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ラフ・ニ族のお正月(1)

カテゴリー: タイの山岳民族(三輪隆) | 2007.05.21 Monday

 

68号 ラフニ族のお正月。 ラフ族の正月祭りの日程は、村や地域によってまちまちである。リス族などと同様、中国正月の時期にあわせて行うのが最も一般的だが、一部のクリスチャンの村では西暦の正月にあわせて行うし、伝統的な宗教を信仰するラフ族でも、中国正月のちょうど1ヶ月前の新月の日(ラフ族では新月の日と満月の日に重要な祭りや儀礼を執り行うことは覚えておいて損はしない知識だ)に正月祭りを行う場合もある。
 ちなみに今年の旧正月は1月29日で、多くのラフ・ニ族の村ではこの前後に正月祭りが始まる。
 同一地域のラフ・ニ族の村どうしは、あらかじめ祭りの日程を打ち合わせておく。というのも、ラフ族には正月祭りの期間中に親類や友人が住む互いの村を表敬訪問しあう習慣があるのだ。ときには5つ6つの村がアポイントをとりあって、決められた日に一同に集まって大きな輪を作り、華々しく踊ることもある。
 ラフ・ニ族の正月の期間は長く、8日〜12日間続く。正月は2つのパートにわかれており、途中一日の休養日をはさんで、前半が女正月、後半が男正月と呼ばれている。その由来は不明だが、かつてラフ族が他民族と戦をしていた頃、男たちが戦場に出かけている間に女たちが先に正月祭りを済ませてしまったので、男たちが帰った後、再び正月を祝ったのがはじまりであるとういう伝承も残っている。
 まずは正月第1日目。餅つき(オフ・テ・ヴェ)の日である。日本人の感覚からすると、これは大晦日かその前日という感じなのだが、ラフの人たちの多くはすでにこの日を正月の第1日ととらえている。
 各家の居間にはオフティ(お餅を供える場所)と呼ばれる青竹で作った祭壇が設置され、つきたての丸い餅を供える。通常の餅は握りこぶしぐらいの大きさだが、祭壇に供える餅は鏡餅のように大きく、直径30センチぐらいから50センチほどのものを作る場合もある。正月用の餅には、白米、赤米、黒米などさまざまな色と濃度のもち米が使われる。オフティは正月の期間中はずっと餅や豚肉などのお供え物が置かれているが、正月が終わるととりはずされ、村の外に捨てられる。
68号 ラフニ族のお正月。 2日目は朝から豚を殺す。この日が中国正月の元旦にあたる場合が多い。「ワ・ド・ヴェ」(豚を殺す)という言葉が、ラフ族の正月2日目の代名詞のごとく使われていることからも、ラフ族のお正月にとって豚の存在は餅とともにとても重要である。女正月(前半)と男正月(後半)の最初にそれぞれ豚をつぶしてコチェ(櫓)やオフティ(祭壇)に供えるのである。もちろん豚をつぶしたその日から、食卓は豚三昧である。煮て食べ、焼いて食べ、揚げて食べ、ラープにして生で食べる。
 午後からはいよいよ、正月のメインイベントである踊りの櫓作りの準備がはじまる。

(68号掲載)

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