても絶対に有り得ないということだ。
 リタイアした日本人がご夫婦でチェンマイやチェンラーイでロングステイをしている方が、まあまあの数になってきている。それでも、日本人の年配・老人単身ロングステイの人たちの方がかなり多いであろう。
 その多い日本人の年配・老人単身ロングステイの人たちだが、1年余りも経過すると、かなり年下のタイ人女性と親しい関係になるケースが少なくない。「えっ! あの人は一人身ではなくなったのか?」と、周囲に戸惑いの声が出てくる。単なるお友達なのか、同棲しているのか、結婚前提なのか、結婚したのかどうかはっきりしない場合が多い。となると深く詮索するのも失礼ということで、成り行きを見守るだけ。
 次回からは、日本人の年配・老人単身ロングステイヤーを中心に、かなりの年齢差で結婚した年配・老人男性の実態を紹介していきたい。


(105号掲載)

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熱烈歓迎 日本人ロングステイ?

カテゴリー: ロングステイの光と影 | 2007.09.29 Saturday

 

 地元新聞であるチェンマイニュース紙は去る7月発行の新聞で、以下のような気になる記事を掲載。要約して紹介すると以下のようになる。
「チェンマイ商業会議所は、チェンマイ県当局と協力して“Long Stay Program for Japanese in Chiang Mai”プロジェクトを立ち上げることになった。これは今年2007年が泰日修好120周年という記念すべき年にあたり、日本人ロングステイヤーを誘致することによって、チェンマイや北タイの経済活性化を図れるとしている。
 チェンマイやチェンライには、現在すでに5千人以上の日本人がロングステイしている。日本では2007年から2012年までの期間、2千5百万人を超える大量の退職者がでることになっている。ある統計では、その退職者の内の50万人から100万人がタイでのロングステイを考えているとの結果も出ている。8月には、チェンマイでの日本人ロングステイについて、泰日双方の関係団体が集まって会議を開く予定になっている・・・」
 日本語に直訳すると「チェンマイでの日本人のためのロングステイ・プログラム」となるこのプロジェクト。「日本人のため」などの文言が含まれていると、特別扱いされているようで悪い気はしない。だが、冷静に過去を振り返れば、チェンマイ商業会議所もチェンマイ県当局も、日本人ロングステイなど今までほとんど無関心であったことを、図らずも暴露したことになったのではあるまいか。
 数年前からであるが、日本のTVや新聞などのマスコミが「ロングステイ天国チェンマイ」なるものを、光と影を含めてかなりセンセーショナルに紹介。海外ロングステイビジネスは儲かるとの思惑で、日本でもチェンマイでも、ロングステイ関連業者が雨後の竹の子の如く出てきた。ロングステイチェンマイが脚光を浴び、実際にここ数年で、玉石混交ではあるが日本人ロングステイヤーの姿が急増し、チェンマイロングステイに拍車がかかった。
 ところが、受け入れ先の地元であるチェンマイ市やチェンマイ県は、日本人も含めて海外からのロングステイに対しては、ほとんど無関心も同然であった。それはこの数年間、地元新聞に「海外からのロングステイヤー」関係の記事などほとんど皆無だったことでも、窺い知ることが出来るであろう。このことからわかるのは、「ロングステイ天国チェンマイ」なる宣伝は、日本のマスコミ、および日本の旅行業者やロングステイ関連業者が大々的に行なっていること。その宣伝効果で、チェンマイロングステイが脚光を浴びているという構図が浮かび上がってくる。つまり、日本人受け入れのチェンマイ市やチェンマイ県は、日本人ロングステイには傍観の立場であった。それはそれで、タイらしい行政ともいえないこともない。というのも、日本のとある市で外国人ロングステイヤーが急増したら、それこそ各方面で大問題になるのは火を見るより明らかであろうから。
 このように日本人ロングステイに無関心だったチェンマイ商業会議所やチェンマイ県当局が、ここに到って、日本人ロングステイに俄然注目を向け始めた。折りしもチェンマイは、チェンマイ花博景気の反動、3月から4月の大煙害、不安を抱えたままの政治状況、予期せぬバーツ高などに見舞われる。その結果が、外国人を含めて観光客の急激な落ち込みによる経済の冷え込み。いわば出口の見えないチェンマイ経済で、「溺れる者は藁をも掴む」ではないが、経済的に豊かであろう日本人退職者を誘い込んで経済活性化の一翼を担おうと。
 誤解を恐れずに言わせてもらえば今回の“Long Stay Program for Japanese in Chiang Mai”は、取ってつけたような思いつきのプロジェクトにしか思えないのだが。今年は日タイ修好120周年の記念すべき年だからと、チェンマイにロングステイにやってくる日本人など誰もいない。
 まあ、それでも“Long Stay Program for Japanese in Chiang Mai”プロジェクトを立ち上げるのならば、チェンマイでのロングステイをやりやすくするアドバイスを、日本側から積極的に提案してもらいたいものだ。その提案には色々あるだろうが、その一つとして、是非とも以下のことをチェンマイ県に訴えてほしいものだ。生きがいのある有意義なロングステイにするためにも、無償のボランティア活動ぐらいは認めて欲しいものである。


(104号掲載)

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チェンマイ・ロングステイにブレーキ

カテゴリー: ロングステイの光と影 | 2007.07.21 Saturday

 

 団塊世代の大量定年退職者の社会的受け皿が大いに注目されており、それは「2007年問題」とさえ言われているほどだ。その社会的受け皿の一つとして、海外ロングステイが脚光を浴びてきている。その海外ロングステイ候補地として、タイのチェンマイが上位に入って人気を集めている。このことはこれまでにも繰り返し述べてきており、実際にも、数年前からチェンマイ・ロングステイ日本人の数が急増している。そして今年2007年からは、上記に述べたように団塊世代の大量定年退職で、チェンマイでの日本人ロングステイヤーこれまで以上に急増するとの予測がある。
 ところが、急増するはずの日本人ロングステイに急ブレーキをかけるような、いくつかの予期せぬ事態が発生した。昨年10月からのノービザ滞在規制の強化での、ノービザ・ロングステイ滞在者の排除政策。97号のこのコラムで取り上げた、健康を害する危険レベルの煙害の発生。そして最近になって急に起こった、誰も予想だにしなかった円安バーツ高の為替変動である。
 軍部による電光石火の民主政権転覆無血クーデターが昨年9月に勃発。もうすぐその軍事クーデターから1年経過しようとしているのに、民生への移管プログラムさえ明確に示されない不安な政情がある。このような政情不安定なタイなのに、なぜか急激なバーツ高に推移してしまった。
 ちょっと前までなら1万円で3300バーツ前後の両替が、最近では1万円で2800バーツ前後にと、あれよあれよという間に円相場は急落。1万円で500バーツ余りの目減りは、割合では約15%も円が安くなったということにもなる。このことは、かなり深刻な問題。チェンマイの銀行に100万円預金してあっても、85万円の値打ちに目減りしたということ。日本ではその年金額は変わらないのだが、チェンマイでバーツに替えると今までより約15%少なくなるということ。このことはかなり深刻な打撃になろう。
 タイのチェンマイなどツアー旅行でも一度たりとも訪れたことのない方が、ロングステイ下見あるいは体験ツアーにチェンマイに初めてやってきたとする。その場合には、上記のような目減りなど実際に知らないのだから、チェンマイ・ロングステイのブレーキとはならないだろう。
 しかし、過去数年間に一度ないしは数回チェンマイに旅行にやってきて、数週間以上滞在したことのある方には、上記で述べた予期せぬ異常なバーツ高にはかなり驚きとショックを覚えるであろう。近々あるいは今後に、諸物価安のチェンマイをロングステイ先候補地に考えていた方には、今回の円安バーツ高はかなり大きなブレーキになったであろう。なかには、いくつか挙げたロングステイ先候補地から、チェンマイを消去した方も出てきているであろう。
 チェンマイ・ロングステイの魅力というか良さはいろんな面で様々あるが、やはりその土台となっているのが、日本に比べてかなり安い諸物価であろう。1年中温暖な気候で過ごしやすいとか、日本から飛行機で5時間前後の程よい距離とか、日本の京都のような古都の情緒があるなどとか、様々な魅力や良さがあろう。だが、あくまでそれはチェンマイでは諸物価安という土台が前提にあっての話だ。わかりやすくいえば、チェンマイの諸物価が日本と同じくらい高かったら、日本で金の使い道に困っているような金持ちしか、わざわざチェンマイなんぞにロングステイに来ないだろうということだ。 
このコラムで以前に「チェンマイ・ロングステイ3年限界説」なるものを記した。それは、夢や希望を持ってチェンマイでロングステイを始めても、することややることがなくなってしまい、結局は日本に戻ってしまうだろうということ。まあ、3年というのは、それが最も多いだろうとの代表的年数であって、1〜2年の場合もあれば、4年の場合もあるであろう。その「チェンマイ・ロングステイ3年限界説」であるが、今回はそれを推し進める要因に円安バーツ高が新たに加わったことに。
 つまり、今回の円安バーツ高が、今後のチェンマイ・ロングステイに大きなブレーキを与えるのはもちろん、現在いるチェンマイのロングステイヤーにもかなり深刻な悩みを与えている。
 

(100号掲載)

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ロングステイよりリピートステイを

カテゴリー: ロングステイの光と影 | 2007.05.21 Monday

 

 海外ロングステイというと、少なくとも1年以上は海外で暮らす、とのイメージが先行するのが普通。実際に、日本で宣伝されるチェンマイ・ロングステイは、なぜかチェンマイに移り住んで暮らすことを前提としている。
 海外ロングステイ先として世界の都市の中でも上位に入って、随分と人気上昇中のチェンマイでのロングステイ。チェンマイに定住する日本人の立場としては、光栄で嬉しいことに変わりはない。だが、それはそれとして、何もチェンマイに移り住んでまでロングステイする必要があるかどうか、という初歩的疑問もある。
 つまり、何もロングステイに固執する必要などなく、日本とチェンマイを適度な間隔で行き来する、リピートステイという考えもあるということ。そして今後は、チェンマイ・ロングステイよりも、チェンマイ・リピートステイが主流になる可能性が高い。そのような突拍子もない考えになるのには、それなりに理由がある。
 リピートステイとは当然のことながら暮らしの拠点は日本にあり、気に入った時期に数ヶ月くらいチェンマイで過ごすこと。このリピートステイの勧めに関しては、実は以前にもこのコラムで記している。だが、今回再度リピートステイを取り上げるのも、チェンマイの今年の乾季の異常な煙害が、大きくクローズアップされたことにある。
 今年3月のチェンマイの大気汚染はまさに異常そのもの。大気全体が煙ったように白っぽくなり、昼間でも薄曇りの空のようで、太陽光線が弱々しく降り注ぎ、最高気温も上がらないありさま。チェンマイ市内では車の排気ガスと山火事・野焼きの煙で、10ミクロン以下の浮遊微粒塵芥量が安全基準値を突破する毎日。安全基準値の2倍以上を超える日も出てきた。さすがに、これは健康に害を与える有害な浮遊微粒塵芥量。チェンマイ県は、不要不急の外出を控えることや、戸外での運動の禁止、マスクの着用などを呼びかけた。そして、とうとうタイ政府から煙害で緊急災害地域に指定されるという、前代未聞の措置が取られるまでに。そしてこのひどいチェンマイの煙害の様子は、日本のTVにまで放映されたとのこと。
 確かに今年の煙害災害は異常だったが、煙害自体は2月〜4月の時期には毎年ある。その2月〜4月は一滴の雨も降らずカラカラ天気で、排気ガスの粉塵が空気中に舞い、冬枯れの山や野原を焼く煙が絶えず、大気の汚染度は急上昇し、健康にも害を与えるほどになっている。
 誤解を恐れずに言わせてもらえば、健康を守るならば、2月〜4月の時期にはチェンマイには居ないほうがよい。まだ冬の寒さが残る日本に居る(帰国)方が、健康維持には適している。このように述べると、「えっ?」と驚かれる方がおられるだろうが、これは紛れもない事実。チェンマイとて、環境が悪い時期もあれば良い時期もある。とりわけ、11月から1月の3ヶ月間は、温暖な気候で快晴の日々が続いて、1年でもベストシーズンであろう。
 このようなこともあり、何も無理したり我慢したりして、チェンマイ・ロングステイをする必要性もなかろう。チェンマイの天気や空気が良い時にだけステイするという、リピートステイが最も好ましい形態ではなかろうか。
 もちろん、リピートステイでは気が向いたときの滞在で、宿の問題や経済的問題もあろう。が、リピートステイ体験を繰り返すうちに、それなりに解決策が見えてくるであろう。そしてリピートステイを繰り返す中で、中期ないしは長期のロングステイに移行するのが理想的なのかもしれない。
 このようなリピートステイを提唱しても、前回取り上げたような、経済的理由と逃避的理由での年配・老人の単身ロングステイヤーの影の流れは、誰も押しとどめられないだろう。その影の流れは差し置いて、いわゆるロングステイ関連業者が宣伝するロングステイに安易に乗るのではなく、自分達で自主的にリピートステイから始める、という選択肢も考えて欲しいものである。
 先日、広島県からチェンマイにリピートステイにやってこられたご夫婦にお会いした。「田舎に移住したのですが、雪が積もって何も出来ないとわかり、そんな時だけチェンマイに来るようにしています」とのこと。確かに行き帰りの航空運賃は高いのだが、「チェンマイに慣れるに従って要領がわかってきて、滞在中はそんなにお金をかけずに生活できるようになりました」とも語ってくれた。リピートステイヤーは、その都度目的を持って来ているようで、ロングステイヤーには見られないような、イキイキした表情を示す方が多いのが印象的だった。

(97号掲載)

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国際人たる日本人を試される

カテゴリー: ロングステイの光と影 | 2007.05.21 Monday

 

 今年の4月から始まるといわれるいわゆる「団塊世代の大量定年退職」。その「団塊世代」を待つまでもなく、数年前から、チェンマイ市内では日本人ロングステイヤー、リピートステイヤーが急増している。日本人に適当なアパートやマンションが多くある、フエイケーオ通り、ニマーンヘーミン通りでは、歩道を歩く年配日本人男女の姿が本当に多くなった。また、日本料理のレストランや食堂、屋台で見かける年配日本人の姿も多くなった。つまり、チェンマイ市内のあちこちで見かける年配日本人の姿が急増してきている。
 いろんな人がいろんな所からいろんなことで集まってきて成り立つのが都会や町。その都会や町にはそれなりの服装や行動様式が求められる。それなりの服装や行動様式を言い換えるならば、周囲の人たちに不快感や奇異感を与えない常識的なそれといえよう。このようなわかりきったことをわざわざ取り上げるのにはワケがある。
 というのは、ロングステイないしはリピートステイ日本人おじさん・おばさんの中に、一部ではあるが周囲に不快感や奇異感を与える人が出てきている。不快感でいえば、都会や町中での当たり障りのない服装を無視して、家や部屋の中での服装そのままで外出するおじさん。小汚い服装とまではいわないまでも、よれよれの服装であちこちを歩くと、当人は気付かないだろうが、周囲の現地の人や外国人(特に同類の日本人)には不快感を与えるであろう。
 そのようなTPOを無視した服装のおじさんからいわせれば、「誰かに迷惑を与えているわけでなし、好きにさせてくれ!」と。しかし、ここは日本ではなく異国のタイであることを、そのようなおじさんはすっかり忘れている。つまり、日本の都会や町でなら「あの変な人」と周囲から見られて終わりだろうが、チェンマイ市内では「あの変な日本人」と、周囲のタイ人や外国人から見られるということ。こうなると、チェンマイ市内にいる大勢の日本人にとっても、関係ないこととして見過ごすことはできないであろう。
 日本国内に暮らしていればいろんなことがあっても「あの人は」で終わる。だが、チェンマイで暮らしていると「あの日本人は」となる。このちょっとの違いが、実は大きな違いであることを認識する必要があろう。それは、チェンマイに来たら(別にチェンラーイでもタイのどこでも構いませんが)異国である以上、好むと好まざるに関わらず、意識するしないに関わらず、祖国日本を背負った国際人にならざるを得ないということ。だからといって、日本を日本人を常に意識しようなどといっているのではない。日本での道徳倫理やエチケットなどの社会常識を、タイでも同様に守るように意識するだけのこと。そういえば至極簡単なことだが、タイには他の国にないような誘惑の落とし穴がある。つまり、タイの国民気質である「マイペンライ」。それに付随しての「サヌック(楽しい)」「サバーイ(気持ちよい)」「サドゥアック(便利)」。これはともすると、他人や周囲の目など気にせずに、自分本位で勝手気ままに過せば良いと思い込んでしまう。確かに、その一面はあろうが、タイ人気質の都合の良い面だけを取り入れて、それを自慢する日本人は間違っている。我々がいかなる立ち居振る舞いを行なっても、日本人として見られるという現実は忘れるべきではない。それは同時に、タイにいる日本人というインターナショナルな視点で見られるという現実でもある。
 4月から始まる「団塊世代の大量定年退職」は「2007年問題」とまで大きく取り上げられている。そして退職後の団塊世代の選択肢の一つに、海外ロングステイが挙げられているのは周知の事実。その海外ロングステイ先候補地に、タイのチェンマイが上位で脚光を浴びているのも事実。
 これまでにも繰り返し警鐘を鳴らしてきたように、人気のあるロングステイ・チェンマイだが、現実には、日本では生活が苦しい年金移民・貯蓄移民という、いわば影のロングステイヤーが急増している。それはそれで、タイという国や国民は受け入れてくれる寛容性を持っている。それだからこそなおさら、国際人たる日本人を試される機会が増えている。
 なにも難しい立ち居振る舞いをしようというのではない。同じ日本人として、他の日本人から眉をしかめられるような立ち居振る舞いを、お互いに注意しあってやめようというだけのことである。

(96号掲載)

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