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ノンペンとの再会 (231号) Mahout Diary

カテゴリー: メータマンからCHANG通信(象使い) | 2012.11.25 Sunday

 

ノンペン
 先日、エレファントホームの象使いのリーダーであるブーンさんが、「なお、ノンペンがチェンマイ動物園にやってきたよ!」と教えてくれた。ノンペンというのは、エレファントホーム立ち上げの前に、オーナーのサティエンさんが飼っていた象だ。
 まだ私が日本に住んでいた頃、旅行でチェンマイを訪れているときに出会った象ノンペンは、実はエレファントホーム立ち上げの時はいなかった。当時、資金繰りに困っていたサティエンさんは大事にしていたノンペンを泣く泣く売ることにしたのだ。 
 ノンペンは観光業などの仕事をしたことがない、いわゆるペット感覚で飼われていためずらしい象で、とてもかしこかった。「星になった少年」という、日本人ではじめて象使いになり、夢半ばで突然の事故に遭い亡くなってしまった少年が主人公の映画があるが、そこでノンペンは女優デビューをしている。
 当時はそんなに熱心に教えなくても絵を描くことができた象だった。ノンペンが描いたいびつだけど味のある絵を私はとても気に入り、自分の部屋にずっと飾ってある。その絵を見るたびに、また、ノンペンに似ている容姿の象に会うたびに、私たちは、「ノンペンは元気かな? 何してるのかな? どこにいるんだろうね? 幸せだといいね」なんて話してはノンペンを懐かしがっていた。
 サティエンさんは知り合いにノンペンを売り、お金がたまったらすぐに買い戻そうとしていたのだが、次のオーナーも何らかの理由でノンペンを売ってしまい……。そんな流れで、結局ノンペンがどこにいるのかがもうわからなくなってしまっていた。

子象が遠くに行かないようにと注意するノンペン
 早速、私はエレファントホームのマネージャーであるジョーと一緒にチェンマイ動物園に行ってきた。現在、チェンマイ動物園には10頭ほどの象がいる。そのオーナーはスリン県出身の象使いソムサックさんで、ブーンさんと非常に仲が良く、この2人は象使いなら誰もが知っている象業界の2トップの象使いだ。
 イサーンなまりのソムサックさんはとても早口で象についての知識を次から次へと教えてくれる。私はいまだに100%理解できないのが悔しいが、象への愛情はたっぷりと伝わってくる。驚いたのが、このソムサックさんがノンペンを買い取ったのだ。どういう経緯で、ノンペンがソムサックさんの所へ行ったのかはまだはっきりわかっていないのだが、ノンペンはトラックで長時間かけて南部の方へ行ったり、イサーン方面へ行ったりとタイ国内をぐるぐる回っていて、落ち着く先がなかったのだという。
 ソムサックさんからの話を聞いたとき、ジョーと私はしばらく言葉を失った。やっとでてきた言葉が、「なお、泣いたらダメだよ……」と言う震えたジョーの声。

すっかりお母さんの顔をしているノンペン
 7年前、メータマンであんなにのびのびと過ごしていたノンペンが私たちの知らないところでそんな目に遭っていたなんて……。私たちが手放すことによって、ノンペンは想像以上に過酷な7年間を過ごしていたのかもしれない……と思うと胸が痛くてたまらなかった。
 ノンペンとの再会はそんな複雑な心境だったのだが、なんとノンペンはお母さんになっていた。鼻が短いが目がチャームポイントのノンペンの顔は全く変わっていなかった。しっかり子象のお世話しているノンペンはやんちゃな面影は全くなく、とても大人びていた。そんな様子を見ると少し寂しくもあったが、ソムサックさんに引き取られていたのが何よりもの救いだと心から思った。
 人間の勝手で引き取り手がなくなった象たちの保護をしてきている私たちエレファントホームが、ノンペンにしてしまったこと……。ノンペンとの再会はもう2度とこういう目に遭う象を増やさないようにしようと、改めて誓い合う日になった。

(文・写真 by なお)
http://ameblo.jp/elephanthome
エレファントホームのお問い合わせ:
elephanthome@hotmail.co.jp (日本語)

 

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