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日本人の自殺や弧老死の波紋

カテゴリー: ロングステイの光と影 | 2007.05.21 Monday

 

 11月下旬にチェンマイ市内で日本人の悲しい死が相次いだ。一人は、ロングステイ中の老人で、滞在先ホテルで急病が原因で弧老死。もう一人は、ホテルに長期滞在の青年が自殺。前者は地元新聞の記事とはならず、後者は2つの代表的な地元新聞に1面トップで大きく報道された。
 チェンマイ・チェンライを中心に、年配・老人のワケあり単身ロングステイヤーが急増。それにともなって、今後弧老死が増えるのではないかと、以前のこのコラムで記した。なにせ異国での単身暮らしでは、言葉の壁などもあり、非業の弧老死の確率は高くなるのも現実であろう。それをできるだけ避け、あるいは事が起こった場合の相互扶助など、有効な方策を具体化する段階にきているのかもしれない。 
 次に、地元新聞でトップ面に大々的に取り扱われた日本人青年の自殺。今回は、地元新聞でのその事件のショッキングな取り扱いに、在住日本人も少なからず驚いたのではないか。地元紙の一つには、トップにその事件の大きな写真。ホテルの部屋のトイレで発見された青年の首吊り死体が、なんらぼかしも入れずにそのままで掲載。それだけでなく、自殺者がはっきりわかるようにと、多分パスポートからだと思われる顔写真も掲載。それにさらに驚いたのは、日本語で記された短い遺書がそのまま写真で掲載。もちろん新聞読者のタイ人には理解不能だが、日本人には一字一句まで読めて、遺書の最後に記してある青年の漢字での正確な姓名まで判明。タイの新聞では、死体や遺体をほぼそのまま掲載する場合が多いのは事実。発見時の死体写真をそのまま掲載する場合も普通といえるので、今回の悲惨な写真もその延長線上で、タイ人には驚くべきことでもない。しかし、タイ人に読めない日本語遺書まで公開するなどとは。こちらの新聞では、殺人、事故死や変死や自殺死記事などでは、遺体の写真が載るだけでなく、事故の起こったホテルなどの名前のみならず部屋番号さえ記すのが普通。あるいは妻や愛人名とその住所まで記されるのも普通と考えたほうがよい。
 日本では、プライバシーや個人情報の保護、自殺など社会を暗くする記事は基本的には自主規制、悲惨な死体写真は遺族の心情など考えてタブー視する。以上のような観点は、こちらの新聞にはほとんどないということ。その善し悪しの議論は別にして、万が一の不幸の場合は、このマスコミの現実と否が応でも向き合わねばならない。日本人在住者やロングステイヤー、日本人旅行者はこのことを肝に銘じておく必要があろうかと。
 杞憂に過ぎないといいのだが、チェンマイやチェンライのロングステイの人気ぶりとは裏腹に、こちらに死に場所を求めにやってくるようなロングステイの影がぼんやり見え隠れする。こちらで単身者が突然の死となると、異国だけに総領事館の手を煩わすことになる。そして遺族が急遽日本から飛んできて、現地通訳者を雇い、遺体引取り・火葬・葬式などと慣れぬ事後処理を急いで行なう必要に迫られる。
 弧老死や自殺に関して、死者に鞭打つようなことは避けたいが、その現地マスコミ報道や事後処理など祖国日本とは雲泥の差であることを知っておいて欲しい。

(89号掲載)

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