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ラフ族のお葬式(2)

カテゴリー: タイの山岳民族(三輪隆) | 2007.05.21 Monday

 

 墓地に参列者が全員到着すると、まず埋葬地の選定がなされる。祈祷師が生卵を投げて、そこに死者を埋葬してよいかどうかを占うのである。割れればそこに埋葬してよいが、卵が割れなければ場所を変えて何度でも試みる。卵が割れるか割れないということは、土の硬度と関係があるのだろうか。
72号ラフ族のお葬式■ 埋葬場所が決定すると、墓地と集落を結ぶ線と同方向に遺体を埋葬するべく、簡単な測量がなされ、墓穴の位置と角度が決定される。集落の方角に頭が向くように埋葬されなければならないのである。これはラフ族にとって重要な事項である。
 男たちはスコップやクワで手分けして墓穴を掘ったり、森から竹を切ってきたり、忙しく労働する。子どもや女性たちは沢から水を汲んできたり、その様子を周りで見守ったりしている。遺体を運んできた棺桶は遺品などとともに燃やされる。
 幅約1.5メートル、長さ約2.5メートル、人の背丈ほどの深さの穴が掘り終わると、そこに山から切ってきたばかりの青竹を割って底や側面に凹型に敷かれ、火のついたたいまつをいぶすように竹の敷物にかざして儀礼をする。その上に毛布にくるまれた遺体が剥き出しのまま入れられる。参列者はそれぞれ森の中でとってきた緑の葉のついた木の枝を墓穴の中に投げ入れ、同時に全員がそれぞれ手のひらで土をひとすくいし、いっせいに遺体にかぶせる。そのあと本格的に土がかぶせられる。
 このとき、数人の中年女性たちが激しく声をあげて泣き崩れることがある。もちろん親しい親族が死者との別れに際して本当に嗚咽、慟哭する場合もあるが、多くは俗に言う「泣き女」、儀礼的なパフォーマンスで、体をくねらせてやたら派手に泣きわめく。こちらもついついもらい泣きなどをしていると、儀礼が終わったとたんにすっと泣きやんで談笑したりしているのを見て、あっけにとられたりする。
72号ラフ族のお葬式■ 埋葬場所はアーチ状に土が盛られ、その上に生米がまかれ、ろうそくや線香が立てられる。また土の上にはトグと呼ばれる色紙で作った短冊、そして花や食べ物、飲み物などの供え物がおかれる。まわりには竹の柵が組まれることもある。
 全員が埋葬場所を取り囲むようにして座し、祈祷師が鶏を一羽つぶして、死者への祈祷を行う。
 儀礼が終わると、参列者は我先に急ぎ足で村に戻る。死者のネ(霊魂)がついてくるのが怖いのである。ラフ族にとって死者は、別れを惜しむ存在であるとともに、その霊魂は恐れの対象でもあるのだ。帰り際は必ず、アーチ状に組まれた竹の門をくぐって帰らねばならない。門をくぐるとき、呪術師が竹のスティックで一人一人を叩き、お祓いの儀式をする。村へ帰る道順は必ず来たときと同じでなければならない。
 村についたときは喪主の家の前で、後ろ向きに聖水をかけてもらったあと、喪主の主意の家に入り、村に残って炊き出しをしていた女性たちの手による豚肉料理を魚に酒を飲み、村人一同で会食をする。
 ラフ族では埋葬から7日間は毎日死者の霊が家に戻ってくると信じられている。だから喪主の家では7日間の間、毎朝死者のためのごちそうがふるまわれる。

(72号掲載)

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