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山岳民族美人コンテスト

カテゴリー: タイの山岳民族(三輪隆) | 2007.05.21 Monday

 

94号山岳民族美人コンテスト1
 チェンライでは毎年1月下旬から2月初旬にかけての約1週間、「メンライ王の祭り」という祭りが開かれる。この祭りの目玉のひとつに「パックアド・ティダー・ドイ」(山岳民族美人コンテスト)というイベントがある。各民族から自慢の娘さんたちが民族衣装を着て、その美貌と民族衣装の華麗さを競う。一般の美人コンテストとは違って、水着審査はなく、また一般のタイ人(いわゆる平地タイ族)には出場資格はない。
 山岳民族美人コンテストは、チェンライ県のみでなく、北部の各県でもさまざまなイベントで行われている。
 コンテストは2日間にわたって、途中に地元歌手のコンサートなどをはさんでだらだらと(?)行われる。50人ほどの出場者が少しずつ絞り込まれていき、2日目の深夜近くになってようやく優勝者が決まる。
 ゲスト審査員(スポンサー企業の幹部や地元の名士など)によるジャッジのほか、観客がその出場者に手渡した風船(会場の中で売られている)の数も採点に加味されるという。しかし風船はけっこう高価なので、おいそれとは買えない。しかし、優勝すれば数万バーツの賞金が手に入るから元が取れるとばかり、会場に詰めかけた友人や親戚縁者、一族郎党らの熱烈サポーターが、財力の限りを尽くして、風船の買いしめに走っている。M族やY族など、けっこうリッチな民族の人はいいけれど、懐具合の寂しいA族やL族などは、買える風船の数も知れている。これはなんだかアンフェアな感じもするが、やはり「美人も金次第」ってところか。
 一般に山岳民族美人といえば、化粧気もなく、清楚で純朴なイメージを期待されるかたもいるかもしれないが、このコンテストは違う。化粧はあくまでこってりベタベタで、身に着ける純銀のアクセサリーも、これでもかこれでもかという感じでゴージャスきわまりない。美人コンテストというよりは、山岳民族セレブのファッションショーのような趣きだ。こういう傾向はなんとなくタイ人の価値観や美意識に追随しているようで、筆者はあまり関心がなかったのだが、今年、久しぶりにこのコンテストを見に行った。
94号山岳民族美人コンテスト2
 十数年前と比べると、出場者の衣装やメイクはさらにケバくなり、女の子の体格やプロポーションも格段に向上しているように思えた。出場者のほとんどが町で勉強している大学生や高校生で、インタビュアーへのタイ語の受け答えもソツがない。以前はこのコンテストへの出場者は、学生よりも、無職もしくは村で畑仕事をしている子の方が割合としてはるかに多く、恥ずかしながらも、賞金をあてにする周囲から促されてしぶしぶ出場するという雰囲気があったが、今では出るのは友達への自慢とプライドのためのような気がする。
 それにしても、みな誇らしげに、自信ありげな表情をしている。時代は確実に変わりつつあるのだ。喜ぶべきことなのか、悲しむべきことなのか、筆者にはわからない。
 ちなみに今年の優勝者はタイ・ルー族、準優勝者はチンホー(雲南系漢族)だった。いわゆる山岳民族ではないタイ族、漢族系の少数民族の台頭がこのところの傾向のようである。

(94号掲載)

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