チェンマイ発・ちょっとディープな北タイ日本語情報誌CHAO『ちゃ〜お』は毎月10日、25日に発行。本文へスキップ

<< ラフ族の新米の祭り | 最新 | ラワ族の基礎知識 >>

アカ族の料理

カテゴリー: タイの山岳民族(三輪隆) | 2007.05.21 Monday

 

65号 アカ族の料理1 アカ族の人々の食生活はなかなか豊かである。まず他の民族に比べて、料理のバリエーションが多く、食卓に並ぶ品数も多い。タイの山岳民族はどの民族も貧しいが、貧しいなりに生活のどの範疇にお金をかけるかについては、民族によって明らかな違いがある。リス族を「京都の着倒れ」にたとえるならば、アカ族の人々はさしずめ「大阪の食い倒れ」といったところではないかと思う。
 来客のない普段の日でも、アカ族の人々はけっこう何品ものおかずを囲んでいる。アカの人々は、籐で編んだカントーク風の食卓で食べるのだが、食卓にはゲーンなどのメインディシュのほかに、キャベツやインゲン豆、さまざまな野草、ハーブ類がカントークからはみださんばかりに大量に盛りつけられ、これを生でかじる。筍のシーズン(雨期)になると、若くやわらかい筍をゆでたものに特製のナムプリック(唐辛子、トマト、各種薬草、調味料などを一緒につぶした薬味)をつけて食べることも多い。
 塩か唐辛子かといった程度の、調味料のバリエーションに乏しい他の民族に比べ、味付けに小技を利かせるのもアカ族料理の特徴である。その代表格は、彼らが「アチ」と呼ぶ、乾燥した納豆である。大豆を発酵させて納豆にした後、扁平な板状にして乾燥させて保存する。調理するときはこれを細かく刻み、料理の隠し味として使われる。
 アカ族のご飯の炊き方は特有のもので、普通のうるち米を、もち米を炊くときのように蒸し、小さな籐製のザルに盛って、手づかみで食べる。もち米ほど粘り気がなく、固くて芯がある上にパサパサしているので、箸で食べるとボロボロとこぼれてしまう。もち米同様、手づかみで食べるほうがうまくいくが、それでも、私たち日本人がやると、やはりボロボロとこぼれてしまう。素人はやはりスプーンを使って食べるのが無難である。このようにして蒸したアカ族のご飯は、とても固くて歯ごたえがある。最初はちょっとてこずるが、慣れてくるとけっこう病みつきになったりする。
65号 アカ族の料理2 さて、アカ族といえば犬を食べることでも知られる。しかし、日常的にのべつ食べているというわけでなく、主に病気治療の儀礼などで生贄として殺した犬を食べるのである。生贄を名目に、ときには自分の家の飼い犬までも犠牲になることもあるらしいが、犬を殺すときは決して村の中で殺してはならないという掟がある。
 私も何度かトライさせていただいたことがあるが、肉はちょっと固めでクセがあり、匂いも強く、あまり受け付けなかった。しかし、アカ族の人々に言わせると、犬肉を食べると大変精力がつくそうである。体力の弱った病人に精をつけるという意味では、合理的なのかもしれない。
 アカ族の人々がよく降りてくるチェンライ県メースアイの街には、以前、犬肉のバーベキュー専門店があったと聞くが、現在はあるのかないのか不明である。最近はタイでも動物愛護の論調が盛んになってきているため、アカ族の人々は肩身が狭くなっていることだろう。

(65号掲載)

タイの山岳民族 タイトル一覧へ

 

タイの山岳民族(三輪隆) | Top