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国際人たる日本人を試される

カテゴリー: ロングステイの光と影 | 2007.05.21 Monday

 

 今年の4月から始まるといわれるいわゆる「団塊世代の大量定年退職」。その「団塊世代」を待つまでもなく、数年前から、チェンマイ市内では日本人ロングステイヤー、リピートステイヤーが急増している。日本人に適当なアパートやマンションが多くある、フエイケーオ通り、ニマーンヘーミン通りでは、歩道を歩く年配日本人男女の姿が本当に多くなった。また、日本料理のレストランや食堂、屋台で見かける年配日本人の姿も多くなった。つまり、チェンマイ市内のあちこちで見かける年配日本人の姿が急増してきている。
 いろんな人がいろんな所からいろんなことで集まってきて成り立つのが都会や町。その都会や町にはそれなりの服装や行動様式が求められる。それなりの服装や行動様式を言い換えるならば、周囲の人たちに不快感や奇異感を与えない常識的なそれといえよう。このようなわかりきったことをわざわざ取り上げるのにはワケがある。
 というのは、ロングステイないしはリピートステイ日本人おじさん・おばさんの中に、一部ではあるが周囲に不快感や奇異感を与える人が出てきている。不快感でいえば、都会や町中での当たり障りのない服装を無視して、家や部屋の中での服装そのままで外出するおじさん。小汚い服装とまではいわないまでも、よれよれの服装であちこちを歩くと、当人は気付かないだろうが、周囲の現地の人や外国人(特に同類の日本人)には不快感を与えるであろう。
 そのようなTPOを無視した服装のおじさんからいわせれば、「誰かに迷惑を与えているわけでなし、好きにさせてくれ!」と。しかし、ここは日本ではなく異国のタイであることを、そのようなおじさんはすっかり忘れている。つまり、日本の都会や町でなら「あの変な人」と周囲から見られて終わりだろうが、チェンマイ市内では「あの変な日本人」と、周囲のタイ人や外国人から見られるということ。こうなると、チェンマイ市内にいる大勢の日本人にとっても、関係ないこととして見過ごすことはできないであろう。
 日本国内に暮らしていればいろんなことがあっても「あの人は」で終わる。だが、チェンマイで暮らしていると「あの日本人は」となる。このちょっとの違いが、実は大きな違いであることを認識する必要があろう。それは、チェンマイに来たら(別にチェンラーイでもタイのどこでも構いませんが)異国である以上、好むと好まざるに関わらず、意識するしないに関わらず、祖国日本を背負った国際人にならざるを得ないということ。だからといって、日本を日本人を常に意識しようなどといっているのではない。日本での道徳倫理やエチケットなどの社会常識を、タイでも同様に守るように意識するだけのこと。そういえば至極簡単なことだが、タイには他の国にないような誘惑の落とし穴がある。つまり、タイの国民気質である「マイペンライ」。それに付随しての「サヌック(楽しい)」「サバーイ(気持ちよい)」「サドゥアック(便利)」。これはともすると、他人や周囲の目など気にせずに、自分本位で勝手気ままに過せば良いと思い込んでしまう。確かに、その一面はあろうが、タイ人気質の都合の良い面だけを取り入れて、それを自慢する日本人は間違っている。我々がいかなる立ち居振る舞いを行なっても、日本人として見られるという現実は忘れるべきではない。それは同時に、タイにいる日本人というインターナショナルな視点で見られるという現実でもある。
 4月から始まる「団塊世代の大量定年退職」は「2007年問題」とまで大きく取り上げられている。そして退職後の団塊世代の選択肢の一つに、海外ロングステイが挙げられているのは周知の事実。その海外ロングステイ先候補地に、タイのチェンマイが上位で脚光を浴びているのも事実。
 これまでにも繰り返し警鐘を鳴らしてきたように、人気のあるロングステイ・チェンマイだが、現実には、日本では生活が苦しい年金移民・貯蓄移民という、いわば影のロングステイヤーが急増している。それはそれで、タイという国や国民は受け入れてくれる寛容性を持っている。それだからこそなおさら、国際人たる日本人を試される機会が増えている。
 なにも難しい立ち居振る舞いをしようというのではない。同じ日本人として、他の日本人から眉をしかめられるような立ち居振る舞いを、お互いに注意しあってやめようというだけのことである。

(96号掲載)

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