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ラフ・ニ族のお正月(2)

カテゴリー: タイの山岳民族(三輪隆) | 2007.05.21 Monday

 

69号 ラフニ族のお正月■ 正月2日目。午後になると、各家ではトグと呼ばれる、色とりどりの紙を竹のひごにさしたものを作る。これは主に女性たちの仕事である。
 男たち(各家からひとりはこの労働に参加しなければならない)は山から長い竹を切ってきて、村の広場にコチェと呼ばれる塔を建てる。4本の竹を主柱にして櫓を組み、トグをさして飾り付け、高さ2メートルほどのところに供え物を置く祭壇をしつらえる。ここにはコセパというラフ族の正月の神様が降臨するのである。コチェは男たちの共同作業で1、2時間ほどで夕方までに建て終わる。
 日が暮れる頃、村人がコチェの前に集まって座し、祭壇や地面に蝋燭を灯し、村の祭司や長老が「 シャ・タン・ヴェ」の祈祷を行う。最後には全員で「サー」と叫んで生米をコチェに向かってまく。この儀礼が終了すると、太鼓やシンバル、瓢箪笙の伴奏にあわせて、みなで輪になって踊りはじめる。いよいよ正月祭りのクライマックスである。この夜がもっとも人がたくさん集まり、盛り上がる。明け方まで踊ることもしばしばだ。
69号 ラフニ族のお正月■ 3日目の朝、これが日本人にとっては正真正銘の元旦の朝といいたくなる日だが、ラフ族では一応3日目に数えられる。
 この日は「イカ・ス・ダ・ヴェ」という儀式を行う。早朝、各家の人々が水の入ったヤカン、そしてお盆や袋に餅やお菓子を入れて村の中のすべての家々を挨拶してまわる。日本でいえば年始まわりだ。
 家の入り口におかれた竹のザルに餅や米、豚肉などを供え、持参した水差しでポリバケツに水を注ぐ。水はお清めの聖水で、その家の戸主や老人の手にかけてやり、今年1年の健康と長寿を祈る。60戸の集落であれば、各家とも60軒分の供え物を用意しなければならず、大急ぎでやっても全部まわり切るには2時間近くかかる。各家が全ての家に餅や米を供えるわけだから、最終的には自分の家から出ていった餅や米と同じぐらい量の餅や米が、帰ってきてみると自分の家のお供え物入れにたまっていることになる。
 これはラフ族の価値観の中で最も重要な、親戚同士、村人同士、そして同じラフ族同士が「なんでもシェアしあう」精神の実践という意味があるものと思われる。
 村の内外から客人がくると、豚肉の料理とともに米やとうもろこしで作った焼酎をふるまい、もてなす。また村を去る客に対しては、丸い鏡餅をお土産として差し出すのが習慣である。
 ラフ・ニ族の場合は、特別な場合をのぞいて、昼間に踊りを踊ることはなく、日が暮れて暗くなってから、広場の櫓(コチェ)の周りを輪になって踊る。これに対し、クリスチャンであるラフ・ナ族やラフ・バラン族の人々は、昼間踊り、夜に踊ることはない。

(69号掲載)

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