チェンマイ発・ちょっとディープな北タイ日本語情報誌CHAO『ちゃ〜お』は毎月10日、25日に発行。本文へスキップ

変わらないエレファントホーム (239号) Mahout Diary

カテゴリー: メータマンからCHANG通信(象使い) | 2013.03.25 Monday

 

メイン(パッブンとお客様)
 エレファントホームの常連のお客様から「名古屋市にある東山動植物園の象が妊娠した」というニュースを聞いたのは12月のことだったかと思う。日本にいる象について私は無知に近いのだが、そのお客様は関東に住んでいるのにも関わらず日本中の象がいる動物園を知り尽くしているのだ。エレファントホームに来るようになってからはすっかり日本の動物園に足を運ぶことはなくなったと言っているものの、それでも「○○動物園にいる××は・・・」などいろいろと教えてくれる。  私が日本に帰国してからすぐ、1月29日にその東山動植物園で子象がうまれた。ふとその常連のお客様の顔を思い浮かべながらいろいろ調べてみると、その子象の母象はなんと10歳で、さらに驚くことに父象は8歳ということだ。 一般的に雌象は6〜7歳で妊娠できる体になる。ただ、タイではその歳で妊娠すると様々な問題が出てくるため、10〜12歳またはそれ以上になってから妊娠させる場合が多い。  雄象は15歳頃から繁殖できる体になるといわれる。個体差はあるとはいえど、東山動植物園の雄象は8歳というからかなり若い。象の妊娠期間は約2年(22〜24ヶ月)なので、交尾時の歳はなんと6歳だ。   日本にいると、タイでは当たり前だと思っていた「象の常識」が急に覆されたりするので勉強になるが、その動植物園の子象は元気に育っているようで良かった。日本でうまれた象で次に心配されるのが骨折だと思うが、母乳をたくさん飲んでこれからも元気に育ってほしい。

エレファントホームの一日体験では相変わらずゆったりとした時間が流れている。
 さて、私は今チェンマイに住んではいないので、このコラムもこれで終わりになる。筆不精の私がよくここまで続いたなと我ながら感心してしまうが、最後ともなると寂しい。  思い返せばひょいと旅行で訪れたチェンマイで象とはじめて近距離で触れ合って以来すっかり魅了され、象以外にも素敵な出会いがあった。最初は単純に可愛いとか賢いとかそんな感情で触れ合っていた象も今は特別な存在だ。人と人との素敵な出会いを導いてくれ結びつけてくれたのが「象」なのだ。  エレファントホームを訪れてくれるお客様は満足して後ろ髪を引かれながらそれぞれ帰っていく。そして、再び象や象使い、スタッフに会いに来てくれてエレファントホームの環境に溶け込んでいく。前に来た時と変わらない現実とは少しかけ離れた理想のエレファントホームがそこにある。素敵な笑顔で楽しんでいるお客様を見ると、エレファントホームの魅力って私だけが感じているものではないんだという喜びと今までやってきたことの誇りや自信に繋がる。  チェンマイにやってくる前にかなり悩んだ私だが、少し道を踏み外して思い切って行動して良かったと思うと同時に、チェンマイにいた5年弱は私の財産になった。  第二の故郷になったチェンマイであるが、今後も日本からいろいろと発信していこうと思っているので、ブログやボランティアのHPなどをぜひぜひチェックしてくれたら嬉しいです。  また、今年の日本での活動目標の一つである「タイフェスティバル」への出店が決まった。しっかり準備をして形にしていきたい。  数年後(!?)、チェンマイに戻った時にまた「ちゃ〜お」で記事が書けるように、今後もずっとエレファントホームに関わっていきたいと思っています。今まで本当にありがとうございました!
(文・写真 by なお)
*エレファントホームの象使い体験・ボランティアプログラムはこちらからお問い合せ・予約が可能です。日本語でどうぞ。
elephantohome@hotmail.co.jp

*ブログ更新中!  http://ameblo.jp/elephanthome/
*ボランティア「象との絆」HP http://www.elephanthappylife.net/

 

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やっぱりタイ時間 (237号) Mahout Diary

カテゴリー: メータマンからCHANG通信(象使い) | 2013.02.25 Monday

 

 毎日この写真を眺めてはエレファントホームを思い出します。
 日本に帰国して早1ヶ月。タイにいる時でさえ寒がりで冷え性だった私は、日本の寒さにはまだまだ慣れず、こたつに足を入れながらエレファントホームのマネージャーであるジョーに毎日電話をする日が続いている。
 電話での内容は、エレファントホームの近況(象や象使いのこと)やお客様の予約手配などが主だ。ひと通り仕事の話をしたら、後はタイ人お決まりの文句である「キットゥン……(会いたい、恋しい)」に続き、「日本はどう? いつチェンマイに戻る?」などといった会話がしつこいぐらいに繰り返される。「キットゥン・ムアンカン(私も会いたい、恋しいよ…)」なんて私も言ってしまうものだから、いっこうに会話が終わらない。
 そんな現実逃避もこのへんで終わりにして、そろそろ日本での活動を具体的に考えていかなければいけないなと思っていた矢先、「2013年タイフェスティバル東京」の出店募集が始まったのだ。
タイフェスティバルとは、タイ王国大使館の主催で行われ、東京だけではなく日程をずらして大阪などでも開催される。私は東京へ2回、大阪へ1回行ったことがあるが、開催場所はもはやタイ!といった感じで気軽にタイの雰囲気を楽しめる。タイレストランでタイ料理を堪能できる他に、タイ食材やタイ雑貨販売もあり1日そこにいても飽きないほどお店が並んでいるのだ。タイが好きな人はもちろんだが、誰でも気軽に立ち寄れて楽しんでいける雰囲気なのがいい。
 去年始動したボランティア団体「クワームプークパンガップチャーング(象との絆)」はおかげさまで多くの理解と協力を得ることができ有難いのだが、まだ何か活動できるくらいの資金が集まっていないのが現状だ。「象の博物館」をエレファントホームに作ろうという計画は、エレファントホームのオーナーであるサティエンさんやボランティア団体の仲間と練ってはいるもののまだ実行できるほどの資金がない。

今エレファントホームにはボランティアで2ヶ月間滞在している日本人の女性がいます。
 今年のタイフェスティバル東京は5月11日(土)と12日(日)に代々木公園で開催されるという。出店料は2日間でなかなかいい値段するのだが、出店すればこのボランティア団体の知名度を上げられるし、エレファントホームのことやタイの象の現状をそこで説明できるチャンスだと思った。今年は日本を中心に活動していこうと考えていた私は今年の出店に踏み切った。
 募集を知ったのは1月27日で、募集締め切りは2月8日とのこと。書類を揃えるのに十分な日数はあるが、早く準備をするのに越したことはない。営業許可証などはエレファントホームで準備してもらわなければならないため、早速翌日、ジョーに電話をしてタイフェスティバルに出店応募するための必要書類を揃えてくれと頼んだ。ジョーも前からタイフェスティバルには興味があったので、「即書類を揃えて申し込んでおくよ」と承諾してくれた。今思えば、この時に私がジョーに任せておけば大丈夫だろうと安易な考えをしてしまったのが事の始まりである。
 2月に入り、「そろそろ応募できた? 何か手伝うことはある?」とジョーに聞いても、「マイペンライ!(大丈夫!)」の一点張りだ。おそらくまだ何も準備していないなと薄々気付いていた私は、チェンマイで毎年タイフェスティバルに出店している人の連絡先などをジョーに教えたり、応募用紙のサンプルを送ったりしたが、全く音沙汰がない。2月7日の応募締切前日、胸騒ぎがした私はジョーにもう一度確認をした。「今から書類を揃える。もう時間がないから、間に合わなかったら来年応募しようね」との返事だった。この後の会話は皆さんの想像にお任せするが、久しぶりにタイ時間を体験した私が怒ったのは言うまでもない。それに対して、「なおが怒るの久しぶりに聞いたよ〜」なんて呑気なことを言ってくるものだから、私の怒りはますますおさまらない。
 しかし、応募でこんなに労力を使うとは思ってもみなかった。出店者発表は3月8日だ。これで出店できなかったらと考えるだけで胃が痛くなる。

(文・写真 by なお)
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日本へ (235号) Mahout Diary

カテゴリー: メータマンからCHANG通信(象使い) | 2013.01.25 Friday

 

象
 皆さん、あけましておめでとうございます。去年、私にとっては怒涛の1年だったように思う。今回は去年を振り返り、出来事をまとめてみたい。
 まず、念願のボランティア「象さん幸せ計画(クワームプークパンガップチャーング)」の活動を開始できたことだ。4年ほど前から象仲間の友人と「象たちのために何かできたらいいね」と話してきたことがやっと実現した。私たちのペースではあるが、この活動もゆっくりと前進している。オリジナル商品などを作り、エレファントホームやホームページで販売をしている。収益はすべて象さん幸せ計画の資金に当てられる。商品を販売する他に、今後の活動に協力してもらえるメンバーを募っているのだが、応援し賛同してくれる人も少しずつ増えていて有難い。
 次に、日本のBSテレビに出演したことだ。今まで、テレビの出演依頼を頑なに断ってきていた私だが、今回出演依頼を受けたのは理由があってのことなのだ。理由の1つ目は、エレファントホームへやってくる日本人のお客様は毎年増加傾向にあったのだが、まだまだ欧米人の割合が高いのが現状だ。1人でも多くの日本人観光客の方に象使い体験をしてもらいたいと思い、いろいろやってはみたものの、やはり限界があった。そして、2つ目は、前述したボランティア団体の立ち上げに伴い、賛同してもらえる方にこの活動を知ってもらいたかった。この2つのことを考え悩んでいた矢先に出演依頼を受けたのだ。撮影を通していろいろな出会いもあったし、テレビ放映後には多くの問い合わせもあり、いいタイミングで出演できて良かったと思っている。

ファーサイとその象使いジャイ君
 また、エレファントホームで子象ファーサイが誕生したことも大きな出来事だ。今までに小象がエレファントホームへやってきたことはあるし、象の病院で出産した象はいたのだが、エレファントホーム敷地内で象が出産したことは実は1度もなかった。7月生まれなのでもう半年になるが、子象独特の母象の周りを元気に駆け回る姿がなんとも愛らしく、1日象使い体験から帰ってきたお客様たちの心を鷲掴みにしている。最近は力も強くなってきていて、ファーサイと遊ぼうと近付いていくと頭突きをしてくる。ファーサイは遊んでいるつもりなのだが、油断したら怪我をしてしまうくらいの力強さだ。もう少し経つと足蹴りを覚えてきて、遊ぶのにも用心しなければいけなくなってくるが、まだまだ無邪気で甘えん坊な子象だ。
 そして、私もまだ信じられないことなのだが、「日本へ帰国」することになったのだ。もうこの記事が出ている頃には、私は寒い日本にいるはずだ。決まったのは10月下旬のこと。チェンマイに移り住んでから4年と9ヶ月。こんなに突然帰国するとは思っておらず、私自身もショックと寂しさで頭の中がいっぱいだった。エレファントホームのスタッフに伝えなければいけないことが苦しかったし、象使い体験のお客様同行で、「楽しかったのでまた来ます。その時にはよろしくお願いします!」と言ってくれるお客様にお断りをしなければならないのがとても申し訳なかった。

いつもの1日象使い体験コース。山中にで。
 そんなモヤモヤしている矢先、友人から「もしかしたら日本で活動の場を広げるチャンスかもしれないよ。こんなことでくじけている場合じゃないよ」と活を入れられて、私は前向きになれたのだ。本当にその通りで、エレファントホームのことやボランティアのことをもっと知ってもらえるように、そして応援してもらえるように日本で何かできるのではないだろうかと気持ちを切り替えられるようになった。今までずっとエレファントホームの中に入って活動していたことが、少し客観的に見ることで何か発見があればいいなと思っている。
 今までエレファントホームに象使い体験や宿泊に来ていただいたお客様、そしてずっと私たちを応援してくれていた人たちには感謝の気持ちでいっぱいです。引き続き、今年もエレファントホームをどうぞよろしくお願いします。
 
(文・写真 by なお)
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スリン象祭り (233) Mahout Diary

カテゴリー: メータマンからCHANG通信(象使い) | 2012.12.25 Tuesday

 

象たちの大行進は迫力があり一見の価値あり!!
 11月の第2週に東北地方スリン県では、「象祭り」が行われる。
 スリン象祭りに参加するのは私は今年で4回目。毎年の催し物はほとんど変わらないし、参加する象たちも大体同じ顔合わせだ。一緒に行くメンバーは毎年違うのだが、皆口を揃えて「象を1度に何百頭も目にすることができるなんて最高!」と大満足な一方で、「1回行ければ十分だよね〜!」との感想。私は行けば毎年いろいろな出会いがあるので、チャンスがあれば何回でも行きたいぐらいなのだが、象のショーやパレードは毎年同じものなので一般的には1回行けばいいようだ。
 そこで、来年こそは「象祭り」へ行ってみようと思っている方々に、私がわかる範囲で情報をお知らせしたいと思う。
 一番手っ取り早いのは、スリン象祭りツアーなどに参加することかもしれない。近隣の遺跡などにも観光で行けるし、この時期予約のとりにくいホテルなどもすべて取ってくれる。ただ、象祭りの一部だけを見学するツアーがほとんどなので、自分たちでゆっくり歩いて象祭りを堪能したい人にはプライベートで行くことをオススメしたい。
 スリン県には空港がないので、陸路での移動になる。隣のブリーラム県には空港があるため、バンコクからブリーラムまで空路での移動が可能だ。ただ、週に2便しかないため、日数に余裕がある人向きだろう。今回私たちはチェンマイ→バンコク→ブリーラムと空路で行った。バンコクからブリーラムはプロペラ機になるので、座席も少ないため、早めの予約が必要だ。
 ブリーラム空港から車をチャーターして直接スリンまで行くこともできるが、ブリーラムで1泊して次の日にスリンへ行くことも可能だ。今回はゆったり旅だったので、ブリーラムで1泊して翌日、遺跡観光しながらスリンへ入った。

用意されたフルーツを無我夢中で食べる幸せそうな象たち。
 その他に、チェンマイからはスリンまでバスで行く方法もある。ただ、かなりの長時間の旅になるので、バンコクまで飛行機で行き、バンコク〜スリン間をバス利用したほうがいいかもしれない。
 スリン市内はそんなに大きな街ではないため、徒歩でも移動可能だ。もしくはサームローやトゥクトゥクなども利用できるが、象祭り期間は少し割高になってしまう。
 メインイベントの「エレファント・タレントショー」の前日には、「ウェルカム&エレファント・フィーディングパーティ」が開催される。去年コンテストで1位に輝いた象が先頭にたち、何百頭もの象が後に続いていくパレードが、スリン鉄道駅から朝9時よりスタートする。パレード終点のプラヤスリンハクディー像では、長いテーブルの上に象の大好物であるバナナやパイナップル、スイカなどが用意され、それを何百頭もの象たちが一斉に食す様は必見だ。普段はバナナを差し出せば必ず鼻をのばして食べる象も、終いには食べ物に興味を示さなくなるほどだ。そこまで食べ続けることができる、象にとっては幸せの一時である。

雨上がりの中のショーステージ、戦場シーン。
 次の日には2日連続でエレファント・タレントショーがスタジアムにて開催される。親子象が何組か登場し、今年生まれスリンで登録された子象の出生祝いで幕が明ける。ショーを見るためには予約が必要で、VIP席は1000B席と500B席がある。やはりVIP席は外国人がほとんどだが、せっかくスリンに来たのだからここはVIP席で見てほしい。
 チェンマイの象キャンプで目にするお絵描きやダンスなどの他に、昔象狩りをしていたときの再現や儀式、象たちのサッカー試合、象1頭対人間の綱引き、戦争シーンなどを広いステージで披露する。
今年は残念なことに雨が降ってしまった。象祭り52回目にしてはじめての雨らしい。8時半から行われるショーも雨がやむのを待ってからのスタートになった。
 タイでは、水掛け祭りとローイクラトンの次に大きなお祭りだというから1度は皆さんにも足を運んでもらいたい。

(文・写真 by なお)
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ノンペンとの再会 (231号) Mahout Diary

カテゴリー: メータマンからCHANG通信(象使い) | 2012.11.25 Sunday

 

ノンペン
 先日、エレファントホームの象使いのリーダーであるブーンさんが、「なお、ノンペンがチェンマイ動物園にやってきたよ!」と教えてくれた。ノンペンというのは、エレファントホーム立ち上げの前に、オーナーのサティエンさんが飼っていた象だ。
 まだ私が日本に住んでいた頃、旅行でチェンマイを訪れているときに出会った象ノンペンは、実はエレファントホーム立ち上げの時はいなかった。当時、資金繰りに困っていたサティエンさんは大事にしていたノンペンを泣く泣く売ることにしたのだ。 
 ノンペンは観光業などの仕事をしたことがない、いわゆるペット感覚で飼われていためずらしい象で、とてもかしこかった。「星になった少年」という、日本人ではじめて象使いになり、夢半ばで突然の事故に遭い亡くなってしまった少年が主人公の映画があるが、そこでノンペンは女優デビューをしている。
 当時はそんなに熱心に教えなくても絵を描くことができた象だった。ノンペンが描いたいびつだけど味のある絵を私はとても気に入り、自分の部屋にずっと飾ってある。その絵を見るたびに、また、ノンペンに似ている容姿の象に会うたびに、私たちは、「ノンペンは元気かな? 何してるのかな? どこにいるんだろうね? 幸せだといいね」なんて話してはノンペンを懐かしがっていた。
 サティエンさんは知り合いにノンペンを売り、お金がたまったらすぐに買い戻そうとしていたのだが、次のオーナーも何らかの理由でノンペンを売ってしまい……。そんな流れで、結局ノンペンがどこにいるのかがもうわからなくなってしまっていた。

子象が遠くに行かないようにと注意するノンペン
 早速、私はエレファントホームのマネージャーであるジョーと一緒にチェンマイ動物園に行ってきた。現在、チェンマイ動物園には10頭ほどの象がいる。そのオーナーはスリン県出身の象使いソムサックさんで、ブーンさんと非常に仲が良く、この2人は象使いなら誰もが知っている象業界の2トップの象使いだ。
 イサーンなまりのソムサックさんはとても早口で象についての知識を次から次へと教えてくれる。私はいまだに100%理解できないのが悔しいが、象への愛情はたっぷりと伝わってくる。驚いたのが、このソムサックさんがノンペンを買い取ったのだ。どういう経緯で、ノンペンがソムサックさんの所へ行ったのかはまだはっきりわかっていないのだが、ノンペンはトラックで長時間かけて南部の方へ行ったり、イサーン方面へ行ったりとタイ国内をぐるぐる回っていて、落ち着く先がなかったのだという。
 ソムサックさんからの話を聞いたとき、ジョーと私はしばらく言葉を失った。やっとでてきた言葉が、「なお、泣いたらダメだよ……」と言う震えたジョーの声。

すっかりお母さんの顔をしているノンペン
 7年前、メータマンであんなにのびのびと過ごしていたノンペンが私たちの知らないところでそんな目に遭っていたなんて……。私たちが手放すことによって、ノンペンは想像以上に過酷な7年間を過ごしていたのかもしれない……と思うと胸が痛くてたまらなかった。
 ノンペンとの再会はそんな複雑な心境だったのだが、なんとノンペンはお母さんになっていた。鼻が短いが目がチャームポイントのノンペンの顔は全く変わっていなかった。しっかり子象のお世話しているノンペンはやんちゃな面影は全くなく、とても大人びていた。そんな様子を見ると少し寂しくもあったが、ソムサックさんに引き取られていたのが何よりもの救いだと心から思った。
 人間の勝手で引き取り手がなくなった象たちの保護をしてきている私たちエレファントホームが、ノンペンにしてしまったこと……。ノンペンとの再会はもう2度とこういう目に遭う象を増やさないようにしようと、改めて誓い合う日になった。

(文・写真 by なお)
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ノンワーンとパッブン (229号) Mahout Diary

カテゴリー: メータマンからCHANG通信(象使い) | 2012.10.25 Thursday

 

メイン(パッブン(左)とノンワーン(右)
 エレファントホームにいる象の中で、私が一番思いを寄せているのが「パッブン」という雌象だ。エレファントホームの立ち上げ当時からいる一番の古株象だ。
 立ち上げ時は象使いがいなかったため、私がパッブンのお世話をしていた。象についての知識が深まったのも、パッブンがいたからだと私は思っている。パッブンを通してエレファントホームの象使いリーダーであるブーンさんからいろいろな事を教えてもらった。初めてパッブンに会った時からもう5年以上にもなるが、現在9歳のパッブンは相変わらず食いしん坊なおてんば娘といった感じで、やんちゃぶりが凄まじい。
 そんなパッブンが私は可愛くて仕方ないのだが、実は象使いからもお客様からもあまり人気がない。象使いの言うことをほとんど聞かないからだ。山へ行ってもバナナの木を見つけては道をはずれ、上に乗っているお客様のことなど考えずに、頭を崖の方に向け鼻を伸ばし何が何でも狙った食べ物を取ろうとする。上に乗っているお客様からしたら落ちるかと気が気じゃないのだ。実際に落ちたお客様はいないが、お客様からしたらもっと穏やかな象とゆっくりトレッキングを楽しみたいだろう。 

ノンワーンとティの信頼関係はエレファントホームナンバーワン!
 エレファントホームで、日本人に一番人気の象は「ノンワーン」だ。パッブンの次にやってきた象なので、エレファントホームの象の中でも古株である。雌象でまだ8歳だが、人懐っこい性格でお客様に甘えるので、初めてノンワーンと接した人たちは可愛くて仕方ないらしい。また、象使いに忠実というのがパッブンと違う一番大きな点だ。食べ物しか興味がないパッブンには素通りで「ノンワーン!!」と可愛がるお客様がとても多いのが現実だ。それを見るたびに私は複雑な気持ちになるが、ノンワーンの愛想の良さは私も見習いたいくらいだ。
 ノンワーンの象使い「ティ」もエレファントホームの中では古株で、エレファントホームの立ち上げ後、まもなくしてノンワーンとともにやってきた。約5年間、毎日ノンワーンにとめどない愛情を注いでいる。ノンワーンとティのコンビには癒されるとお客様から大人気だ。
 ノンワーンとパッブンは大の仲良しである。象舎の中でノンワーンを放し飼いにすると、パッブンの元へとまっしぐらだ。鼻を互いの口元へ持っていったり、絡ませたりしていつまででも遊ぶのだ。象使い体験でお客様を乗せているときも、ノンワーンとパッブンはくっついていることが多い。とにかく仲良しの2頭だ。

いつでもどこでも一緒にいるパッブンとノンワーン
 先日、パッブンとノンワーンと散歩に行った時のこと。象は怖がりな動物なので、エレファントホームの敷地内を出たら、象使いたちは最大の注意を払わなければならない。バイクや車はもちろんのこと、犬やヒヨコなども象は怖がる。観光地であるメータマン村には水牛がいて、観光客が牛車乗りを楽しめるスポットがあるのだが、その日は夕方だったし、お客様がいなくて私たちも油断していた。
牛車が突然視界に入ってきたのであろう、突然ノンワーンがその怖さのあまり走り出そうとした。その雰囲気を瞬時に感じとったパッブンは猛ダッシュを始めたのだ。一度走り出すと止まらない象たち。私はパッブンに乗っていたのだが、象使いは同行していなかったため、私は必至でパッブンにしがみつき、「ハウ!(止まれ)」と命令し続けた。それでも止まる気配のないパッブンの上で私はなぜか「ノンワーン、助けて〜!!」と叫んだ。結局フェイントをかけただけで、走らなかったノンワーンははるか後方にいたのだが、パッブンは次第に走る速度をゆるめ始め、なんと最後にはノンワーンのいる後方を頭にして止まったのである。
 最近では、ティが「あの時、僕がノンワーンにパッブンを止まらせろって命令したんだよ」と得意げに言ってくる。私のことはもちろんだが、象使いの言うこともなかなか聞かないパッブンをコントロールできるのは、もしかしたら、仲良しなノンワーンだけなのかもしれないと思ってしまう不思議な出来事だった。 

(文・写真 by なお)
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最高齢象ジャンピー (227号) Mahout Diary

カテゴリー: メータマンからCHANG通信(象使い) | 2012.09.25 Tuesday

 

ジャンピーのお決まりのポーズ 
 エレファントホームに72歳の象がやってきたのは2010年12月のことだ。象の寿命は80歳前後で人間とほぼ同じだ。しかし、その象は人間の72歳とは違い、現役で仕事をしていた。その象の名前は「ジャンピー」という。
 ジャンピーは10頭もの子象を出産し、今では何十頭もの孫やひ孫がいる。一般的に雌象は一生に4〜5頭の子象を産むといわれているので、ジャンピーの出産回数は平均を大きく上回る。ジャンピーの子象や孫たちは皆一緒には暮らさず、それぞれタイ各地の観光客向けの象キャンプで働いているそうだ。
 ジャンピーの飼い主であるオーナーは40歳(自称)。彼が生まれた時にはジャンピーはもうすでに家族の一員だったという。父親からジャンピーを受け継ぎ、ずっと一緒に過ごしてきた象なので、彼にとってみればどの象よりも思い入れが強いのだ。
エレファントホームにやって来る前、ジャンピーはメーホーンソーン県にある観光客向けの象キャンプで働いていた。そこでは、主に象タクシー(椅子を象にくくりつけ、お客さんをその椅子に乗せて山の中をトレッキングする仕事)をしていた。

最高齢のジャンピーと4歳のヌン。ヌンはよくなついていた。
 オーナーが高齢なジャンピーをそろそろ休ませてあげたいと思っていた矢先に、エレファントホームのリーダーであるブーンさんと知り合った。「決して象に重労働をさせない」、「過度のしつけをしない」、「できる限り自然に近い環境を象に与える」、「毎日十分な食料を象に与える」……などなど、エレファントホームで徹底している事や考えにジャンピーのオーナーも賛同してくれた。ここならジャンピーも幸せに過ごせるのではと、ぜひエレファントホームにジャンピーを連れて行きたいと言ってきた。
 ジャンピーは性格も良く、すぐに他の象たちとも馴染んだ。新米の象使いがエレファントホームにやってくると、ジャンピーの世話をするようブーンさんが指示するくらいジャンピーはどの象使いの言う事も忠実に聞き、何でもわかる象だった。
 何をするにもスローペースなジャンピー。遠くから「ジャンピー!」と呼んで近づいていくと、その10秒後に顔を私の方に向け、また10秒後にゆっくりと鼻を私に近づけてくる。また、食べるのも遅い。とうもろこしの葉を一束あげると、他の象たちは5〜10分でたいらげてしまうが、ジャンピーは1時間以上もかかる。本当にゆっくり食べるのだ。

泥浴び場所でもスローペースのジャンピー
 お客さんが象に乗り、一日象使い体験で山へ行ってしまうと、象舎はがらんとする。そこにジャンピーは放し飼いにされるのだ。日向に行ってみたり、水を飲んだり、とうもろこしの葉を食べたり、日陰で寝たりと気ままに過ごす。その気の赴くまま自由にしているジャンピーの様子を象使いと一緒に見ている時間が私はたまらなく好きだった。
 運動も必要なので、週に何度かは一日象使い体験のコースを行った。他の象は道草を食いながらもどんどん山を登っていくが、ジャンピーは休み休みゆっくり山を登っていく。
 そんなジャンピーも次第に山を登るのもしんどくなってきた。多少の運動は必要だが、一日体験で行くコースはジャンピーにとっては重労働だと判断したブーンさんはオーナーと話し合い、メーチェムにある高齢の象を受け入れてくれる施設に連れて行くことを決めたのだ。その施設はオーナーの住んでいるところと比較的近くていつでも会いに行けるところだという。
 いつか近いうちにエレファントホームからどこかへ行ってしまうだろうと私も薄々感じてはいたのだが、ブーンさんに直接聞けないでいた。エレファントホームからいなくなってしまうのは寂しいが、ジャンピーにとってはゆっくり体を休めることができる施設に行けることやオーナーの近くにいる方が幸せなのだ。「ジャンピー、お疲れ様! ありがとう!」とやっとの思いで伝えることができた。いつか絶対にジャンピーに会いに行くつもりだ。

(文・写真 by なお)
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新しい生命 (225号) Mahout Diary

カテゴリー: メータマンからCHANG通信(象使い) | 2012.08.25 Saturday

 

カメラに興味津々の子象ファーサーイ
 7月17日という日はエレファントホームにとって忘れられない1日となった。臨月を迎えていた妊娠象が、とうとう出産したのだ。
 母象の名前は「メー・ブンシュー」で45歳。もうすでに3頭の象を出産している経験豊富な母象だ。象の妊娠期間はなんと21ヶ月〜22ヶ月といわれているが、妊娠約18ヶ月のいわゆる臨月であろう時期に象使いと共にエレファントホームにやってきた。
 象使いの名前はヌンで28歳。20歳の時からメー・ブンシューと一緒に仕事をしている。メー・ブンシューはヌンのお父さんの象だ。お父さんがリタイヤしてからはヌンのお兄さんが象使いとしてメー・ブンシューと共に象キャンプで仕事をしていたそうだが、8年前からヌンがお世話している。ヌンが象使いになりたての頃、メーテーン象キャンプで約2年間働いた。主に、象タクシーをしていたそうだ。その後、エレファントネイチャーパークという象キャンプへ行き、そこで働きながら、メー・ブンシューは3頭目の子象を身ごもり、約2年後に出産した。
 メー・ブンシューの3頭目の小象誕生の年は、私がエレファントホームの立ち上げに加わった年、つまり日本からチェンマイへ来たばかりの年だ。まだ右も左もわからぬまま、エレファントホームで住み込みでお手伝いをしていた頃、象使いのリーダーであるブーンさんが「生まれたばかりの象を見に行くぞ!」と誘ってくれた。連れて行ってくれた先に、ヌンとメー・ブンシューがいたのだ。あの時は生まれたばかりの子象を見てあまりの小ささに驚き、しっかりと自分の足で立って母象の乳を口にする仕草に感動し涙が自然に溢れたのを今でも覚えている。その時の母象がメー・ブンシューだったということが最近ヌンと話していて発覚したのだ。
 余談だが、その3頭目の子象「ウェン」という雄象は今年5歳になり、メーテーン象キャンプの象ショーで活躍中だそうだ。まだ子象なのにサッカーボールを蹴ることもでき、お客さんからも人気があるようで象使いのヌンは自慢げによくそんな話をしてくれる。

母象が飲んでいる水を自分も飲もうと必死の子象ファーサーイ
 そして先月7月17日午前3時に、メー・ブンシューの4頭目の子象「ファーサーイ」が生まれた。雌象だ。メー・ブンシューは出産経験が豊富なため、今回の出産も大変落ち着いていたというからさすがである。
 出産シーンを1度肉眼で見るのがささやかな私の夢であるが、また今回も逃してしまった。今回の出産はたったの3分という驚異の速さで終了してしまったため、駆けつけた時にはもう生まれていたのだ。ヌンからの「なお! もうすぐ生まれそうだからエレファントホームに帰っておいで!」という連絡の後、本当にすぐに生まれたのだ。象によっては(特に初産の場合)24時間〜1週間も出産に苦しむとブーンさんが教えてくれたが、メー・ブンシューは出産前に大声で鳴くこともなかったようだ。「乳も張ってきているし、動きに落ち着きがなかったから、もうそろそろかなと思っていたら本当にすぐ生まれたんだよ!」とヌンも驚きを隠せない様子だった。
「出産時は、人間が手助けをすることなく、限りなく自然に近い状態にしてあげる」。これは、エレファントホームのオーナーであるサティエンさんの考え方だ。ヌンもその考えに賛同して、今回の出産は遠くから見守った。
 それでも出産後の最初の1時間は手助けしたくて仕方なかった様だ。子象は立ち上がっては転び、四足で踏ん張ろうとしてはフラっとバランスを崩してしまうという繰り返しだ。出産から2時間後にはじめて母象の乳を見つけ、しばらく飲み続けたという。その一部始終を見ていたヌンは手助けしなくてもこんなに早く立ち上がれるということにえらく感動していた。
 同日、子象の誕生を待っていたかのように猫2匹、鶏1羽も出産した。おかげで、新しいいくつもの命が同じ日に同じ場所で誕生し、私たちは彼らに幸せのおすそ分けをしてもらった。 

(文・写真 by なお)
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親子象の別れの儀式 (223号)  Mahout Daiary

カテゴリー: メータマンからCHANG通信(象使い) | 2012.07.25 Wednesday

 

象の親子
 今年3月、エレファントホームにひと組の親子象がチェンラーイからやってきた。母親の名前はブンナム、子象はプラチョークで2歳の雄象だ。ブンナムはエレファントホームのオーナーであるサティエンさんの象で、購入してからずっとチェンラーイの象キャンプで働いていた。
 チェンマイのメータマンにエレファントホームを本格的に立ち上げた頃にブンナムが妊娠した。子象が生まれて落ち着いたらエレファントホームに連れてきたいとサティエンさんはずっと言っていたのだが、それからもう4年経つ。というのも、象の妊娠期間は約2年(22ヶ月)と長いし、生まれてきた子象が雄象でなかなか落ち着かず2歳までチェンラーイにいさせることにしたためだ。
 母象ブンナムはまさにサティエンさんが好きそうな象だ。うまく表現できないのだが、ブンナムを見ていると見た目からも中身からもサティエンさんのオーラを感じる。体格は適度に太っていて耳が大きく、鼻は長く立派だ。何よりもとても優しい目をしている。穏やかな性格でおとなしいほうだ。
 一方、プラチョークはいたずらっ子でわんぱくな子象だ。加減を知らないので、近づいていくとものすごい勢いで突進してきて頭突きや鼻を上下にふり、突き飛ばそうとする。本人は遊ぼうとしているだけなのだが、これでは一緒に遊ぶことすらできない。私が今まで見てきた子象の中で一番暴れん坊だ。一般的に雄象は雌象よりやんちゃだと聞くが、プラチョークは雄象の中でも特に力も強く、わんぱくだという
 そんなプラチョークもまだ2歳なので、実はとても甘えん坊だ。母象が大好きだというのが節々で見受けられる。ミルクを飲む時以外も母象に自分の体をこすりつけて甘える。母象もそれを受け入れしばらくじっとして、やりたいようにさせている。そんな姿を見ていると、親子の関係って人間も象も同じだなと心がぽっと温かくなる。

山から下りてきて水浴びするプラチョーク。象使いたちが交代でお世話をしている。
 そして、いよいよ「親子象の別れの儀式」をすることになった。2歳のプラチョークは、そろそろ乳離れをして基本的なしつけを始めないと力加減を知らない危ない象になってしまう。私はテレビなどで親子象の別れの儀式を見たことはあったのだが、実際には見たことがない。そもそも、その儀式自体を見たいと思ったこともなかった。
 今回サティエンさんの象ということもあり、少し気になって象使いのリーダーであるブーンさんに聞いたところ、その儀式に女性の立会いは禁止だという。儀式は象使いではなく、象の先生をわざわざ呼んで執り行われるのだ。
 象の先生というのは、親子象の別れの儀式を取り仕切るだけではなく、小象のしつけをする専門の先生だ。その先生によってしつけの方法なども違うのだが、基本的なしつけができるようになるまで象キャンプなどで雇われるのだ。今回の象の先生はタイ人だったが、カレン族の先生もいて、カレン族の場合は女性がその儀式に立ち会ってもいいのだという。
 当日の朝、エレファントホームの裏山でその儀式は執り行われた。動物の勘が働き、山へ行くのを嫌がったのかと思い聞いてみたが、そのようなことは全くなかったらしい。ただ、母象ブンナムを子象プラチョークから放した途端、子象は鳴き出したという。それから、母象はエレファントホームに戻り、子象1頭だけ、山につながれ1週間過ごした。ミルクが欲しいと鳴いていたのは2日間ほどで、その後はバナナやとうもろこしの葉を少しずつ食べ始めたという。
 今はもうすっかり乳離れもできて、象使いたちと絆を深めているプラチョークだ。母象ブンナムとすれ違っても、あまり興味を示さないのには驚いた。あんなに2年間べったりだった親子象も乳離れするとこんなに変わってしまうのだ。少し寂しい気もしたが、子象の自立なのだから喜ぶべきことなんだと自分自身に言い聞かせる毎日だ。プラチョークと一緒に山へ行ける日が待ち遠しい。

(文・写真 by なお)
http://ameblo.jp/elephanthome
エレファントホームのお問い合わせ:
elephanthome@hotmail.co.jp (日本語)

 

 

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自分の心に植林を (221号) Mahout Diary

カテゴリー: メータマンからCHANG通信(象使い) | 2012.06.25 Monday

 

植林
 チェンマイにいると日本にいたら出会えなかったであろう人と知り合うことができる。例えば、象に関わっている人以外にも作家、漫画家、写真家、俳優の他にも洋服や雑貨などを作っている人など自分の道を切り開いている人に多く出会え、とても刺激になる。 
 先日もご縁があり東京大学の村井俊治名誉教授を筆頭に15人もの日本人と知り合うことができた。彼らは「タイで熱帯林を再生させるための支援活動」を行なっていて、今年で22年目だという。
 私が彼らと出会う約2週間前に、エレファントホームのオーナーであるサティエンさんから、「6月9日はとっても大事な日だから、必ずホームにいて、僕のお手伝いをしなさい。日本人15人が植林活動にホームへやってくるからそのお世話をなおがするんだよ」と言われた。状況が全く飲み込めない私だったが、気になったのは王室関係の人もやって来るということだった。ホームの土地の一部30ライ程(1ライ=約1600屐砲魏女様に献上し、そこで植林活動を行うのだという。普段、何かイベントがあっても前日や当日からしか準備しない村人やホームのスタッフたちが今回は2〜3週間ほど前から植林活動の準備をしていた。 
 前日の午後、突然その日本人一行はやってきた。9日朝に来ると聞いていたから、私はホームのマネージャーであるジョーや奥さんと仲良く昼ごはんを食べていた。急にサティエンさんに呼ばれ、今からミーティングだと言われた。こういう時にはもうその流れに身を任せるしかないので、素直に従いできる限りのお手伝いをした。ミーティングから夕飯までいろいろな話を通して、今回のプロジェクトの流れがやっと見えてきた。
 第二次世界大戦後、タイ国土の60%を占めていた森林は1990年には23%までに減少し、タイ国は洪水や土壌流出などの被害に悩まされていた。去年のタイ南部の大洪水も記憶に新しいところだ。しかも、驚くことに日本企業が商業伐採というかたちで森林伐採に多く関わっていたという。一方で、植林運動は森林伐採の2割程度しか行われておらず、森林回復には至らないという。その現実を目の当たりにした村井教授は「リ・グリーン・ムーブメント」を立ち上げた。彼はタイで環境保全林をつくる活動をするにあたって、ただ現地の人に訴えていくのではなく、王女様に話をもっていこうと思ったと言う。タイ人は王様をとても尊敬しているし、シリントーン王女様の推進しているプリンセス・プロジェクトの「自然資源保全プロジェクト」のもとで支援活動を行えば、タイ人も興味を持って参加してもらえるのではないかと考えたのだ。

2週間前から植林の準備をしてくれていた欧米人ボランティアたち
 着眼点がとてもいいし、さすがだと思ったが、村井教授曰くシリントーン王女様に許可してもらうまで約1年かかったという。王女様は「日本人が木を切っていて、あなたたち日本人が木を植えたいと言う。私には理解できない。その植えた木をまた日本人が切るのでしょう?」と最初は認めてもらえなかった。しかし、村井教授は諦めずにシリントーン王女様を説得し、環境保全林をつくる方法などを具体的に説明し、やっと許可がおりたのだ。
 それからプリンセス・プロジェクトのもとで約22年間タイ国内で支援活動を行なっている。最初の10年はミャンマー国境近くのラチャブリ周辺で、次の10年はナーンで植林活動を行ったそうだ。去年は洪水があった関係で活動を控え、今年はじめてチェンマイに来たという。 
 そしてその植林活動の開会式が6月9日行われた。250人位集まるだろうと聞かされていたが、その数を大幅に上回る400人もの村人たち・ボランティアの欧米人・他県や他市の人たちが植林活動に参加した。タイ王室の開発部部長であるキティさんが壇上に上がると、子供たちも大勢いたのに式が静かにとり行われた。
 植林後、セミナーが開催されたのだが、最後のキティさんの言葉がとても印象に残っている。
「今後この植林活動によって、大きな成果をもたらすことを確信しています。今日のことは責任もって王女様にお伝えします。まず皆さん自身が植林の大切さに気付いて下さい。皆さんの心に植林を! ここがスタート地点です。そして村が一丸となって森を守っていくことを願っています」

(文・写真 by なお)
エレファントホームのお問い合わせ:
elephanthome@hotmail.co.jp (日本語)

 

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