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究極のダイエット

カテゴリー: 気まぐれ一発!コラム | 2007.05.21 Monday

 

気まぐれ88号 究極のダイエット 初っ端から尾篭な話で恐縮だが、またもやひどい下痢をしてしまった。またもやというのは、6月のラオス旅行に続いて今度はミャンマー=シャン州の旅でも腹を壊してしまったからだ。東南アジアの地で日本からやってきた旅行者が不衛生な食べ物にあたるのは旅の通過儀礼のようなもので珍しくも何ともないが、長らくタイで暮している私がこうも簡単に下痢になってしまっては格好が悪い。しかも、今回は旅の道中でまったく同じものを食べていた、超近代都市ニューヨーク在住のSさんがピンピンしているというのに…。いつからこんなにデリケートなお腹になってしまったのか。それとも急速な経済発展のおかげでタイの衛生状態が飛躍的に改善され、それに反比例するようにこちらの免疫力、抵抗力が落ちてしまったとでもいうのか。
 これほどまでに我がお腹が弱体化してしまったそもそものきっかけを探っていくと、15年前の食中毒体験に辿り着く。当時、メーホーンソンのリス族の村で野良仕事に励んでいた私は、ある日突然、高熱とひどい下痢に見舞われた。炎天下の暑さに負けて民家の軒下のボウフラが湧いていたような甕の水を飲んだためか、村でわけのわからぬキノコ料理を食ったせいか、正確な原因は不明だったが、未だかつて経験したこともないほどの苦しみを味わった。メーホーンソンの病院に3日間入院しても快癒しなかったが、帰国日が迫っていたので、中途半端な状態で病院を抜け出し、余計なものを出してはいけないと腰を浮かせるような姿勢で夜行バスに揺られてバンコクまで行き、やっとのことで帰国した。日本に戻ってからも、しばらくは調子がおかしく、1ヵ月もたってから39度以上の高熱がぶり返したりした。公立の総合病院で診てもらっても、ただ食中毒だろうというだけで、菌の特定すらできなかった。
 その結果、ほんの短期間に10kg以上も体重が減ってしまった。ただ単に下痢で激痩せしただけなのに、叔母さんからは「よっぽど充実した旅をしたのね。ずいぶん立派な顔になったわ」と過分に誉められたことを覚えている。確かにそのころに撮った写真を見ると、我ながら惚れ惚れするほど精悍な顔つきをしている。
 病院の消化器科の待合室に座っていると、隣の患者さん同士が話している言葉が耳に入ってきた。「腸は癖になるから、やっかいよ」「一度こじらすと、なかなか治らないんだって」などなど。その言葉を実証するように、下痢が収まった後も左の下腹部が常に落ち着かない感じで、それが癖になって現在まで続いている。
 その癖をほぼ決定的なものにしたのが、2年前の雲南省シーサンパンナの旅から帰った後の下痢だった。そのときの「犯人」は、タイルー族の人々で賑わうジンホン郊外のカンランバの市場でお土産に買った納豆の唐辛子漬けだった。市場ではプラスティックの樽に入れて売っていたので、冷蔵庫で保存するまでもなかろうとビニール袋に入れたままにしておいたものを食べたのがまずかった。空気に触れない密閉状態によって、雑菌(大腸菌の一種?)が勢いよく繁殖したらしい。大さじ一杯食べている妻は何ともないのに、舌に異変を感じて数粒つまんだだけで止めた私が2ヶ月も体調を崩したのは不公平そのもので納得できない。だが、改めて考えると、異変を感じたのに、なぜ吐き出さずにそのまま飲み込んでしまったのか。今さら後悔しても遅いが、この辺に本当の敗因がありそうだ。25年前の学生時代にも、焼き鳥屋でひと口食べて変だと思ったレバ刺しを飲み込み、見事にサルモネラ菌に感染して寝込んだことがあったから、改めるべきは我が食い意地のほうだろう。
 さらに駄目押しが、ラオスでの食中毒。このときは、友人の勧めでビエンチャンのクリニックに行き、点滴を受けるオマケまでついた。医者は私の顔を見るなり、診察するまでもなく、「ハンバーガーみたいなものを食べなかったか?」と尋ねる。そう言われてみると、ルアンパバーンのメコン川沿いの屋台で、見るからに旨そうな網焼きの唐辛子入りハンバーグをフランスパンに挟んでムシャムシャ食べたことを思い出した。あれが生焼けだったのかもしれない。霊能者並みの医者の直感には恐れ入ったが、暑い時期のラオスでは雑菌が繁殖しやすく火が通りにくいハンバーガーは要注意なのに違いない。
 そして、今回のミャンマー旅行中の下痢は、困ったことに原因がハッキリしない。確かに、チャイントンのレストランで覗いた台所の衛生レベルはお世辞にも高いとは言えないし、市場の屋台も小汚い。だからこそ、すべてきちんと火が通ったものを食べるように気を付けていたつもりだったのに、またもや腹を壊してしまうとは情けない。
 たかが下痢とはいえ、身体への過信は禁物だ。身体のコンディションによっては、食中毒で死に至ることも珍しくない。腸のダメージは、文字通りボディブローのように利いてくる。食欲も精気もなくなる。その結果、必然的に体重も減ってくる。
 ここしばらく続けてきたキャベツ・ダイエットとこの究極のダイエットによる相乗効果はてき面である。それでも、過去のたゆまぬ蓄積のおかげで、腹周りの脂肪のだぶつきは一向に変わらない。せめて精悍な顔つきだけでも甦って欲しいと密かに期待しているのだが…。

(88号掲載)

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