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リス語会話基礎講座

カテゴリー: タイの山岳民族(三輪隆) | 2007.05.21 Monday

 

 リス族の女性たちは実に陽気で話し好き。もっと言ってしまえば、かなりのおしゃべりである。若い年頃の女の子たちは、来客を接待するときは、ちょっときわどいジョークや、お世辞などを盛り込んだリップサービスでもてなす。
 さて、リス語であるが、ラフ語と同じくチベット・ビルマ語派イ語群に属する言語で、文法は単純だが、発音はラフ語と比べるとやや手ごわいかもしれない。フランス語を思わせるような、喉の奥を震わせる独特の発音もある。否定語がマであることはラフ語、アカ語にも共通する。

82号 リス語会話基礎講座1はい 「グゥ」 いいえ 「マグヮ」
私 「グヮ」 あなた 「ヌゥ」 
彼(彼女)「ス」あるいは「イ」
これは何ですか? 「ティマ アシャ」
あなたは誰ですか 「ヌ アマ」
こんにちは 「コー クヮー」 
さようなら(もう帰ります) 「イジュ」
ありがとう 「アク ブモ」 
どういたしまして 「アシ モコ」
あなたの名前はなんですか? 「ヌ ミュ アレベ」 
私の名前はアレマです「グヮ ミュ アレマ べ」
どこへ行くのですか? 「アラ ジャ」 
遊びに行きます。 「ガベ イャ」
ご飯を食べる 「ザ ザ」 
水を飲む 「アジャ ド」 
酒を飲む 「ジプ ド」
お腹がすいた 「ザ ヒ ムア」
とてもおいしい 「アク ザミャ」 
まずい 「ザ マミ」
お腹いっぱいです 「ザ ブルュ」
あなたの歳はいくつですか? 「ヌ アミャ コ ゾア」
17歳です 「グヮ ツシュ コ ゾ」
1から10までの数え方 ティ ニ、サ、リ、グヮ チョ、シ、へ、クゥ、ツ
写真を撮る 「イプ ドゥァ」 
歌を歌う 「モコ グア」 
父 「ババ」 母 「ママ」 子ども 「ザニュ」 孫「リマ」
兄 「クゥクゥ」 姉 「チチ」 弟 「ニザ」 妹 「ニマ」
祖父 「アパ」 祖母(父方)「アザ」 祖母(母方)」「アプ」
夫 「ザグ」 妻 「ザム」
美しい 「ビヤ」 美しくない 「マビ」
豚「アヴェ」牛「アニ」馬「アム」鶏「アヤ」
犬「アナ」猫「アニャツ」魚「グヮ」
独身の男 「ザグレ」 独身の娘 「ザムレ」

 ところで、リス語には恋人という言葉がない。恋人という言葉がないということは恋人という概念が存在しないということである。すくなくとも伝統的なリス族の社会ではなかった。それはつまり、リス族の男女の間に「恋人」同士という状態が(少なくともかつては)存在しなかったということである。リス族の場合、男女の関係は、婚約期間中のごく一時期(数日から数週間)をのぞき、「恋人以前」の間柄であるか、結婚して完全な夫婦でになっているかのどちらかしかないのだ。恋人同士などという中途半端な存在は許されないのである。婚前交渉はおろか、結婚式以前に二人だけでデートすることだってできないのである。
82号 リス語会話基礎講座2 リス族では「私はあなたを愛している」というのを「グヮ ネ ニ ニュア」(これも直訳すれば「あなたがほしい」というようなストレートな意味)というが、これも伝統的なリス族社会ではほとんど使われることはなかったとのこと。リス族がプロポーズするときは、たいてい親戚の知り合いなどを間に介して、間接的に伝えるものだったからである。もちろん最近の若い人たちはこの限りではない。
 ちなみに相手が独身かどうかを聞くときにも、「もう恋人はいますか」とか「奥さんはいますか」というような聞き方はあまりせず、「ヌ ヒクヮ ゴア」(もうご家族はおもちですか)という聞き方をする。それを聞くだけで十分でなのである。結婚してさえいなければ、その人にひそかに想っている相手がいようといまいと、こっちはプロポーズの資格ありってことである。

(82号掲載)

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