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ダルアン族(パローン族)の基礎知識

カテゴリー: タイの山岳民族(三輪隆) | 2007.05.21 Monday

 

47号 ダルアン族2 ダルアン族といっても知っている人は少ないだろうが、パローン族といえば名前だけは聞いたことがある人が多少はいるかもしれない。でもやはり知っている人は少ないだろう。タイの山岳民族の中でも超少数派なので、よほどの山岳民族通でないと、わざわざ村を訪れたりもしないだろう。衣装だけを見ると、ちょっと派手目なラフ・ニ族に見えなくもない。
 タイではパローン族もしくはベンロン族という名前で知られている。中国ではデーアン族(徳昂族)とも呼ばれる。
 もともとは中国雲南省やミャンマー東部に多くが居住し、タイ国内へは約30年程前に、ミャンマーの内戦を避けるために国境を越えて移住してきたと言われている。タイのダルアン族は、チェンマイ県のチェンダオ郡やファン郡に4ヶ所の村が知られている。チェンダオの観光コースとして有名なパデン村のダルアン族の人たちは、国道沿いに村をかまえ、立ち寄る欧米人観光客たちに民族衣装やアクセサリーなどのみやげ物を売っている。
47号 ダルアン族1 女性は一定の年齢に達すると、腰に籐や竹で作ったさまざまな輪の飾りものをつけるのが特徴。以前、日本の民放テレビでこのダルアン族が紹介され、巨乳が売り物の某女優がレポーターとして、なんだか見当違いな質問をしたりしていた。その中に、ダルアン族はこの腰の「たが」をどういった理由で身につけるのかという問題もあったと記憶しているが、その「正解」なるものも、「ホントかいな」とつっこみたくなるようなものだった。実際には、この腰の飾り物の由来や意味は不明だが、長い歴史をもっていることだけは確かである。
 日本放送協会出版から発行されている「雲南の少数民族」の中で、中国人研究者の桑耀華は以下のように記述している。
「徳昴族の女性には「たが」をはめる習俗がある。これには長い歴史と伝統があり、はるか唐代の史書にも記述があり、当時これを「籐蔑を腰にまとう」と称した。徳昴族の娘は成人に達すると腰部に5、6本から10本以上の籐でできた「腰箍(こしたが)」といわれる輪をつける。なかには2、30本つける者もいる。その太さなどは一定ではなく、多くは浅葱(あさぎ)、紅、黒などの色で仕上げてあり、また各種の模様を刻み、薄い銀の板で包んだものもあり、陽光のもとできらきら光る様は鮮やかで目を奪う」
 ダルアン族の人々は上座部仏教(いわゆるタイ仏教、小乗仏教)を信仰しており、村の中に寺や僧侶をおいている。ダルアン族の男子の中にも僧侶になってあの黄色い僧衣をまとっている者を見かける。
 ダルアン族の人たちは中国においてもミャンマーにおいても古くから茶の栽培を得意とし、自分たちでも愛飲している。「若い青年が求婚するとき、媒酌人をたのんで相手方の親に会いに行くときも、まず2、3斤の茶の包みを持っていく(桑耀華)」という。
 そういえば私自身、ミャンマーのラングーンで、あの民族衣装を着てお茶の葉を売りに来ていたダルアン族の女性を見かけ、嬉しくなって声をかけ、友達になったことがある。ダルアン語もビルマ語も話せない私が、どうやって彼女と会話したのか、さっぱり思い出せないのだが。

(47号掲載)

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