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テレビ館

カテゴリー: みちくさ写真 | 2007.05.21 Monday

 

みちくさ64号 テレビ館


 メコンの川岸にある村を訪れた時のこと。斜面を登っていくと、細い道沿いに、木造の家が建っていた。その村のちょうど中心辺りに、小さな平屋の小屋があった。中に人がいる気配がするが、木製の窓は、全てぴしゃりと締め切られている。
 小屋の入り口に、子供たちがいた。中を懸命に覗いている。私がすぐ後ろに立っても、気にも留めず、一心に見つめる先には、暗闇に明るく光る1台のテレビがあった。
 そこは映画館ならぬテレビ館で、きちんと並んだ長机と長椅子に子供たちが腰掛け、笑い声を上げながらアニメを見ていた。そういわれてみれば、入り口の黒板に、「値段300キップ」と書かれている。1Bちょっと。これが払える子は席に座り、払えない子は外から覗き見をするのだろう。
 別の村では、高床式の民家に男たちが30人ほどひしめき合い、やはり1台のテレビが上座に据え置かれ、正月からムエタイの試合が放送されていた。まるでリングサイドで観戦しているかのように、誰かが大声を上げて立ち上がる。その度に床が抜けそうなほど、竹製の小屋全体が振れていた。
 我が家のテレビ前の人口が、最も多くなるのは大晦日の夜だった。ひとりで見たらどうということもない「仮装大賞」や「紅白」を、祖母の下に帰省した親戚たちとがやがやと見るのが楽しみだった。
 インターネットで各自が好きな映画やテレビ番組を楽しむ時代。見たい番組をじっくり味わうにはこれほど良い環境はない。しかし、ひとりでは味わえないものもある。

ラオス

(64号掲載)

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