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終の棲家を求めて!

カテゴリー: ロングステイの光と影 | 2007.05.21 Monday

 

 チェンマイを中心とするロングステイは、もはや押しとどめることのできない大きなうねりとなりつつあるようです。そして、そのうねりのなかで、男性の方、それも年配や高齢の方の単身ロングステイが爆発しそうな情勢です。
 もうかれこれ10年前でしょうか。「タイは若いうちに行け!」とのキャッチコピーをタイ政府観光局が日本のTVで宣伝していました。そのキャッチコピーには、「なんとも大胆なことを!」と、思わずにんまりしたのを覚えています。時代は巡って、「タイ(チェンマイ)は年とってから行け!」ではありませんが、チェンマイ市内には、ロングステイ関係の年配の単身男性やご夫婦の方を、本当に多く見かけるようになりました。それも、ここ数年で、それ以前はほとんど見かけなかったのですから、驚くべき変化に思えます。 このコラムでは、ずっとロングステイの「影」の部分を多く記してきました。読者の方からは、もっと希望と夢を与える「光」の部分を紹介してほしい、との声も寄せられてきました。もっともなことでしょう。しかし、実際にチェンマイにやってきて、数週間なり過ごして、積極的に外に出て現地の人たちと接すれば、おのずと良さや魅力を肌で感じると思います。それを感じない方がおられたら、それは「自分と空気が合わない」ので、別の国や場所を求めて去っていくでしょう。
「こちらがおっちゃん、おばちゃんでも、こちらの若い人は、微笑みを自然に返してくれますね。これは本当に嬉しいです。日本なんかで、見ず知らずの人ににっこり微笑んだら、それこそ変な目で見られ馬鹿にされます。とくに、今どきの日本の若い女性に微笑を投げかけたら、それこそ変態扱いされますよ!」
「こちらは、目上の人に対して尊敬の念をしっかり持っています。そして、特にお年寄りに対しては皆さんが親切にするようですね。こんなことは、今の日本ではもう望むべくもありませんね!」
 上記のような趣旨の印象を、嬉しく語ってくれる日本の方がしばしばいらっしゃいます。極端な物言いかもしれませんが、これが、年配や老齢の単身男性の「チェンマイの居心地の良さの原点」ではないでしょうか。
 いや、若い女性が笑みを見せて親切にしてくれるのは、財布のお金に対してで、勘違いもはなはだしい。そのようなクールな見方をする方も多い。それを否定はしないし、むしろ、当たっている場合も多いでしょう。それは男性の方が特定の若い女性に迫る場合に当てはまるでしょうが、今回の話は日常生活で出会う一般の人のことです。
 人と人の日々の何気ない交流に、笑みと親切が自然な形で介在する場合が多いです。このことがチェンマイ(タイ)の大きな魅力、あるいは癒しになっているような気がします。
 その交流の居心地良さを繰り返し感受してしまうと、年配・老齢単身男性は、日本に背を向けてしまうでしょう。隣近所はもちろん、兄弟親戚の間柄でさえよそよそしい交流しか期待できない日本。常に他人の目を気にして暮らさなければならない日本。そんな日本など、帰りたい場所ではなくなってきます。こうして、チェンマイが終の棲家になっていく年配・老齢の単身男性が少しずつ増えていく傾向になるでしょう。もちろん、それ相応の生活費は必須でありますが、お金のかかる人付き合いや遊びも限定し、節約を心がければ、それこそ日本では考えられない少ない出費で暮らせます。
 
終の棲家の幻想!

 最近になって、年配・老齢単身男性の方で、不運にも、交通事故や病気で突然倒れるという不慮の事態に遭遇された話を耳にするようになってきています。そのような場合、周囲の身近な日本の方に何かと世話になって、窮地を脱しているようです。
 今後年配・老齢単身の男性のロングステイが爆発的に増大すると、年齢が年齢だけに、突然入院したり、突然死亡したりする方が増えてくるでしょう。その時になってみて初めて、ここは日本ではなく、所詮は異国のタイでの孤独な一人暮らしという、重い現実と不安に気づかされるのかもしれません。
 日本のように隣近所や周囲の目を気にかけることなく、微笑みの国タイの人々の持つ寛容な空気の良さ。それに甘えてしまい、ついついタイを終の棲家にと考えてしまう年配・老齢単身の男性ロングステイヤー。このようなことを述べた方がおられます。「ここを終の棲家として骨を埋めるかどうかは、私が決めることではなく、あくまでタイが決めることでしょう!」と。

(70号掲載) 

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