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年配・老人ロングステイヤーの結婚(3)

カテゴリー: ロングステイの光と影 | 2007.12.06 Thursday

 

 今回紹介する御夫婦はチェンマイ市内近郊の郡(アンプー)の新興住宅街の瀟洒な一軒家にお住まい。御主人のAさんは現在66歳で、山岳民族のリス族の奥さんは30歳。コーヒーやお冷をテーブルに運んできてくれる応対などでは、奥さんというよりむしろ娘さんという雰囲気。2人の年齢差は36歳にもなるのだが、若い娘さんと結婚したと思えば、そのような年齢差をことさら意識しなくて済む。
 66歳のAさんだが、嬉しいことに奥さんが妊娠しており来年2月頃に出産の予定。先だって奥さんを初めて日本の実家に連れて行った。今年88歳になるAさんの母親は元気過ぎるほど元気で、Aさんの姉が面倒を見ているとのこと。
 「この写真を見てください、妻は日本人そっくりでしょう!」
 額に入って飾られているその写真は、実家で奥さんに和服を着せての記念写真。確かに色白の奥さんなので、誰が見ても日本人にしか見えない。
 「家族や友人など、みんな妻に親切で優しくしてくれて、妻も本当に喜んでくれましたよ!」
 そのように嬉しく語るAさん。Aさんはもちろんだが、Aさんの親戚兄弟や友人も、大きな年齢差のタイ人妻に差別感や偏見などはなさそうである。
 ところで、Aさんとリス族の奥さんとの出会いであるが、先にリス族女性と結婚していた日本人Sさんとの偶然の出会いから始まる。そのSさんにとあるリス族村の新年祭りに案内され、そこで気に入った娘さんに出会う。それから4年後に再度そのリス族村を訪問したら、なんと4年前のその娘さんがまだ独身でいることがわかった。さっそく、結婚を申し出る64歳独身のAさん。両親は賛同なのだが当の本人の娘さんが「年寄りは嫌だ!」と簡単に拒否。仕方ないと諦めたのだが、その後、どういう風の吹き回しか娘さんが結婚を承諾したらしく、1ヵ月後に村で結婚儀式を終えた。それが2年前で、現在に至っている。
 奥さんの里であるリス族村は確かにチェンマイ市内からは遠い山中にあるのだが、国道沿いなので車での行き来は時間さえ気にしなければ便利と言える。それでも、その貧しいリス族村で暮らしている娘さんとわかっていて、それも娘のような年齢さとわかっていて簡単に結婚するのには、やはりそれなりの人生経験があったとしか思えない。
 そこでAさんに過去の経歴などをお聞きした。教育関係の地方公務員で、恩給(公務員年給)がもらえる資格が出来た43歳でさっさと退職。これには理由があり、それはAさんの父親が46歳で早死にしていることによる。Aさんも父親同様に早死にするかもしれないと、早く仕事をやめて好きなことをする人生を選択。フィリピン、カンボジア、ラオスなど海外旅行を繰り返しながら暮らす。とりわけ各国の海でのスキューバダイビングにはまってしまった。東南アジア諸国での貧しい人たちやその生活には、ある程度慣れていたようである。
 「現在の奥さんと出会うことなくこのような結婚生活もなかったとしたら、今頃日本で何をしていたと思いますか?」とAさんに尋ねた。すると、
 「いやー、妻と出会わなくても、どこかの外国で暮らしていたと思いますよ。日本はねー、ストレスが多いのでねー!」とのこと。
 次に結婚歴というか離婚歴を尋ねると、教育関係公務員と2回結婚しいずれも離婚。その後は裕福な女性と長く同棲生活したが、それも別れたので、実質3回結婚に失敗したことに。淡々と話す口調には、この妻との結婚が最後だろうから大切にしたいとの雰囲気が感じられた。
 まだ一緒に暮らしてまだ2年ですので、と謙遜するAさんに結婚暮らし維持のコツをお聞きした。まず夫であるAさんの心得として「細かいことには拘泥しない。ストレスを持たないようにする」。そして、なるたけ2人が共有できる趣味なりがあること。それに関しては、うまい具合に2人とも花や野菜などの園芸や農業に興味関心が深く、そのための苦労はいとわないとのこと。最近はゴルフも2人で出かけるようにもなったとのこと。
 過去の経歴からは豪傑ともいえるAさん。娘さんのような年齢差の奥さんだが、彼女との暮らしには自信を持っているようだ。そして、貧しい山岳民族の出身だけに、都会に慣れたタイ人女性よりは素朴で、つらい畑仕事などもいとわずに一生懸命にやるとのこと。奥さんがリス族で働き者である、そのことを誇らしげに語っているAさん。大きな年齢差など簡単に克服している頼もしいAさん66歳でした。


(108号掲載)

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