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自分の心に植林を (221号) Mahout Diary

カテゴリー: メータマンからCHANG通信(象使い) | 2012.06.25 Monday

 

植林
 チェンマイにいると日本にいたら出会えなかったであろう人と知り合うことができる。例えば、象に関わっている人以外にも作家、漫画家、写真家、俳優の他にも洋服や雑貨などを作っている人など自分の道を切り開いている人に多く出会え、とても刺激になる。 
 先日もご縁があり東京大学の村井俊治名誉教授を筆頭に15人もの日本人と知り合うことができた。彼らは「タイで熱帯林を再生させるための支援活動」を行なっていて、今年で22年目だという。
 私が彼らと出会う約2週間前に、エレファントホームのオーナーであるサティエンさんから、「6月9日はとっても大事な日だから、必ずホームにいて、僕のお手伝いをしなさい。日本人15人が植林活動にホームへやってくるからそのお世話をなおがするんだよ」と言われた。状況が全く飲み込めない私だったが、気になったのは王室関係の人もやって来るということだった。ホームの土地の一部30ライ程(1ライ=約1600屐砲魏女様に献上し、そこで植林活動を行うのだという。普段、何かイベントがあっても前日や当日からしか準備しない村人やホームのスタッフたちが今回は2〜3週間ほど前から植林活動の準備をしていた。 
 前日の午後、突然その日本人一行はやってきた。9日朝に来ると聞いていたから、私はホームのマネージャーであるジョーや奥さんと仲良く昼ごはんを食べていた。急にサティエンさんに呼ばれ、今からミーティングだと言われた。こういう時にはもうその流れに身を任せるしかないので、素直に従いできる限りのお手伝いをした。ミーティングから夕飯までいろいろな話を通して、今回のプロジェクトの流れがやっと見えてきた。
 第二次世界大戦後、タイ国土の60%を占めていた森林は1990年には23%までに減少し、タイ国は洪水や土壌流出などの被害に悩まされていた。去年のタイ南部の大洪水も記憶に新しいところだ。しかも、驚くことに日本企業が商業伐採というかたちで森林伐採に多く関わっていたという。一方で、植林運動は森林伐採の2割程度しか行われておらず、森林回復には至らないという。その現実を目の当たりにした村井教授は「リ・グリーン・ムーブメント」を立ち上げた。彼はタイで環境保全林をつくる活動をするにあたって、ただ現地の人に訴えていくのではなく、王女様に話をもっていこうと思ったと言う。タイ人は王様をとても尊敬しているし、シリントーン王女様の推進しているプリンセス・プロジェクトの「自然資源保全プロジェクト」のもとで支援活動を行えば、タイ人も興味を持って参加してもらえるのではないかと考えたのだ。

2週間前から植林の準備をしてくれていた欧米人ボランティアたち
 着眼点がとてもいいし、さすがだと思ったが、村井教授曰くシリントーン王女様に許可してもらうまで約1年かかったという。王女様は「日本人が木を切っていて、あなたたち日本人が木を植えたいと言う。私には理解できない。その植えた木をまた日本人が切るのでしょう?」と最初は認めてもらえなかった。しかし、村井教授は諦めずにシリントーン王女様を説得し、環境保全林をつくる方法などを具体的に説明し、やっと許可がおりたのだ。
 それからプリンセス・プロジェクトのもとで約22年間タイ国内で支援活動を行なっている。最初の10年はミャンマー国境近くのラチャブリ周辺で、次の10年はナーンで植林活動を行ったそうだ。去年は洪水があった関係で活動を控え、今年はじめてチェンマイに来たという。 
 そしてその植林活動の開会式が6月9日行われた。250人位集まるだろうと聞かされていたが、その数を大幅に上回る400人もの村人たち・ボランティアの欧米人・他県や他市の人たちが植林活動に参加した。タイ王室の開発部部長であるキティさんが壇上に上がると、子供たちも大勢いたのに式が静かにとり行われた。
 植林後、セミナーが開催されたのだが、最後のキティさんの言葉がとても印象に残っている。
「今後この植林活動によって、大きな成果をもたらすことを確信しています。今日のことは責任もって王女様にお伝えします。まず皆さん自身が植林の大切さに気付いて下さい。皆さんの心に植林を! ここがスタート地点です。そして村が一丸となって森を守っていくことを願っています」

(文・写真 by なお)
エレファントホームのお問い合わせ:
elephanthome@hotmail.co.jp (日本語)

 

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