チェンマイ発・ちょっとディープな北タイ日本語情報誌CHAO『ちゃ〜お』は毎月10日、25日に発行。本文へスキップ

<< 「おかまとの遭遇」の巻 (223号) manga | 最新 | タイの柿 (224号) Thai Persimmon >>

親子象の別れの儀式 (223号)  Mahout Daiary

カテゴリー: メータマンからCHANG通信(象使い) | 2012.07.25 Wednesday

 

象の親子
 今年3月、エレファントホームにひと組の親子象がチェンラーイからやってきた。母親の名前はブンナム、子象はプラチョークで2歳の雄象だ。ブンナムはエレファントホームのオーナーであるサティエンさんの象で、購入してからずっとチェンラーイの象キャンプで働いていた。
 チェンマイのメータマンにエレファントホームを本格的に立ち上げた頃にブンナムが妊娠した。子象が生まれて落ち着いたらエレファントホームに連れてきたいとサティエンさんはずっと言っていたのだが、それからもう4年経つ。というのも、象の妊娠期間は約2年(22ヶ月)と長いし、生まれてきた子象が雄象でなかなか落ち着かず2歳までチェンラーイにいさせることにしたためだ。
 母象ブンナムはまさにサティエンさんが好きそうな象だ。うまく表現できないのだが、ブンナムを見ていると見た目からも中身からもサティエンさんのオーラを感じる。体格は適度に太っていて耳が大きく、鼻は長く立派だ。何よりもとても優しい目をしている。穏やかな性格でおとなしいほうだ。
 一方、プラチョークはいたずらっ子でわんぱくな子象だ。加減を知らないので、近づいていくとものすごい勢いで突進してきて頭突きや鼻を上下にふり、突き飛ばそうとする。本人は遊ぼうとしているだけなのだが、これでは一緒に遊ぶことすらできない。私が今まで見てきた子象の中で一番暴れん坊だ。一般的に雄象は雌象よりやんちゃだと聞くが、プラチョークは雄象の中でも特に力も強く、わんぱくだという
 そんなプラチョークもまだ2歳なので、実はとても甘えん坊だ。母象が大好きだというのが節々で見受けられる。ミルクを飲む時以外も母象に自分の体をこすりつけて甘える。母象もそれを受け入れしばらくじっとして、やりたいようにさせている。そんな姿を見ていると、親子の関係って人間も象も同じだなと心がぽっと温かくなる。

山から下りてきて水浴びするプラチョーク。象使いたちが交代でお世話をしている。
 そして、いよいよ「親子象の別れの儀式」をすることになった。2歳のプラチョークは、そろそろ乳離れをして基本的なしつけを始めないと力加減を知らない危ない象になってしまう。私はテレビなどで親子象の別れの儀式を見たことはあったのだが、実際には見たことがない。そもそも、その儀式自体を見たいと思ったこともなかった。
 今回サティエンさんの象ということもあり、少し気になって象使いのリーダーであるブーンさんに聞いたところ、その儀式に女性の立会いは禁止だという。儀式は象使いではなく、象の先生をわざわざ呼んで執り行われるのだ。
 象の先生というのは、親子象の別れの儀式を取り仕切るだけではなく、小象のしつけをする専門の先生だ。その先生によってしつけの方法なども違うのだが、基本的なしつけができるようになるまで象キャンプなどで雇われるのだ。今回の象の先生はタイ人だったが、カレン族の先生もいて、カレン族の場合は女性がその儀式に立ち会ってもいいのだという。
 当日の朝、エレファントホームの裏山でその儀式は執り行われた。動物の勘が働き、山へ行くのを嫌がったのかと思い聞いてみたが、そのようなことは全くなかったらしい。ただ、母象ブンナムを子象プラチョークから放した途端、子象は鳴き出したという。それから、母象はエレファントホームに戻り、子象1頭だけ、山につながれ1週間過ごした。ミルクが欲しいと鳴いていたのは2日間ほどで、その後はバナナやとうもろこしの葉を少しずつ食べ始めたという。
 今はもうすっかり乳離れもできて、象使いたちと絆を深めているプラチョークだ。母象ブンナムとすれ違っても、あまり興味を示さないのには驚いた。あんなに2年間べったりだった親子象も乳離れするとこんなに変わってしまうのだ。少し寂しい気もしたが、子象の自立なのだから喜ぶべきことなんだと自分自身に言い聞かせる毎日だ。プラチョークと一緒に山へ行ける日が待ち遠しい。

(文・写真 by なお)
http://ameblo.jp/elephanthome
エレファントホームのお問い合わせ:
elephanthome@hotmail.co.jp (日本語)

 

 

メータマンからCHANG通信(象使い) | Top