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最高齢象ジャンピー (227号) Mahout Diary

カテゴリー: メータマンからCHANG通信(象使い) | 2012.09.25 Tuesday

 

ジャンピーのお決まりのポーズ 
 エレファントホームに72歳の象がやってきたのは2010年12月のことだ。象の寿命は80歳前後で人間とほぼ同じだ。しかし、その象は人間の72歳とは違い、現役で仕事をしていた。その象の名前は「ジャンピー」という。
 ジャンピーは10頭もの子象を出産し、今では何十頭もの孫やひ孫がいる。一般的に雌象は一生に4〜5頭の子象を産むといわれているので、ジャンピーの出産回数は平均を大きく上回る。ジャンピーの子象や孫たちは皆一緒には暮らさず、それぞれタイ各地の観光客向けの象キャンプで働いているそうだ。
 ジャンピーの飼い主であるオーナーは40歳(自称)。彼が生まれた時にはジャンピーはもうすでに家族の一員だったという。父親からジャンピーを受け継ぎ、ずっと一緒に過ごしてきた象なので、彼にとってみればどの象よりも思い入れが強いのだ。
エレファントホームにやって来る前、ジャンピーはメーホーンソーン県にある観光客向けの象キャンプで働いていた。そこでは、主に象タクシー(椅子を象にくくりつけ、お客さんをその椅子に乗せて山の中をトレッキングする仕事)をしていた。

最高齢のジャンピーと4歳のヌン。ヌンはよくなついていた。
 オーナーが高齢なジャンピーをそろそろ休ませてあげたいと思っていた矢先に、エレファントホームのリーダーであるブーンさんと知り合った。「決して象に重労働をさせない」、「過度のしつけをしない」、「できる限り自然に近い環境を象に与える」、「毎日十分な食料を象に与える」……などなど、エレファントホームで徹底している事や考えにジャンピーのオーナーも賛同してくれた。ここならジャンピーも幸せに過ごせるのではと、ぜひエレファントホームにジャンピーを連れて行きたいと言ってきた。
 ジャンピーは性格も良く、すぐに他の象たちとも馴染んだ。新米の象使いがエレファントホームにやってくると、ジャンピーの世話をするようブーンさんが指示するくらいジャンピーはどの象使いの言う事も忠実に聞き、何でもわかる象だった。
 何をするにもスローペースなジャンピー。遠くから「ジャンピー!」と呼んで近づいていくと、その10秒後に顔を私の方に向け、また10秒後にゆっくりと鼻を私に近づけてくる。また、食べるのも遅い。とうもろこしの葉を一束あげると、他の象たちは5〜10分でたいらげてしまうが、ジャンピーは1時間以上もかかる。本当にゆっくり食べるのだ。

泥浴び場所でもスローペースのジャンピー
 お客さんが象に乗り、一日象使い体験で山へ行ってしまうと、象舎はがらんとする。そこにジャンピーは放し飼いにされるのだ。日向に行ってみたり、水を飲んだり、とうもろこしの葉を食べたり、日陰で寝たりと気ままに過ごす。その気の赴くまま自由にしているジャンピーの様子を象使いと一緒に見ている時間が私はたまらなく好きだった。
 運動も必要なので、週に何度かは一日象使い体験のコースを行った。他の象は道草を食いながらもどんどん山を登っていくが、ジャンピーは休み休みゆっくり山を登っていく。
 そんなジャンピーも次第に山を登るのもしんどくなってきた。多少の運動は必要だが、一日体験で行くコースはジャンピーにとっては重労働だと判断したブーンさんはオーナーと話し合い、メーチェムにある高齢の象を受け入れてくれる施設に連れて行くことを決めたのだ。その施設はオーナーの住んでいるところと比較的近くていつでも会いに行けるところだという。
 いつか近いうちにエレファントホームからどこかへ行ってしまうだろうと私も薄々感じてはいたのだが、ブーンさんに直接聞けないでいた。エレファントホームからいなくなってしまうのは寂しいが、ジャンピーにとってはゆっくり体を休めることができる施設に行けることやオーナーの近くにいる方が幸せなのだ。「ジャンピー、お疲れ様! ありがとう!」とやっとの思いで伝えることができた。いつか絶対にジャンピーに会いに行くつもりだ。

(文・写真 by なお)
http://ameblo.jp/elephanthome
エレファントホームのお問い合わせ:
elephanthome@hotmail.co.jp (日本語)

 

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