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アカ族のブランコ祭り(2)

カテゴリー: タイの山岳民族(三輪隆) | 2007.05.21 Monday

 

59号 アカ族のブランコ祭り■ 通常ブランコ祭りは、女たちのための祭りであるといわれるが、男たちももちろんブランコに乗ることができる。
 男性の乗り方は、ロープの先端を丸めてそこに足をかけ、立った状態で激しく宙を蹴って勢いをつけ、ターザンよろしく勇壮にブランコを揺らす。ブランコは180度以上、つまり逆さまになるぐらいまで、跳ね上がる。アクロバットの世界だ。
 女性が乗るときは、ロープの先端の結び目に座席用の板を差し込み、両足でロープにはさみこむようにして腰掛ける。両横にいる人たちが補助縄を使って揺らし、勢いをつけてくれる。
 この巨大ブランコの横に、4人乗りの観覧車タイプの乗り物も作られる。こちらは「ガラ・ラチュ」(西洋ブランコ)と呼ばれ、子供たちにも人気がある。
 民族衣装をまとった女性たちがブランコに乗る姿はなかなかさまになっている。しかし最近の若い娘さんたちは、短いアカ族のスカートだと、股間を覗き見られてしまうことを恐れてか、民族衣装を着てブランコに乗ることを好まなくなってしまった。
 ブランコを立てる朝、村の男たちは森に出かけ、同じぐらいの長さ、太さの生木を4本切り出してくる。先端にはいくばくかの葉がついていなければならない。また、巨大ブランコは、村の最も高い場所にある広場の、毎年同じ場所に建てなおさなければならない。 最初に埋め込む支柱の穴に、米、銀貨のかけら、水を3回ずつ供えてお払いした後、十数人の男たちが声をかけ合いながら、森から切ってきた生木の支柱を突き刺す。続いて残りの3本の支柱も埋め込んでいく。ブランコが完成するまでの所要時間はざっと1時間から1時間半ぐらい。
59号 アカ族のブランコ祭り■ ブランコに乗ることができるのは正味2日間だけである。祭りが始まってから4日目にブランコのロープは取り外され、それから1年間は、ブランコに乗ることはできない。
ブランコの支柱4本はそのまま残され、翌年のブランコ祭りで建てかえられるまで保存しておかねばならない。その間に、故意にであれ、自然にであれ、ブランコが倒壊するようなことがあれば、それは不吉な出来事とされ、村をあげて豚を1頭生贄にして、ブランコ建ての儀礼をやり直さなければならない。やはり、女子供のなぐさみものというだけでない、深い意味がこのブランコには隠されているに違いない。
 また、その年の水牛の日に、村の中で双生児が生まれたりすると、一切の儀礼は水牛の日に執り行うことができず、ブランコ祭りの日取りも変更される。アカ族では双子が生まれることがもっとも不吉なこととされ、生まれてきた双生児は即座に殺されるか里子に出され、双生児を生んだ夫婦も、一年間村の中に住むことを禁じられる。

(59号掲載)

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