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新しい生命 (225号) Mahout Diary

カテゴリー: メータマンからCHANG通信(象使い) | 2012.08.25 Saturday

 

カメラに興味津々の子象ファーサーイ
 7月17日という日はエレファントホームにとって忘れられない1日となった。臨月を迎えていた妊娠象が、とうとう出産したのだ。
 母象の名前は「メー・ブンシュー」で45歳。もうすでに3頭の象を出産している経験豊富な母象だ。象の妊娠期間はなんと21ヶ月〜22ヶ月といわれているが、妊娠約18ヶ月のいわゆる臨月であろう時期に象使いと共にエレファントホームにやってきた。
 象使いの名前はヌンで28歳。20歳の時からメー・ブンシューと一緒に仕事をしている。メー・ブンシューはヌンのお父さんの象だ。お父さんがリタイヤしてからはヌンのお兄さんが象使いとしてメー・ブンシューと共に象キャンプで仕事をしていたそうだが、8年前からヌンがお世話している。ヌンが象使いになりたての頃、メーテーン象キャンプで約2年間働いた。主に、象タクシーをしていたそうだ。その後、エレファントネイチャーパークという象キャンプへ行き、そこで働きながら、メー・ブンシューは3頭目の子象を身ごもり、約2年後に出産した。
 メー・ブンシューの3頭目の小象誕生の年は、私がエレファントホームの立ち上げに加わった年、つまり日本からチェンマイへ来たばかりの年だ。まだ右も左もわからぬまま、エレファントホームで住み込みでお手伝いをしていた頃、象使いのリーダーであるブーンさんが「生まれたばかりの象を見に行くぞ!」と誘ってくれた。連れて行ってくれた先に、ヌンとメー・ブンシューがいたのだ。あの時は生まれたばかりの子象を見てあまりの小ささに驚き、しっかりと自分の足で立って母象の乳を口にする仕草に感動し涙が自然に溢れたのを今でも覚えている。その時の母象がメー・ブンシューだったということが最近ヌンと話していて発覚したのだ。
 余談だが、その3頭目の子象「ウェン」という雄象は今年5歳になり、メーテーン象キャンプの象ショーで活躍中だそうだ。まだ子象なのにサッカーボールを蹴ることもでき、お客さんからも人気があるようで象使いのヌンは自慢げによくそんな話をしてくれる。

母象が飲んでいる水を自分も飲もうと必死の子象ファーサーイ
 そして先月7月17日午前3時に、メー・ブンシューの4頭目の子象「ファーサーイ」が生まれた。雌象だ。メー・ブンシューは出産経験が豊富なため、今回の出産も大変落ち着いていたというからさすがである。
 出産シーンを1度肉眼で見るのがささやかな私の夢であるが、また今回も逃してしまった。今回の出産はたったの3分という驚異の速さで終了してしまったため、駆けつけた時にはもう生まれていたのだ。ヌンからの「なお! もうすぐ生まれそうだからエレファントホームに帰っておいで!」という連絡の後、本当にすぐに生まれたのだ。象によっては(特に初産の場合)24時間〜1週間も出産に苦しむとブーンさんが教えてくれたが、メー・ブンシューは出産前に大声で鳴くこともなかったようだ。「乳も張ってきているし、動きに落ち着きがなかったから、もうそろそろかなと思っていたら本当にすぐ生まれたんだよ!」とヌンも驚きを隠せない様子だった。
「出産時は、人間が手助けをすることなく、限りなく自然に近い状態にしてあげる」。これは、エレファントホームのオーナーであるサティエンさんの考え方だ。ヌンもその考えに賛同して、今回の出産は遠くから見守った。
 それでも出産後の最初の1時間は手助けしたくて仕方なかった様だ。子象は立ち上がっては転び、四足で踏ん張ろうとしてはフラっとバランスを崩してしまうという繰り返しだ。出産から2時間後にはじめて母象の乳を見つけ、しばらく飲み続けたという。その一部始終を見ていたヌンは手助けしなくてもこんなに早く立ち上がれるということにえらく感動していた。
 同日、子象の誕生を待っていたかのように猫2匹、鶏1羽も出産した。おかげで、新しいいくつもの命が同じ日に同じ場所で誕生し、私たちは彼らに幸せのおすそ分けをしてもらった。 

(文・写真 by なお)
http://ameblo.jp/elephanthome
エレファントホームのお問い合わせ:
elephanthome@hotmail.co.jp (日本語)

 

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