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避けて通れない悩ましき死後の問題

カテゴリー: ロングステイの光と影 | 2008.05.24 Saturday

 

 当誌第116号まで「ギャ!ギャップ!(これって常識?非常識?)」を連載していたのがロバート・H・スガさん。1月早々に、そのスガさんよりロングステイに関する意見コラムが当編集部に寄せられてきました。
 その意見コラムの対象者は一般のロングステイヤーというよりも、タイ人配偶者や内縁関係のタイ人を得ての定住日本人だと思われます。しかし、広い意味では、そのような定住日本人もロングステイヤーの範疇に入れる考える方もなきにしもあらずです。いずれにせよ、まずはスガさんの意見コラムを以下に紹介することに。

 新しい年が明けたばかりなのに縁起でもないとお叱りを受けるかも知れないが、「正月や冥土の道の一里塚、目出度くもあり目出度くもなし」の狂歌の通り、中高年のロングステイヤーにとってはもう視野の内の問題なので、敢えてこのコラムを呈する次第です。
 正真正銘の単身者なら、領事館邦人援護課のお手数を煩わして日本の親族や知人に連絡し、彼らによって幕が引かれるでしょう。これでも結構なトラブルですが、その範囲は日本人側のみに限定されます。一方、正式の婚姻であるなしにかかわらず、タイ人女性を同伴者としている男性はこれでは済みません。その殆どが娘か孫くらいの年令差がありますから、当然女性は長い余生を控えています。また99%といってよい程、女性の方は資産がなくタイ社会の平均収入以下で自立する経済力に欠けていたでしょう。そして、それが二人が結ばれる最大の理由であったはずです。失礼ですが、日本では鼻を摘んで通る人は沢山あっても、振返ってくれる女(ひと)などなかった貴方。その貴方が彼女を得て、カルチャーの大きく違うタイで比較的トラブルもなく楽しい第二の人生を送っています。
 そのために彼女には十分な代償を払い、中にはその親族にまで十二分の施しをしています。だが貴方が亡くなり、それらがゼロになったらこれは大きなトラブルです。「私も貴女も昨日までは楽しかった」、でも「その夢は今日まで、お互い様じゃないか? ハイ、それまでよ。バイバイ!」で済まされるでしょうか?
「ロングステイヤーに使い捨てされた」「タイの女は、乗り捨て自由のレンタカーじゃない」と言われて、未だ生き残っているロングステイヤー達が白い目で見られ、後に日タイの歴史に汚点が残りはしないだろうか?
 年金を財源にしていた人は収入ゼロになります。本当は正式の婚姻関係がなく国籍が違っても、同居していた家族には遺族年金が残ります。だが、日本の社会保険庁への受給申請は言葉の壁、両国の制度の違い、物理的な距離などの難しい問題が出てきます。だから、日頃からの準備と有能な助っ人がいないと、女性本人だけでは絶対に無理で、面倒な事を嫌うタイ人の性格から権利放棄になりかねません。退職金や資産を処分して持ち込んだお金や、男性名義で購入出来たコンドーは残り、正妻ならば当然その権利があります。が、日本の親族などからどんなクレームが出ないとは限りません。資産の一部が日本に残っていても、これまで無事に相続する事は先ず不可能でしょう。女性の名義を借りて購入した不動産は常識的には問題ないはずですが、事実男性が全て支払っていた事を理由に、男性側親族からクレームついたら対抗出来るでしょうか? 最悪のケースは銀行融資に残高があったら、ゼロどころか彼女に借金を残す事にもなりかねません。 
 このように列挙していけば、経済問題だけでも、普段から研究し話し合いや手配をしておかないと間に合いません。ですから、お屠蘇気分の覚めた所で、「若し俺が死んだら?」を検討課題として充分に考え、準備される事をお勧めするわけです。

 以上がスガさんからの意見コラムです。この問題に直接ないしは間接的に関係のある方は、「うーん、そういう差し迫った問題が生じてくるとは??!!」と考え込んでしまうのではないでしょうか。
 このコラムを読んで、実際にあったケースを思い起こした。それは長年タイ人女性と内縁関係にあった日本人老人が、病に倒れて入院して意識不明、昏睡状態の後に病死。もちろん、遺書などはなにもないが、老人はこちらタイの銀行にある程度の額の貯金を残してあった。日本からやってきた老人の息子さんと内縁関係にあったタイ人女性との間で、老人の残した貯金の分配を巡ってややこしい問題が起こったそうだ。一時は、内縁関係のタイ人女性が、残した貯金を巡って裁判に訴える寸前までこじれたそうだ。
 上記のコラムでも指摘されているように、年金受給を受けている、あるいは、年金受給待ちの日本人定住者は、チェンマイ、チェンラーイを中心として北タイにはまあまあの数がいるようだ。その人たちが「予期せぬ病での急死や、不幸な事故死の場合」に備えて、安心と信頼の相互扶助グループを自分達でつくる必要があろうかと。ただし、こればかりは、見知らぬ人やよくない噂のある日本人を完璧に排除する厳格さが必要となろう。なにせ、死後に残った財産や遺族年金手続きなどを託するので、それをネコババされてはたまったものでない。少しでも信用の置けない人には、絶対に託するわけにはいかないであろうから。となると、どうしたらよいものだろうか?


(118号掲載)

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