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お客様からの贈り物 (217号) Mahout Diary

カテゴリー: メータマンからCHANG通信(象使い) | 2012.04.25 Wednesday

 

象さん
 トレーナーにフリースを重ね着していた乾季がいつの間にか通り過ぎ、そろそろ扇風機がないと蚊に刺されるは寝苦しくなるは……というあの夏がもうすぐ訪れようとしている。ソンクラーンの時期でタイは観光客で賑わうとはいえ、日本は新しい年度がはじまるということもあり、3月までは多く訪れていた日本人も4月にはぐんと減るのは毎年のことだ。 
 日本人だけではなく、全体的に訪れるお客様のピークも過ぎたのか、夜になると宿泊客のいない日も少なくない。お客様がいてもいなくても、エレファントホームの夜はそんなに変わりはないのだが、最近忙しくて落ち着いて話ができなかったマネージャーのジョー君と一緒にご飯を食べたり、ゆっくり語り合ったりする時間が増えるのが私個人的には嬉しいことである。

さすがパッブン! 盗み食い中…。
 先日、エレファントホームで2週間程ボランティアをしていた欧米人がいた。象使い体験プログラムではなく、ボランティアということもあり、その欧米人は毎日象にべったりということではなかったのだが、帰る前日には時に涙を流しながら「象の素晴らしさ」について熱く語っていた。そして次の日、送迎バスに乗り込む直前、「象のために使って欲しい」とジョー君に封筒を差し出した。その中にはチップとはいえないある程度のたまったお金が入っていたのだ。そこで私たちは話し合い、チップボックスや募金箱に入れることはせず、何か形にできないかと考えた。
 欧米人の気持ちを無駄にしないようエレファントホームの皆で考えたのが、「象舎の周りにフェンスを作ろう」という計画だ。これはジョー君の案で、ほぼ毎日欧米人と話をする中で、お客様は繋がれた象を見るより放し飼いになっている象を見たいという声が多数あったからだ。
 象はとても賢い動物なので、放し飼いというのは危険が伴う。象同士の相性もあり、急に喧嘩が始まることもある。興奮してしまった象は腕のいい象使いでもしずめるのに時間がかかるのだ。象使いの中には反対した者もいたが、象舎の周囲ということならそんなに広い範囲でもないだろうと納得し、フェンスを取り付けることになったのだ。

お腹も満たされ自由な象たち
 フェンスの中には水道管も取り付け、象たちが自分で水を飲みにいけるようにした。1日体験のお客様からの評判はよく、「象がハッピーな顔をしている!」とか「1日中ここに座って象の様子を見ていたい!」などと耳にするようになった。しかしながら、常連客からは、「象と自分の距離が遠くなった感じがして寂しい…」という声もあった。以前を知っているならではの意見だ。
 一方、象はというと……、私がひいきにしているパッブンという象は、放し飼いになった途端、一目散に水飲み場へ行き、ごくごくと喉を潤し、次にスタスタとフェンスの端へと向かった。パッブンの象使いも私も「どこ行くんだ…?」と疑問に思いながら、目でおってみると、なんと隅に置いてある取ってきたばかりのとうもろこしの葉をこっそりと食べ始めたではないか! その食べ物の在処をいつ知ったのかはわからないが…、パッブン、君は賢い! でも、明らかに盗み食いなので怒らなくてはいけない。……と思っていたのだが、次々と放し飼いになった象たちがやってきてパッブンのおこぼれをもらっているではないか。もう、これには私たちもお手上げで、「とうもろこしをここに置いた象使いたちが悪い」ということで落ち着き、象使いたちは象を叱ることはなく、象たちも心ゆくまでご馳走にありつけたのだった。
 次の日から、餌をあげるときは喧嘩にならないように、そして、誰かさんだけ多く食べたりせずに皆平等になるように、いつもどおり象舎に象をそれぞれ繋ぎ、一頭一頭にとうもろこしの葉を与えた。喧嘩もなく盗み食いもなく平和に終わった。そして、満たされた象たちを放し飼いにするのだった。

(文・写真 by なお)

エレファントホームのお問い合わせ:elephanthome@hotmail.co.jp (日本語)

 

 

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