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モン族の葬式(2)

カテゴリー: タイの山岳民族(三輪隆) | 2007.05.21 Monday

 

90号 モン族の葬式2−1 モン族の通夜は、小さな子供が亡くなった場合は3日程度と短いが、大人では通常1週間から10日かけておこなわれる。毎日弔問客は訪れるが、特に最後の日、つまり埋葬の前日には大きな儀礼が行われ、多数の人が集まってクライマックスを迎える。
 埋葬の前夜、これはモン族の葬式のユニークな特徴であるが、親族や関係者一同が集まって、故人が残した諸問題の後処理について話し合うというイベントがある。埋葬を前に、故人がかかえていたすべての問題や懸案事項を話し合い、一晩かけて一気に解決までもっていくのだ。
 話し合いの内容は、配偶者や子供などへの遺産分けであったり、後を引いている喧嘩の和解であったり、また故人が借金を背負っていた場合、それを誰がどういうプランで責任をもって返済するかなどで、きわめて現実的な問題が審議される。裁判官のような立場の人もいて、いわば民事裁判所のようなものだ。故人の借金やトラブルなどはこの日をもって完全に調停、解決されたものとし、後日になってこの裁定に不服を申し立てたり、故人に関するあらたな問題を蒸し返したりすることはできないという。この世の問題はこの世できれいさっぱり清算して、死者の魂に安心して冥界に旅立ってもらうという配慮なのだろう。「義」や「けじめ」を重んじるモン族らしいやりかたである。
 出棺の日は、松明を持った人を先頭に親族や村人たちが行列組んで野辺送りをし、埋葬に出かける。
 青モン族ではその途中、村の近くの広場で一度休憩し、2本の棒に縄をくくりつけた担架状の台座に載せた遺体を男たちが担いだまま、広場に植えられた儀礼のための特別な木の周囲を数回まわる。まわる回数は姓によって異なる。そのとき激しく爆竹がたかれ、また太鼓とケーンの楽団もひときわ大きな音で奏でる。
 その後、遺体を載せた担架は、丸太で作った2本の柱の上に一時的に安置され、ここで牛を殺して料理を作り、参列者全員で最後の食事を食べる。
90号 モン族の葬式2−2 白モン族の場合は上記の儀礼は行わず、家の前で牛を殺して最後の料理とし、そのまま埋葬場所へ直行する。
 埋葬は村の近くの墓地で行われる。このとき初めて棺が用意され、草が遺体の下に敷かれ、松明の火で棺を清める儀式がある。この風習はラフ族やリス族の葬儀においても見られ、漢族文化の影響と考えられる。
 死者の魂は埋葬後13日後に家にも戻ってくると信じられており、13日目にまたコーケー(村の役職者、前号ご参照のこと)を中心に儀礼が行われる。

(90号掲載)

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