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義足とともに歩む 義肢装具士/國吉 晃代さん(chao257)ChiangMai Women's Café

カテゴリー: 今号のピックアップ | 2013.12.25 Wednesday

 

今月のピックアップコラムは
ディンディーカフェのオーナー、大熊あゆみさんの写真と文章による
「チェンマイで出会った輝く女性たちのストーリー」を紹介するコラムです。
毎回、素敵な女性たちが紹介されています。

第11回 「義足とともに歩む」    
今月のゲスト:義肢装具士/國吉 晃代さん


チェンマイ旧市街から車で約20分。
山の麓を流れる運河沿いを北に向かって走っていると、
右側に大きなピアノの形をした建物が見えてくる。
その建物のちょうど運河をはさんだ反対側左手にある白いきれいな建物、
ここが「タイ義肢財団」義足を必要とする人のための財団法人だ。

タイには全国的に糖尿病を初め急性の病いや交通事故で足を切断した人、
先天性の病気で生まれつき足のない人たちがいる。
しかし貧困や情報不足が理由で義足を得る機会がないまま、
日常生活を送ることが困難になり
職を失ったり差別にあったりする人が多いという現状がある。

そんな人たちを救うべく、約20年以上前に整形外科医のターチャイ博士が立ち上がり、
リサイクル品などを使った安価で実用的な義足製作技術を開発、無償で提供する活動を始めた。

その献身的な活動は後に国王のお母様であるシーナカリン王太后の目に留まり
1992年チェンマイに王太后の庇護の下、
義肢財団が創立される運びとなった。

現在、この財団法人にはターチャイ博士を初めとする
50名近くのタイ人スタッフが働いている。
その中で唯一日本人義肢装具士の現地スタッフとして活躍する國吉 晃代さんは
今年で勤続8年目。
背が高くロングヘアで知的な雰囲気を持つ女性だが、
話してみるととても気さくで飾り気もなく親しみが持てる。
そんな晃代さんのここでの仕事は
主に義肢・コルセット等の補助具の製作やアフリカなど
海外からの外国人研修生の受け入れ、
数ヶ月に渡る研修プログラムの英語テキスト作りから講義や試験問題の作成・添削、
また研修生が自国へ帰った後の施設立ち上げの手伝いに海外出張へ出向くなど、非常に幅広い。

元々日本は四国愛媛県の港町で育った晃代さんだが、
幼少時から家はホストファミリーとして留学生を受け入れていたため
外国人と交流する機会は多かったという。
義肢装具士という道を歩むきっかけになったのは、
就職活動を間近に控えた大学4年生の春のこと。
当時、「地雷禁止国際キャンペーン」に尽力し
ノーベル平和賞を受賞したばかりのアメリカ人平和活動家の講演を聞きに行き、
地雷の現状に衝撃を受けた。
中でも足を失った人たちの映像は
その後もずっと頭から離れず、
次第に「義足を作る仕事がしてみたい!」という思いが強まっていったという。

本屋で技術を学べる学校を探し、まずは両親を説得。
その後一年間は国立専門学校への受験勉強に専念し
翌年春に合格してからは
3年をかけてじっくりと専門知識を深めていった。

「実は入学当初、卒業したらすぐにでも現地で働こう!と意気込んでたんです」
と晃代さんは笑う。
しかし在学中に見学に行ったカンボジアの施設で、
必要なのは技術者でなく
技術発展のための指導者だという現実を目の当たりにし、
まずは日本で実践を積もうと決意。
卒業後は迷わず東京の義肢装具会社に就職した。

それから数年後の2005年の夏、運命の日が訪れる。
会社から帰宅途中に偶然再会した専門学校時代の先輩が
タイで一緒に働かないかと誘ってくれたのだ。
当時、日本財団の支援プロジェクトの一環として
5年計画で日本から指導者がタイへ派遣されていた。
タイミングが良かったので晃代さんはチェンマイ行きを即決。
移住後は現職場で派遣指導員として2年間働き、
任期を終えてからは再度ターチャイ博士と話し合い、
引き続き財団のスタッフとして従事することになった。

「ここのスタッフはみんなチームワークがいいから助かってます」
と笑顔で語る晃代さん。
「タイの人たちは全体的にマニュアルなどを作成するのが苦手。
準備もほとんどしないけど、
その代わりいざ本番という時の瞬発力と問題処理能力はすごい。
だから私もムリ強いはしないんです。
大丈夫かなー、と少し遠くで見てて困ってたら手を貸す。
そのくらいが丁度いいのかも。笑」

晃代さん自身の仕事に対する意識とスキルは
傍から見ていても感心してしまう。
しかしそれに驕ることなく
周りのペースも尊重しながら
うまく調和している姿がとても清々しい。

最後に今後の展望を聞いてみたが、
特別な思いはないようだった。

「義肢装具士」として今の役割に全うしている。
彼女にあるのは、見事なほどにこれ一つだった。


お知らせ:義肢の製作過程でリサイクル可能な空き缶のプルトップや
使い古しのストッキングのご寄付にご協力下さい。
土の家カフェ・ディンディーでも受け付けています。
チェンマイ義肢財団:www.prosthesesfoundation.or.th/(タイ語・英語)





 

 

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