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ロングステイの光と影

カテゴリー: ロングステイの光と影 | 2007.05.20 Sunday

 

<騙されるほうも悪い?!>

 リタイア後に海外に暮らそうと考えている日本人にとって、チェンマイは南国のロングステイ適地として、相変わらず人気上昇中です。TVや本・雑誌・ホームページなどで、チェンマイはロングステイ天国であると、いささか大本営発表の如くに喧伝されています。それは、ここ当面は押しとどめることのできない、大きなうねりにさえ思えます。
 そのうねりのなかで、詐欺やペテンまがいの被害をこうむる日本人が、新参のロングステイヤーを中心に、陰に陽に増大しているようです。それは、何もチェンマイに限ったことではありませんが、外国の事情に疎い新参日本人をカモにする、現地社会のベテラン日本人は後を絶たないようです。
 幸というか不幸というか微妙ですが、何せチェンマイ市内は小さく狭いので、日本人をカモにする懲りない日本人の人物像は、在住数年以上の情報通の日本人なら、おおよその見当はついてきます。しかし、やって来て間もない新参のロングステイヤーは、タイ語もわからず、いろいろな事情に疎いのは仕方ありません。そこで、どうしても先住のベテラン日本人や広告やお知らせに載っている日本人、日本人の集まりなど現地の日本人を頼りにしたくなります。
 現地での広告やお知らせですが、誤解を恐れずに言わせてもらえば、日本人経営とか日本人がいる店や会社の広告に対しては、2通りの見方に分かれるようです。1つは、同じ日本人で事情通だから安心できるであろう、との善意的な見方。もう1つは、日本人相手にしているのは、なんだか裏がありそうで怪しそう、との疑った見方である。
 もちろん後者の見方は少数で、広告内容文などでそれとなく匂いをかぎつけられる能力が必要です。いや、そのうさんくさそうな匂いを、敏感にかぎつけられるようにならないと、カモになり痛い目に遭う確率が高くなるでしょう。
 後を絶たない日本人による日本人への詐欺、ペテンまがいの行為。巷間でその話題が出ると、必ずどなたかが、判で押したように言います。「そんな話に簡単にのって、騙された日本人も落ち度があるのでは?」のような要旨の、冷めたというか突き放した見方が出てきます。それに付け加えて、「子供じゃあるまいし、一人前の大人だろう!」とか「事情や相場をよく調べなかったのだから、仕方あるまい!」。あるいは「まあ、高くついた授業料と、諦める他ないでしょう」。このように話されると、反論できずに妙に納得してしまいがちです。
 しかし、この強者の論理でいくと、「日本人をうまく騙したものがずる賢くて、騙された方の信じやすい善人日本人は、おめでたい馬鹿なのだ!」との論理にもなりかねないのではないでしょうか。

<クーリング・オフ制度の考え方>

 かなり以前になりますが、日本で言葉巧みに誘導するキャッチセールスなるものが流行して、泣き寝入りの被害者が続出しました。そのキャッチセールスは、不利なことは一切知らせず、とにかく強引に考える暇を与えず、素早く契約書にサインとハンコを得ることでした。つまり、契約に本人が合意したのだから、あとはそれを盾に、不当な支払を強要するのです。
 あまりにも被害が拡大して社会問題にも発展し、消費者団体を中心に国に防止策を求めました。そしてようやく、弱者の立場になる消費者を保護するために、「クーリング・オフ制度」が制定されたのです。それは、消費者が販売業者と結んだ契約に対して、期間内であれば書面による通意によって、無条件で申込みの撤回や契約の解除ができる制度です。
 ところが、民法では当然のことながら、一度契約をしたら守らなければならない(=履行)ということが義務付けられています。そのため、一方的に契約を解除することは、原則として認めていません。にもかかわらず、どうしてクーリング・オフを実行することによって、契約が解除できるようになったのかが、重要なポイントです。
 それは、民法の考え方が、契約当事者の双方に「情報や能力の差」がなく、十分に契約の内容を考慮して契約がされています。そのことが契約の前提になっていますので、その前提を無視した契約は、民法上の契約にはあたらないとしたからです。この制度の成立は、日本の消費者保護の歴史では画期的な制度です。
 もちろん、ここは日本ではなくタイなので、そのような制度など述べたところで、何の役にも立たないことは百も承知です。しかし、上記のクーリング・オフ制度を制定させたほど、日本人の消費者意識は進んでいるのです。また、「後で騙されたとして気付いても、契約したからには仕方ない」との考え方が、民法でも通用しない旧態依然とした古い考え方なのです。タイ人にそのような考えを求めるのは無理だとしても、少なくとも同じ日本人同士なら、そこまでの認識や考え方を、お互いに持ってもらいたいものです。

<陰の情報は自分で収集しよう!>

 ロングステイの光の部分の情報は、流行もあいまって氾濫しており、その気になれば、消化不良を起こすぐらいに収集できるでしょう。他方、重要不可欠とも思えるロングステイの陰の情報は、陰だけに見えにくく、マスコミ媒体ではほとんど入手困難と思われます。もちろん「ロングステイでの注意点」なる、一般的で表面的な情報は、マスコミ媒体にも付録程度に述べていますが。
 結局のところ、チェンマイのロングステイの陰の情報は、自分の足と耳で他人から直接入手する他ないのかもしれません。しかし、被害者当人からの直接情報はなかなか困難で、どうしても市井の口コミの範疇になってしまいます。
 そこで、口コミでの陰の情報には、どうしても信憑性が薄くなりがちです。そうなると、やはりより多くの方から、それとなく陰の情報を仕入れたほうが無難でしょう。人それぞれに、ものの言い方、ものの捉え方がありますので、決して鵜呑みにせず、自分なりに慎重にかつ総合的に判断することが、どうしても必要となってくるでしょう。

<ロングステイヤーの範疇は?>

 お断りしておきますが、タイ人配偶者を得て家族と定住している定住日本人は、いわゆるロングステイヤーの範疇には入らないでしょう。タイ政府観光庁も、ロングステイを「1ヶ月以上滞在の外国人長期旅行者」と定義していることからも、そのことは明瞭です。
 しかし、今だもって上記の定住日本人とロングステイヤーを、混同して捉えているケースが少なくありません。同じタイで暮らしている日本人なのだから、杓子定規で捉えて区別する必要もないでしょう。そういう捉え方をしても、それはそれでその人の考え方でしょう。チェンマイ・ロングステイの陰の部分の役を演じている方は、ロングステイヤーは少数で、むしろ大半は定住ベテラン日本人と認識した方が無難でしょう。
 チェンマイ・ロングステイは、今後も注目を集め、盛んになることと思われます。それはそれで、日本の中の一部の人にとっては、時代の流れなのかもしれません。最初の契機はどうであれ、チェンマイ・ロングステイが有意義で楽しく継続するには、どこの国でもあるであろう、陰の部分を直視する必要があるのではないでしょうか。石橋を叩いて渡る、場合によっては、石橋を叩いても渡らない、との警戒心が必要でしょう。ここは日本ではなく、異国のタイなのですから。

(55号掲載)

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