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新しい生命 Mahout Diary  (213号)

カテゴリー: メータマンからCHANG通信(象使い) | 2012.02.25 Saturday

 

親子
 去年同様、今年も乾季に入り、象キャンプには出産ピークが訪れている(なぜ乾季かは不明)。エレファントホームの象使いリーダーであるブーンさんのもとへも、週に1回は出産の知らせがくるらしい。今回はその1つを紹介したいと思う。
 エレファントホームから車で20分程の所(メーテーン地区)に、個人で経営している小さなエレファントキャンプがある。ここのオーナーはスリン出身の象使いで、雇っている象使いもカレン族ではなく全員スリン出身というメーテーン地区では珍しい象キャンプだ。映画「星になった少年」でブーンさんと一緒に象使いのまとめ役を引き受けたのがここのオーナーのソンポーンさんだ。また、実際に映画の中でファー役・ファーの母象役をした象がここの象キャンプにいる。ここにいる8頭の象は全てソンポーンさんのもので、全てスリンから連れてきた。この象キャンプはソンポーン一家と象の世話を手伝う象使いたちがいるだけで、とてもアットホームな象キャンプであり、ここの魅力はそこにある。 
母乳ですくすく育っている小象マリ
 ソンポーンさんは、「象は家族だ!」と力説する。エレファントホームでは、ある程度自立した象と象使いは他の象キャンプへと旅立ったりもするし、ブーンさんが象のブローカーということもあり象の売買が行われることもある。だけど、ソンポーンさんはそういう考えは頭の片隅にもなく、比較的私の象に対する理想論と似ているところがある。そんなソンポーンさんは、どんなにお金がなくても象を売ったりなんか絶対しない。タイ人が雌象を1頭購入し、小象を生ませそれを売って生活をしている人がいるという話を耳にしたことがあるし、私にもお誘いの声がかかったりするが、何かが違うような気がして断り続けている。ソンポーンさんはそんな私の気持ちをわかってくれるよき理解者だ。
 もう5年以上前になるだろうか。ソンポーン家の象クリスティーナに可愛い雌像がうまれた。久しぶりの小象の誕生にソンポーン一家は皆で可愛がっていた。ナッティーと名付けられたその小象はとても賢く母象にも似ていて美人さんだった。そんな幸せに満ちた毎日が、嘘のように突然崩れてしまったのだ。草刈りから戻ってきたソンポーンさんたちが、川岸にいる母象クリスティーナの異変に気付いた。その時、クリスティーナの足とナッティーの首を長いチェーンでつないでいたのだが、そのチェーンがナッティーの首にぐるぐるに巻きついていて、ナッティーの身体は川に浸かってもうすでに硬直していたという。ソンポーンさんがナッティーを抱き上げた時には時すでに遅しだった。
チェーンで繋がなくても母象から離れません。
  ソンポーン一家はしばらく悲しみに浸っていた時期があり、ナッティーの話は禁句だったが、それから2年程経った頃、あの過去は忘れてはいないけど、やはり小象が欲しいとソンポーンさんが言いはじめた。その後、触診したブーンさんがクリスティーナの妊娠を確信した。象は妊娠期間が2年と長いのだが、待って待ってようやく可愛らしい雌象が誕生した。クリスティーナは3度目のベテランママだし、ソンポーンさんも余裕をもってその時を迎えられたという。私は残念ながらその場に立ち会うことはできなかったが、先日会いに行ってきた。 
 やはり小象というのは癒される。象に興味がない人もうっとりしてしまうのではないかと思う。少し母象クリスティーナは気性が荒かったが、母なら自分の子供を守ろうとする当然のことだ。辛い過去があった分ソンポーン一家はこの小象「スカイ」に思い入れがあるように感じた。
 そして、この象キャンプにまた臨月を迎えている象がもう1頭いる。臨月になってもせっせと働いている姿がなんともたくましくみえるのだが、ぜひ私は出産に立ち会いたいと思っている。ソンポーンさん、約束通り連絡してくれるだろうか?

(文・写真 by なお)
エレファントホームのお問い合わせ:elephanthome@hotmail.co.jp (日本語)

 

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