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カレン族の基礎知識

カテゴリー: タイの山岳民族(三輪隆) | 2007.05.21 Monday

 

45号 カレン族の基礎知識2 チェンライの街中を流れるメーコック川(メコン川の支流の1つである)を、モーターボートで1時間ほど上流に上っていくと、ルアミット村という大きなカレン族の村に着く。ここはチェンライで最も有名な観光地のひとつといっても過言ではないほど、連日多くの欧米人観光客が訪れる。最近では道路も整備されたので、巨大観光バスも乗り入れるようになった。お目当てはゾウ乗りツアーである。村の中に50頭ほどのゾウが飼われ、観光客を乗せて村の中を闊歩したり、他の村までゾウ乗りトレッキングに連れて行ってくれる。
 カレン族は象使いの名手だ。かつては野生のゾウを捕獲、調教し、木材の運搬などに使役していたというが、現在はチェンライ近辺にはもう野生のゾウは生息しておらず、スリンなど東北部からゾウを買ってくることもあるという。

45号 カレン族の基礎知識1 カレン族の未婚女性の衣装は、処女性を象徴する純白の巻頭衣風ワンピースで、文字通り可憐で清楚なイメージで世の男性諸氏には絶大な(?)人気を誇る。結婚すると、赤や青の上着とサロンに分かれたツーピースの衣装に着替える。この儀礼は結婚式の式次第の中にも入っているとか。
 タイのカレン族は、1925の村に87,793世帯、438,450人が住み、タイの山地民族の中では最大の人口を誇る(人口比はなんとタイの山岳民族の50%近くを占める)。居住地はタイ北部、中部の15の県に広くまたがっているが、特に人口が集中しているのが、チェンマイ県、メーホンソン県、ターク県の、カンチャナブリ県などのミャンマーとの国境地帯である。メーホンソン県では、カレン族の国会議員も誕生するほどの一大勢力をしめている。
 これまでに紹介してきた5つの民族が、主に中国南部からの移住者なのに対して、カレン族は現在のミャンマー東部が起源と考えられ、タイには18世紀から移住が始まったといわれている。現在もミャンマーにはカヤ州を中心に300万人以上のカレン族が住んでおり、民族の独立をかけて半世紀にわたって、ミャンマー政府と独立闘争を行ってきた歴史がある。
 自称は「パガニョー」で、「人」を意味する。タイ人からは、「カリヤン」「ヤン」などとも呼ばれる。チベット・ビルマ語派のカレン語を日常語としており、カレン語の表記はビルマ文字から借用されたものを使っている。
 カレン族は「スゴー・カレン」「ポー・カレン」という2つの大きな支族に別れ、それぞれ言語、習慣、民族衣装などが異なる。ポー・カレンは山地に住む傾向が強く、今でも伝統的なアニミズム宗教を保持している割合も高い。一方で、近年、キリスト教や仏教に改宗しているカレン族も多い。主な産業は農業で、ローテンションを守った定着型の焼畑農耕のほか、低地に住むカレン族では、水田耕作も行っている。
 ポー・カレン族の民族衣装にほどこされる織りのパターンや刺繍、そしてその上に縫いつけられるアクセサリーの数々は、スゴー・カレンよりもはるかに重厚かつ派手で、腕には数多くの銀や銅、錫、真鍮、アルミなどでできた手製のブレスレットをつける。男性も祭りなのときにはおしゃれに着飾り、顔に派手な化粧をする。
 スゴー・カレンの衣装はそれに比べるとかなりシンプルで、胸や腰、袖や裾の部分に赤い糸を織り込む程度である。織りの技術には定評がある。
 男性の衣装は、スゴー・カレン、ポー・カレンともに赤い糸で織った木綿の布を使った巻頭衣風の上着と黒または紺の筒型ズボン。老人にはターバンを巻く人もいる。男性は、山岳民族には珍しく、髭を蓄えた人も多い。

(45号掲載)

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