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「金行=銀行」

カテゴリー: ギャ!ギャップ!これって常識?非常識? | 2007.05.21 Monday

 

ギャギャップ96号金行銀行  タイの町を歩いてビックリするのは、表通りの目抜きの場所にカウンターやその後ろの壁面に金キラの装飾品がびっしり並んだ中国風の真っ赤な造作の店があることで、「金行」という漢字から想像はするが、それが全部本物の金製品であると聞いてさらにビックリする。これらは見た通り金製品の小売店で、この商売はバンコックのヤワラート(チャイナタウン)を本拠とする中国系タイ人の独占であるから、その中国風造作や漢字の看板も納得出来る。
 日本にも金を扱う商売があるが、全国的にいくつかの地味で目立たない歴史ある伝統的な流通業者で、金の精錬業者から純度証明刻印ある金塊を買い入れて宝飾店に金の原材料として卸売りするのが本業で小売はまず無い。時には金持ちが財産隠匿のためかこの金塊(インゴット)を直接買うこともあるくらいである。タイの社会に入り込んでみると、よれよれTシャツのオジサンや地べたに座って野菜を売るオバサンも、結構太い金のネックレスにこれも金で縁取りしたお守(クルアン)を下げていて、太いかまぼこ指輪も珍しくない。日本でこんなファッションをしていたら、間違いなくその筋の人かと疑われてしまう。
 金は確かに貴金属の王様であるが、現在日本ではそれ自身が独立してアクセサリーになることは少なく、宝飾品のサポートとしてそれも強度や耐久性の為に純金、いわゆる24金では無い。一方、タイではほとんどが純金(正確には23金、96.7%、地方の店は純度が劣るの噂もある)で他の宝石や金属とのからみの無い装飾品で、デザインもごく共通であるのも大きな違いである。このギャップはこれだけポピュラーな金製品は、実はアクセサリーとしてではなくて庶民の大事な貯金なのである。金行の数は恐らく大手銀行の支店数を上回るはずであり、何の手続きも不要な現金取引で手持ちの金製品を持って行けば僅かな手数料で即座に現金で引き取ってくれる。だから庶民にとっては銀行以上に便利で、ボーナスや何かの副収入があった時には金を買い、子供の入学や親族の病気などで現金が必要になれば、金行に駆けつけるのである。タイに限らず東南アジアや中近東にはこの手の店が何処にもあるから、考え様によってはキャッシュカードより便利な庶民昔からの知恵であろう。
 ご承知のように金の世界相場は毎日刻々と変化するから、金行では入り口に必ずその日の販売と買入価格を表示して、タイの人は日本人以上に金の相場に関心がある。また、世界的常識では金の取引や価格の単位はキロ、グラム、オンスなどであるけれども、タイでは通常通貨と同じバーツと言う単位を使う。重さの単位の1バーツは15.2グラムで、このコラムを書いた時点では、重量1バーツの金は1万から1万1千バーツ余りで、もちろん買入価格の方が安い。店頭表示の数字もこのバーツが単位である。だから「このネックレスはXXバーツなんだ」とタイ人言いわれても、「エッ、そんなに安いの?」なんて勘違いして失礼しないように気を付けねばならない。公式統計でタイ人の60%は預貯金を持たないと言われるが、実は自分の銀行を常に持ち歩いているとも言える。

(読者の皆さんからビックリ!ギャップ体験を募集します。私suga@loxinfo.co.thかChao編集部へどうぞ)

(96号掲載)

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