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島のピーマイ

カテゴリー: みちくさ写真 | 2007.05.21 Monday

 

みちくさ48号 島のピーマイ

 村人は手に手にバケツや銀の器を持って、寺のお堂に集まってきた。ウコンを削って搾った黄色い水に、香りのいい花々が浮かんでいる。
 読経が終り、お堂に仏像が運び込まれると、人々は一斉に仏像を洗い始めた。ライムをたわし代わりに、黄色い水をつけて丹念に磨いている。そんな熱気の中、仏像はまるで風呂にでも入れてもらっているようで、「ふーーーっ。」というため息が聞こえてきそうである。「ほら、あんたも頭を磨くといいよ。頭が良くなるから」と、おばさんが私にライムを勧めてくれた。
 お堂の外では、台の上に集められた小さな仏像にも、僧侶たちによって黄色い水がかけられていた。僧侶の撒く水や、仏像を伝った水は、縁起が良いというので、村人達はほんの一滴でもと、手桶に受ける。持ち帰って家族や自分の頭に振り掛けるのだ。見ず知らずのおじさんが、そのありがたい水を私の頭にもかけてくれた。
「ピーマイ」は日本の正月と同じように、島を離れて街で暮らす人々が帰省する季節でもある。家々では家族が集まり、新年の幸福を願って手首に白い糸を巻く儀式が行われていた。その白い糸の結び目には、家族の健康と幸せを願う気持ちが込められている。
 観光客の私にも「今年も健康で幸せでありますように」と糸を巻いてくれた。何軒かのお宅をまわり、宿に帰る頃には、手首はたくさんの糸でぐるぐる巻きになっていた。
 その柔らかな感触は、村人の大らかな優しさそのものに思えた。

デッド島 ラオス

(48号掲載)

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