チェンマイ発・ちょっとディープな北タイ日本語情報誌CHAO『ちゃ〜お』は毎月10日、25日に発行。本文へスキップ

お客様からの贈り物 (217号) Mahout Diary

カテゴリー: メータマンからCHANG通信(象使い) | 2012.04.25 Wednesday

 

象さん
 トレーナーにフリースを重ね着していた乾季がいつの間にか通り過ぎ、そろそろ扇風機がないと蚊に刺されるは寝苦しくなるは……というあの夏がもうすぐ訪れようとしている。ソンクラーンの時期でタイは観光客で賑わうとはいえ、日本は新しい年度がはじまるということもあり、3月までは多く訪れていた日本人も4月にはぐんと減るのは毎年のことだ。 
 日本人だけではなく、全体的に訪れるお客様のピークも過ぎたのか、夜になると宿泊客のいない日も少なくない。お客様がいてもいなくても、エレファントホームの夜はそんなに変わりはないのだが、最近忙しくて落ち着いて話ができなかったマネージャーのジョー君と一緒にご飯を食べたり、ゆっくり語り合ったりする時間が増えるのが私個人的には嬉しいことである。

さすがパッブン! 盗み食い中…。
 先日、エレファントホームで2週間程ボランティアをしていた欧米人がいた。象使い体験プログラムではなく、ボランティアということもあり、その欧米人は毎日象にべったりということではなかったのだが、帰る前日には時に涙を流しながら「象の素晴らしさ」について熱く語っていた。そして次の日、送迎バスに乗り込む直前、「象のために使って欲しい」とジョー君に封筒を差し出した。その中にはチップとはいえないある程度のたまったお金が入っていたのだ。そこで私たちは話し合い、チップボックスや募金箱に入れることはせず、何か形にできないかと考えた。
 欧米人の気持ちを無駄にしないようエレファントホームの皆で考えたのが、「象舎の周りにフェンスを作ろう」という計画だ。これはジョー君の案で、ほぼ毎日欧米人と話をする中で、お客様は繋がれた象を見るより放し飼いになっている象を見たいという声が多数あったからだ。
 象はとても賢い動物なので、放し飼いというのは危険が伴う。象同士の相性もあり、急に喧嘩が始まることもある。興奮してしまった象は腕のいい象使いでもしずめるのに時間がかかるのだ。象使いの中には反対した者もいたが、象舎の周囲ということならそんなに広い範囲でもないだろうと納得し、フェンスを取り付けることになったのだ。

お腹も満たされ自由な象たち
 フェンスの中には水道管も取り付け、象たちが自分で水を飲みにいけるようにした。1日体験のお客様からの評判はよく、「象がハッピーな顔をしている!」とか「1日中ここに座って象の様子を見ていたい!」などと耳にするようになった。しかしながら、常連客からは、「象と自分の距離が遠くなった感じがして寂しい…」という声もあった。以前を知っているならではの意見だ。
 一方、象はというと……、私がひいきにしているパッブンという象は、放し飼いになった途端、一目散に水飲み場へ行き、ごくごくと喉を潤し、次にスタスタとフェンスの端へと向かった。パッブンの象使いも私も「どこ行くんだ…?」と疑問に思いながら、目でおってみると、なんと隅に置いてある取ってきたばかりのとうもろこしの葉をこっそりと食べ始めたではないか! その食べ物の在処をいつ知ったのかはわからないが…、パッブン、君は賢い! でも、明らかに盗み食いなので怒らなくてはいけない。……と思っていたのだが、次々と放し飼いになった象たちがやってきてパッブンのおこぼれをもらっているではないか。もう、これには私たちもお手上げで、「とうもろこしをここに置いた象使いたちが悪い」ということで落ち着き、象使いたちは象を叱ることはなく、象たちも心ゆくまでご馳走にありつけたのだった。
 次の日から、餌をあげるときは喧嘩にならないように、そして、誰かさんだけ多く食べたりせずに皆平等になるように、いつもどおり象舎に象をそれぞれ繋ぎ、一頭一頭にとうもろこしの葉を与えた。喧嘩もなく盗み食いもなく平和に終わった。そして、満たされた象たちを放し飼いにするのだった。

(文・写真 by なお)

エレファントホームのお問い合わせ:elephanthome@hotmail.co.jp (日本語)

 

 

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スカイリゾート  Mahout Diary  (215号)

カテゴリー: メータマンからCHANG通信(象使い) | 2012.03.25 Sunday

 

スカイリゾート
 前号の象特集ではパーンチャーンパンマイスカイリゾートについて少し紹介させていただいた。今回はこの象キャンプを立ち上げたソンポーンさんについて書きたいと思う。 
 チェンマイ市内から車で1時間、メーテーン郡バーンチャーン地区にそのスカイリゾートはある。エレファントホームと違い、周囲に規模の大きな象キャンプはないので、観光バスも通らない比較的長閑な場所にある。
 ここの象キャンプのオーナーはスリン出身の象使いソンポーンさんだ。ソンポーンさんの実家には象が20頭もいたので物心ついた時から、まるで兄弟のように象と遊んでいたそうだ。学校へ通った記憶はないが、象と遊んだ思い出はたくさんあるよと話してくれたのが印象的だった。
 そんなソンポーンさんの象使いとして優れている点は、調教棒を使わないで象を従わせることができることだ。毎度のことだが、私が感心しきっているとソンポーンさんは、「象はとても頭がいいからね。これだけ長くずっと一緒にいれば僕の考えていることを理解してくれるのは当たり前だよ」と平然と笑って言うのだ。 

愉快なソンポーンファミリーがお出迎え
 一般的な象使いは、人と話す時より象に命令する時は声を荒げる。しかし、ソンポーンさんは声を荒げたりせず、人と話す時と同じように象と接するのだ。いくら象の頭が良くても、ここまでの意思疎通のスムーズさは信頼関係があってのことだと思う。 
 ソンポーンさんがまだ幼くて、象と毎日一緒に遊んでいたある日、突然象が次々に死んでいったという。実家の象だけではなく、その地区一帯の象がすべて死んでしまった。後に一種の感染病だったことがわかったようだが、その頃は象専門の獣医師もいなかったので、手の施しようがなかった。
 その当時の象の売買価格は6000バーツで、当時にしてはとても高かった。しかし、ソンポーンさんは有り金はたいて1頭の象クリスティーナを家に連れてきた。クリスティーナを愛娘のように可愛がっていたソンポーンさんは象と一緒に仕事をしたいと思い、今から15年程前にクリスティーナと一緒にチェンマイへやってきたのだ。

双子疑惑があるほどのお腹の大きな妊婦象バイフーン
 約10年間、ある象キャンプで象のショーに出演したり、象タクシーなどの仕事をしたりしていたが、少しずつ自分の象が増えていくと同時に、このままでいいのかという疑問が次第にソンポーンさんの中で大きくなっていったという。象がいての自分なのに象たちに必要以上の労働をさせていいのだろうか? 自分は象に幸せをもらっているけど、果たして自分は象に幸せを与えられているのだろうか? ソンポーンさんの中でそんな葛藤が続いていたが、偶然にも象にとっても人にとっても恵まれたいい土地が見つかった。そこに引っ越す決心をしたのが5年程前のことだ。
 いろいろなきっかけとタイミングが重なり、「いつか自分の理想の象キャンプをつくる」という夢に一歩近づけたソンポーンさんだったが、最初はお客様が全く来なくて苦労した。それでも象たちの穏やかな表情や肌の状態が良くなっていくのを見た時、ここへやって来て本当に良かったと心から思えたという。 
 そんなソンポーン家に昨年11月24日にめでたく1頭の雌象が誕生した。母象は一番長くソンポーンさんと一緒にいるクリスティーナだ。小象は「スカイ」と名付けられ今でもすくすくとサークルの中で育っている。「スカイ〜!」と話しかけると、「ウォォ〜!」と低い声で返してくれるのがたまらなく可愛らしい。 
 スカイリゾートでは、象使い体験の他に親子象のお世話もでき、ここでしかできないプログラムなので魅力的だ。 
 バイフーンという象も今臨月を迎えていてソンポーン一家は今か今かと待ちわびている。ますますにぎやかになるスカイリゾートを今後とも応援していきたい。

(文・写真 by なお)
エレファントホームのお問い合わせ:elephanthome@hotmail.co.jp (日本語)

 

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新しい生命 Mahout Diary  (213号)

カテゴリー: メータマンからCHANG通信(象使い) | 2012.02.25 Saturday

 

親子
 去年同様、今年も乾季に入り、象キャンプには出産ピークが訪れている(なぜ乾季かは不明)。エレファントホームの象使いリーダーであるブーンさんのもとへも、週に1回は出産の知らせがくるらしい。今回はその1つを紹介したいと思う。
 エレファントホームから車で20分程の所(メーテーン地区)に、個人で経営している小さなエレファントキャンプがある。ここのオーナーはスリン出身の象使いで、雇っている象使いもカレン族ではなく全員スリン出身というメーテーン地区では珍しい象キャンプだ。映画「星になった少年」でブーンさんと一緒に象使いのまとめ役を引き受けたのがここのオーナーのソンポーンさんだ。また、実際に映画の中でファー役・ファーの母象役をした象がここの象キャンプにいる。ここにいる8頭の象は全てソンポーンさんのもので、全てスリンから連れてきた。この象キャンプはソンポーン一家と象の世話を手伝う象使いたちがいるだけで、とてもアットホームな象キャンプであり、ここの魅力はそこにある。 
母乳ですくすく育っている小象マリ
 ソンポーンさんは、「象は家族だ!」と力説する。エレファントホームでは、ある程度自立した象と象使いは他の象キャンプへと旅立ったりもするし、ブーンさんが象のブローカーということもあり象の売買が行われることもある。だけど、ソンポーンさんはそういう考えは頭の片隅にもなく、比較的私の象に対する理想論と似ているところがある。そんなソンポーンさんは、どんなにお金がなくても象を売ったりなんか絶対しない。タイ人が雌象を1頭購入し、小象を生ませそれを売って生活をしている人がいるという話を耳にしたことがあるし、私にもお誘いの声がかかったりするが、何かが違うような気がして断り続けている。ソンポーンさんはそんな私の気持ちをわかってくれるよき理解者だ。
 もう5年以上前になるだろうか。ソンポーン家の象クリスティーナに可愛い雌像がうまれた。久しぶりの小象の誕生にソンポーン一家は皆で可愛がっていた。ナッティーと名付けられたその小象はとても賢く母象にも似ていて美人さんだった。そんな幸せに満ちた毎日が、嘘のように突然崩れてしまったのだ。草刈りから戻ってきたソンポーンさんたちが、川岸にいる母象クリスティーナの異変に気付いた。その時、クリスティーナの足とナッティーの首を長いチェーンでつないでいたのだが、そのチェーンがナッティーの首にぐるぐるに巻きついていて、ナッティーの身体は川に浸かってもうすでに硬直していたという。ソンポーンさんがナッティーを抱き上げた時には時すでに遅しだった。
チェーンで繋がなくても母象から離れません。
  ソンポーン一家はしばらく悲しみに浸っていた時期があり、ナッティーの話は禁句だったが、それから2年程経った頃、あの過去は忘れてはいないけど、やはり小象が欲しいとソンポーンさんが言いはじめた。その後、触診したブーンさんがクリスティーナの妊娠を確信した。象は妊娠期間が2年と長いのだが、待って待ってようやく可愛らしい雌象が誕生した。クリスティーナは3度目のベテランママだし、ソンポーンさんも余裕をもってその時を迎えられたという。私は残念ながらその場に立ち会うことはできなかったが、先日会いに行ってきた。 
 やはり小象というのは癒される。象に興味がない人もうっとりしてしまうのではないかと思う。少し母象クリスティーナは気性が荒かったが、母なら自分の子供を守ろうとする当然のことだ。辛い過去があった分ソンポーン一家はこの小象「スカイ」に思い入れがあるように感じた。
 そして、この象キャンプにまた臨月を迎えている象がもう1頭いる。臨月になってもせっせと働いている姿がなんともたくましくみえるのだが、ぜひ私は出産に立ち会いたいと思っている。ソンポーンさん、約束通り連絡してくれるだろうか?

(文・写真 by なお)
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今年もよろしくお願いします! Mahout Diary (211号)

カテゴリー: メータマンからCHANG通信(象使い) | 2012.01.25 Wednesday

 

象
 日が暮れるとチェンマイ市内もすっかり涼しくなってきたが、メータマンの朝晩は焚き火をするほど寒くなった。最近はフリースやジャケットが欠かせないのだが、昼間はもちろん暑くなるので気温差にやられ、毎年のことなのだが象使いたちは順番に風邪をひいている。私もうつされないようにと体調管理に気をつける毎日だ。
 一方、象たちはというと雨期に比べ、食べ物の量も増え着々とふっくらしてきている。しかし、今年の冬の寒さは象たちにもこたえているのか、大好きな水浴びを拒むようになってきているのだ。それもそのはず、今の川の水温はとても低い。昼間でもひんやりとしていて、足を浸けているだけでも私は1分ともたない。それでも、1日に1回は水浴びをさせたい象使いたちは象たちを川の中まで時間をかけてでも連れて行く。象は嫌々ながらも川に入るが足を浸けているだけで、しゃがんだり寝転がったり体を水につけることなく、鼻に水を含ませたりもせずにじっとしているのだ。普通だと、象使いの支持を待たずに川に入り込み水浴びを自らやったり、興奮したりする象もいるくらいなのだが、最近は川へ行く途中にエレファントホームへ帰りたがる。

はやく陸に上がろうと必死の象たち!
 しぶしぶ川へと入った象たちは、動かず静かにじっとしていて、象使いから「川から上がれ!」の指示をただひたすら待つのだ。「寒くて冷たいから早く陸にあがりたいなぁ…」としきりに象使いに訴えかけている様子は言葉にできないほど可愛いのだが、その思いとは裏腹に象使いは「しゃがめ!」と命令する。12月頃はしぶしぶ言うことを聞いていた象たちも1月に入ってからは全く言うことを聞かないで反抗し続けている様だ。これには象使いもお手上げで、バケツに川の水を入れて象の体に少しだけかけて、「今日の水浴びはお終い」という感じだ。
 そのおかげで、象使い1日体験の工程の中の「象と一緒に水浴びをする」という時間帯が象の気分次第になってきてしまっている。「あれ? 象って水浴び大好きなんじゃなかったの!?」と水浴びを嫌がる象を不思議そうに見ているお客様も少なくない。しかし、象も寒いのは苦手なのだ。
 先月、千葉県にある動物園「市原ぞうの国」を紹介したが、ご存知のとおり、日本の冬はタイの冬と比べものにならないくらい寒い。そこで、象にはストーブを焚いてあげ部屋をなるべく暖かくしているそうだ。また、乾燥しているので肌トラブルを防ぐために体中にオイルを塗ってあげて冬を越すと市原の象使いたちは言っていた。

オイシもすっかり象使いの仲間入り
 寒がりの象たちをよそに、エレファントホームにはこの時期でも水風呂を浴びているちびっ子象使い「オイシ」がとっても元気だ。エレファントホームのマネージャーであるジョー君の1人息子なのだが、人懐こくお客さんからの人気者である。去年12月に3歳になったばかりのオイシは身体は小さいながらもさすが男の子でエレファントホーム敷地内を走り回るわんぱく坊主に育っている。将来はパイロットになるのが夢だと言っていたが、今は象に夢中である。 
 お客様がエレファントホームに来ると、象使い衣装「モーホーム」を着て「ハロー! サッワディーカップ!!」と元気にご挨拶。そして、ペットボトルの水をお客様一人一人に差し出し、普段パパがやっていることの真似をする。
 幼稚園がないときは、一緒に山へ行くこともある。まだ1人で象に乗れるわけではないのだが、お客様がうまく象に跨ることができると、「オッケー! グーッ!!」と言って和ませてくれる。もうすっかり象使い気分である。
 相変わらずアットホームで象たちもマイペースに過ごしているエレファントホームだが、年末年始には本当に多くのお客様に足を運んでもらい賑やかだった。今年もエレファントホームらしさを忘れずに、1人でも多くの方に象使い体験をしてもらえるようにと思っている。どうか今年もよろしくお願いします。

(文・写真 by なお)
エレファントホームのお問い合わせ:elephanthome@hotmail.co.jp (日本語)

 

 

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市原ぞうの国 (209号)

カテゴリー: メータマンからCHANG通信(象使い) | 2011.12.25 Sunday

 

ショー
 今、日本へ一時帰国していて、久しぶりの日本での生活を楽しんでいるのだが、12月に入ると一気に寒くなってきた。まだ本格的な冬ではないが、タイで生活している私にとっては極寒だ。これは決して大げさではなく、真冬の一時帰国はやめようと決心する今日この頃だ。

 そして、メータマンの象たちへの恋しさは半端ではないのも事実だ。帰国をする度にあの自然の中にいる象たちに会いたい気持ちが日に日に強くなるのだ。  

 日本に帰ると妹と必ず行くのが、「市原ぞうの国」である。動物好きの妹は私が日本へ帰ってくると当たり前のように「ぞうの国いつ行く?」と私の都合を聞いてきてくる。 


食欲旺盛なカピバラ
 千葉県市原市にある「市原ぞうの国」は千葉県に住んでいても知らない人が結構いるのだが、ここには象がなんと9頭もいる。これは日本国内の動物園の中で最多である。象だけではなく、ここには動物が約100種類いるのだ。マーラ(テンジクネズミ科)やカピバラ(げっ歯類の中で最大種のネズミ科)やラバ(ロバと馬の混血)など、めずらしい動物が多くいる。


マーラはとても臆病者
 この動物園では「餌バケツ」を1つ500円で販売している。中にはキャベツやニンジン、バナナなどが入っていて、ほとんどの草食動物たちに直接その餌をあげることができるのだ。私と妹がぞうの国へ何度も行く理由はここにある。どんな動物にも餌をあげてしまう私と妹はすぐに餌がなくなってしまい、次から次へと餌バケツを買ってしまうのが玉に瑕ではあるが……。我が子に動物と触れさせたいと思った親御さんにおすすめの動物園なのだ。

 この動物園では、「ぞうの国」なだけあって、タイへ行かなくても象のショーが見られる。象がサッカーしたり、絵を描いたり、ダンスをしたりとタイでのエレファントショーを短く凝縮した感じのショーが楽しめる。しかも、象が描く絵は行く度にレベルアップされていて、花だけではなく木や森、山などを色使い上手に描いたり、漢字を書いてみたりもする。また、象の背中の上に乗って園内を1周したり、象の鼻にぶら下がって記念撮影したりするなど、少しタイ気分を味わうこともできる。

来年5歳になるゆめ花
 エレファントホームの象使いリーダーであるブーンさんは7年程前にこの動物園で象使いとして働いていた。メータマンの象たちが恋しくなり、たったの1年でチェンマイへ戻ってしまったのだが……。当時一緒に働いていて今でも動物園に残っている象使いさんたちも何人かいるので、私が会いに行くと会話もはずみ園内にいる象の近況なども聞いたりすることができるので楽しい。

 ブーンさんが働いていた頃、ちょうど「星になった少年」という市原ぞうの国の園長さん原作である映画の撮影をしていた。この映画はチェンマイでも撮影されたので知っている人も多いと思うが、園長さんの子供「哲夢」という少年が象使いになりたくてタイへ修行に行き、日本最年少の象使いになるというストーリーだ。最後には交通事故で天国へ行ってしまうという切ないシーンもあるのだが、これは実話だ。象たちの中でもランディーという象は深く悲しみ、告別式で涙を流したのをテレビで見た時は、ランディーと哲夢君の絆に感動した。そのランディーもぞうの国にいて、毎日元気にショーに登場している。

 哲夢君が描いていた夢を家族が引き継ぎ、「市原ぞうの国」開園が実現した。象を何頭も飼育するなんて大変なことだろうに、引退した象がのんびり過ごせるようにと「勝浦ぞうの国」までつくってしまうのだから、哲夢君は天国から喜んでいるに違いない。

 そして、今やぞうの国のアイドル的存在である2007年に生まれた小象のゆめ花ちゃんがショーでは大活躍だ。ダンスをしたり、絵を描いたり、あいさつまでもがかわいく人気者である。

 皆さんもぜひ日本へ一時帰国した時に行ってみてください。普通の動物園とは違う視点から楽しめるスポットですよ。

(文・写真 by なお)
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象の餌にも農薬!? (207号)

カテゴリー: メータマンからCHANG通信(象使い) | 2011.11.25 Friday

 

象さん
 タイの野菜の農薬汚染は問題となっていて、生野菜を食べるのに少し躊躇してしまうこともあるのだが、意外なことに最近では象が食べるものにまで同じような問題が起こっている。

 ある日、象使い1日体験でお客様と一緒にいつものルートで山を登っていた。昼食場所へ向かう途中の山道で、象使いのケイ君がその異変に気付いた。そして、すぐにカレン語で他の象使いたちに何やら大声で支持をしたのだ。いつも穏やかなケイ君が眉間に皺を寄せ不機嫌そうだ。すると、他の象使いたちは自分の象に「その草は食べちゃ駄目だ! 後で美味しいバナナあげるから、少し我慢しろ!」と必死だった。  

 ケイ君はすぐに私にもタイ語で教えてくれた。「誰かがこの山に農薬をばらまいたみたいだ。これを象に食べさせたら、お腹を壊してしまうよ。食べすぎたら死んでしまうぞ」と説明してくれた。ケイ君はエレファントホームの象使いのリーダーであるブーンさんの親友で、普段は草刈りなどエレファントホームの象たちの食事面をケアしている責任者だ。この日はブーンさんが不在だったため、彼がリーダーの代行で来てくれていたのだ。


2.	向かって右側一面が農薬によって黄色くなってしまった草たち。
 確かに農薬がついた草やとうもろこしを食べた象が死んでしまったという話は毎年聞く。メータマンよりももっと山奥に行くと、少し大きい象キャンプがあるのだが、そこでは象を半分放し飼い状態でお世話している。その象キャンプからブーンさんへ「象の様子がおかしい」と電話があり、一緒に駆け付けたことがあったが、ブーンさんでも手の施しようがなく、やるせない気持ちになったのを今でも覚えている。その時の象の死因も「農薬の大量摂取」だった。 

 こういう事故はなぜか雨季によく起こる。雨季に入ると象の食べ物が少なくなるので、お腹をすかせた象たちは空腹を満たそうと、そういった農薬付きの草などを食べてしまうのだと聞いたことがある。象は鼻も良いのだし、かしこいので農薬が付いているかどうかなんて簡単にわかるのではと私は思ってしまうのだが、エレファントホームの象たちを観察していると、そうではないようだ。鼻を使って器用に食べたいものだけを選び、口に運ぶことはできるが、ほとんどの象は農薬の有無についてはわからないのか、農薬付きの草も何の躊躇もなく食べようとするのだ。普段と同じ時間に同じルートで同じ場所で草を食べるわけだから、まさかその草が毒入りだなんて考えもしないのかもしれない。野生の象との違いがここにもあるようだ。 


3.	昼食場所にて。疲れ果てた象使いたち。
 象はお客様をのせていても、自分のペースで道草をくいながらゆっくりと山道を登って行くのだが、その日は農薬に犯された草になんの疑いもなく鼻をのばしては象使いに止められて、あきらめてとぼとぼと歩きだし、すぐにまた鼻をのばしては象使いに止められて……の繰り返しで、理由もわからない象たちは愚図りだすし、象使い達は必死だし、象の上に乗っているお客様は象の進行方向が安定しないので落ちないように精一杯で景色を見ている余裕はないし……という感じで大変な1日となった。 

 次の日、ルート変更を試みたが、やはり農薬に犯されてしまった草が多くあった。これからさらにそういった地帯が広がったら象をその山に行かせることができず、象も思う存分餌を食べられないでストレスがたまるだけだ。様々なマイナス面を考えれば考えるほど、象使いたちも気が気じゃない。 

 エレファントホームのボスであるサティエンさんは村を取り仕切る地区長でもあるので、象使いたちは、これ以上山に農薬をばらまかれない対策をとってもらうように彼に訴えた。いろいろな噂はたくさんあるものの、未だに誰が農薬を大量に使用したのかは不明だが、幸いにも被害者は出ず、最悪の事態はなく一安心だ。一刻も早く草が元通りになることを願ってやまない。


(文・写真 by なお)
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青い目の象 (205号)

カテゴリー: メータマンからCHANG通信(象使い) | 2011.10.25 Tuesday

 

メータマンからCHANG通信
 最近は象使い体験のお客さんが増え、スタッフも象使いも休む暇なしだ。象はというと……雨季は食べ物も少なくなり、普通一回り近く痩せると言われているが、今年のエレファントホームの象たちは毎日山へ向かうので大好物のバナナの木や葉などをよく食べているせいか全く痩せる気配がなく皆元気だ。

 象使いのリーダーであるブーンさんが先日またまた可愛い子象をエレファントホームに連れてきた。ブーンさんも最近はお客さんが増えてきているので地方に象を見に行ったりすることは控え、エレファントホームのお手伝いをしていたので、しばらくは新しい象さんは来ないのだと私は勝手に解釈していたので久しぶりの小象が来るという朗報に驚いた。

 ブーンさんが小象をトラックにのせてエレファントホームに連れてきた時、私はチェンマイ市内にいた。「なお、今日から小象がエレファントホームに仲間入りだよ! すぐに帰っておいで!!」電話の様子からブーンさんはかなり興奮状態にあることがわかり、私は少々違和感を覚えた。なぜならば、いつも象をエレファントホームに連れて来るときはブーンさんから私には何の連絡もないのだ。私はいつもブーンさんの弟であるジョー君(エレファントホームのマネージャー)から連絡を受けている。


2.	水浴びも大好き! 全然怖がりません。
 象をエレファントホームに連れて来ることはもはやブーンさんの仕事でもあり、ブローカーという仕事もこなしているので、普段エレファントホームにいるよりも外出をしていることが多いので、ある意味象への愛情というか思い入れを意識的に制限しようと壁を作っているところがあるように感じる。私はそんなブーンさんを見ていて、ブーンさんのような象使いも必要だとは思うが、いつも新鮮な目で象たちを見ていたいと正直思ってしまう。

 そんなブーンさんなのに今までになく興奮状態で私に電話をしてきている。そこで、私はすぐにその小象を見に行くことにした。エレファントホームに着いて、すぐに象舎に行ってみるとそこには多くの人がいた。皆で小象を指さしながらカレン語で何やら話している。私はカレン語は少ししかわからないのだが、「めでたい」とか「幸せ」とか言っている。 


3.	まつ毛が長くて青い瞳が映りません…
 その小象に対面した時、私は正直何の感情も抱かなかったのだ。とても痩せっぽちで片耳もちぎれていて、いつもエレファントホームにやってくるような母親のいない孤象と変わらないと思ったのだ。私には他の象と何が違うのかわからなかった。無反応の私を見たブーンさんはふぅーっとため息をつき、「なおは何もわかっていない。何年象と一緒にいるんだよ」と言ってきた。ブーンさんは本当に物事をはっきり言う人だ。穏やかで優しい弟のジョー君とは正反対の性格である。そう言えば、エレファントホームに旅行で同僚と遊びに来ていた時もブーンさんのその体育会系ぶりは発揮されていたなあと思い出される。それは今でも健在なのだが彼は本当に厳しい人なのだ。

「あの目を見てみろ」とブーンさんに言われ、よく見てみると、私の知っている象たちの茶色の瞳ではなく、青いではないか。透き通った青い目をしている。はじめて見たので違和感はあったがとても美しい。「この象はエレファントホームでずっと育てていこう。きっと幸運が訪れるはずだから」とブーンさんはとても優しい眼差しでその小象を見ながらつぶやいた。 

 エレファントホームにほぼ毎日お客さんが訪れ始めたのはこの頃からだろうか。「ヌン(一番)」と名付けられ、まだ2歳なのに皆と一緒に立派に仕事をこなしている。エレファントホームにいるわんぱく象とは違い、おとなしく優しくおっとりしている性格で癒し系のヌンは毎日よく食べ、今はプクプクしていて可愛らしい。今はすっかり象使いたちのアイドルでお客さんたちからもたくさんの愛情をうけてすくすくと育っている。

(文・写真 by なお)
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雨期の象使い体験 (203号)

カテゴリー: メータマンからCHANG通信(象使い) | 2011.09.25 Sunday

 

3.	泥を見つけて遊びたがるのはやっぱり小象たち  
 雨期に入ってしばらくすると、川の水が増水し流れも速いことから、様々な象キャンプの中のアクティビティーである筏下りができない日が続く。筏下りだけではなく、象乗りも同じで、川を渡り山の中に入っていくことができず、ルート変更せざるを得ない。そのため、雨期の象キャンプ近辺の車道を見ると、象のフンがボトボトと落ちているのを目にしたことがある人も多いのではないかと思う。象のトレッキングコースも村の住宅地へと変わるのだ。

 私達エレファントホームの1日体験プログラムもまた同じように、川を渡り森の中へと入る。なぜならば、その山奥に象が(人間も!?)泥浴びをする場所があるからだ。エレファントホームではこの「泥浴び」をメインイベントにしている。しかし、川を渡ることができなければ泥浴びスポットにたどり着けないのだ。雨期にはそのメインイベントの「泥浴び」ができないということもあって、去年までは雨期の象使い体験料金は20%オフにしていた。 


2.	ランチタイム。パッタイ美味しい!
 何か「泥浴び」を越えるような、象使い体験に来たお客さんが楽しかったと満足して帰れるようないい場所はないかと象使いを含めて皆で話し合った。実は、この話し合いは去年の雨期から出ていたのだ。しかし、一向に話が進まず、結局今年になっても何も結論が出ず、雨期が迫ってきても決まらなかった。いくら私が「もうすぐ雨期に入るよ! どうするの!?」と問いかけても、決まって返ってくる言葉が「ジャイイェンイェン!(落ち着いて!)」で、具体的に決めようという気配がこれっぽっちもない。象使いだけではなく、マネージャーのジョー君ですらいい案が思いつかないからなのか、この話題を避けていた。私ももう彼らと付き合って4年以上。いらいらしても何も始まらないのはわかっている。ここは目をつぶってだまって見守ることにした。

 雨期に入って2ヵ月位経った頃、ようやくいいプランが思いついたようで、ある日ぶっつけ本番でお客様をその新コースに連れて行くことになった。本来なら、まずはスタッフたちだけで象と山へ行き、ルート確認やら安全確認やらするのが普通だろう。さすがタイだ。もう何も反発する気も起こらず黙って従うことにした。


象
 エレファントホームを出発して、登りのコースは宿泊体験コースでも使うルートなので、何も問題なく、お客さんも楽しそうだった。雨期は山の色が濃い緑で象と人と自然がとてもいい感じでマッチして写真がきれいに撮れるのだ。暑期と乾期では目にできないような深緑を楽しみながら山を登る。 

 そして、昼食場所で皆でお昼を食べながら、ふと周りを見渡してみる。すると一緒にここまで登って来た象が泥を見つけて寝転がり泥遊びをしている。それもそのはず、雨期だと地面が湿っているところが多いし、水たまりもある。それを象が見のがさないわけにはいかない。泥浴びしているなんとも幸せそうな象の顔。それを見るお客さんたちもなんだか嬉しそうだ。

 昼食後、山を下って行くのだが、これが結構ハードだ。はじめて象に乗った人は怖いだろうと思う。というのもかなり急な下り坂だし、地面はぬかるんでいるので象も滑るし前のめりになる。そうすると、乗っている人間も自然に前のめりになるので上手く後に体重をかけないと頭から落ちそうになる。ここは象使いのフォローが必要となる。

 30分程で下りが終わり、また山登りが待っている。ここからは、お客さんも慣れたようで1人で上手く乗れるようになっている。そして、ゴールのエレファントホームまでは比較的緩やかな坂なので、お客さんも景色をみる余裕が出てくるのだ。

 こうして雨期に入ってから決まった新ルートもなかなか好評だ。私も車道に全く出ずに、山の中で象と一緒にトレッキングするこのルートが好きだ。

 (文・写真 by なお)
エレファントホームのお問い合わせ:elephanthome@hotmail.co.jp (日本語)

 

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最年少象使い!? (201号)

カテゴリー: メータマンからCHANG通信(象使い) | 2011.08.25 Thursday

 

オイシ
 象と共に生きてきたカレン族の文化も少しずつ変化してきている。昔と違い、親が象使いだったからといって、または家で象を飼っているからといって、必ずしもその子供が象使いになるとは限らない。もちろんその逆もあり、親が象使いではないのに子供が象使いになることを希望し象キャンプで働く少年もいる。

エレファントホームにいる象使いも学校で勉強したくないから象使いという職業を選んだ少年や、象使いという職業は女の子にもてないから普通に働くつもりだったがなぜか象使いとして働いている少年、また象使いとして働いていた父親の引退を機に、その象を託され象と一緒に象キャンプへやってきた少年などその背景は様々である。

残念ながらエレファントホームで象使いとして働く男の子のほとんどは象使いという仕事に誇りをもっているというよりは、「仕方なく象使いになった……」とか「気がついてみたら、象使いになっていた……」とか少し受け身的なイメージで象使いになっているようだ。確かに、象使いという職業は社会的地位も低く、薄給なのでよっぽどでない限り自ら希望してなりたい職業ではないのかもしれない。


象使いの服着て、準備万端でご機嫌なオイシ
 だが、エレファントホームに一人とてもやる気満々のちび象使いがいる。今年12月で3歳になる「オイシ」というエレファントホームのマネージャーであるジョー君の息子だ。以前、ここでも紹介したことがあるが、象がとても大好きな男の子である。

ジョー君のお父さんは昔象使いであったが、ジョー君は象使いではない。彼は大学で経済を勉強し、エレファントホームを立ち上げる前までは保険会社で働いていた。お父さんがお世話していた象は今チェンラーイにいて親戚の象使いが面倒を見ている。そんなジョー君の息子オイシは今では「僕は象使いだ! 象を立派に扱えるんだ!」と毎日幼稚園の先生に言っているらしい。オイシの幼稚園はエレファントホームから歩いて30秒の所にあるのだが、朝は時々象に乗って登校する。そして、帰りは象が迎えに来ないと駄々をこねる始末。

さすが男の子だけあって1歳になる前から車やバイクなどに興味津々で運転席に乗りたがっていたのだが、象に対してもその興味は半端なものではなかった。例えば、ジョー君が一日体験のお客様に象の乗り方などについて説明し、実演してみせる時には「オイシもパパと一緒に象に乗る!」と乗せてもらうまで暴れる。また、機嫌の悪い時など「象に会いに行こう!」と言うだけですぐに機嫌が良くなり象の歌を歌いながら象舎まで行く。


小象に乗るオイシ
 お客さんのいない日には象と一緒に山へ行く。象使いが象に乗らずに象の横に寄り添いながら山へ登っていたら、オイシもマネをして(同じようにできないのに)山登りをする。象使いが象の頭に乗っていたら、同じように象に乗って大きな声で「パイ!(行け!)」と叫びながら調教棒を振り回し象使い気分である。最近はオイシの後方に象使いを乗せず自分だけで象に乗りたいようで、周りが冷や冷やする場面がよくある。

どんなに象が頭を左右に振っても、早歩きをしてもオイシは全く怖がらずバランスも崩さない。どんなにヒヤッとする場面でもオイシは余裕で象の上に乗っているのだ。そして、時々調教棒を振り回す。それを見ている象使いたちは「オイシは僕よりも上手い……」と呟く。正直私も同感だ…。オイシの将来が楽しみだ。

  (文・写真 by なお)
エレファントホームのお問い合わせ:elephanthome@hotmail.co.jp (日本語)

 

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大好きな絵(199号)

カテゴリー: メータマンからCHANG通信(象使い) | 2011.07.25 Monday

 

象が大好きな絵理菜
 私が絵理菜と知り合ったのは5年程前のこと。まだ私が日本にいた時のことだ。突然彼女からメールがあり、「象が大好きで象に会いにチェンマイへ行ってきました。象使いからなおさんの連絡先を聞き連絡しました。ぜひ会ってお話したいです」という内容だった。とても積極的なメールだったのと、当時の私は何か象との接点を探していたというのもあり、即彼女の誘いに乗り、彼女とお茶したのが付き合いの始まりだ。


「鼓動」アジア象ではないがとても魅かれる大好きな絵の1つ
 実際に絵理菜に会ってみると、控え目で口数の少ない印象だった。とてもあのような積極的なメールを送ってきた当人には思えなかったが、話を聞いてみると美大生で絵を描いているという。私は昔から絵心が全くもってないからか、絵を描ける人には尊敬の念をずっと抱いてきた。彼女は動物をモチーフに絵を描き、特に象の絵を多く描いているというのだ。早速見せてもらうと、その作品はどれも素晴らしい。リアルな象の絵もあれば、象の原型をとどめていない独特な絵、さらには絵本に出てきそうな柔らかいタッチで描かれたものや小さな地球の上に大きな象がどかーんと乗っかっている遊び心のある絵までその幅は広い。全てに絵には共通して静かでおっとりした彼女らしい可愛らしさがあるのだが、ただ単に優しいだけではなく、人を引き付けるインパクトもある。
クリスティーナという絵理菜がこよなく愛する象をモデルにした絵
 私は技術的なことや細かいことは全くわからないが、絵理菜の絵を見るだけでこんなに胸が熱くなったのはお世辞でもなく生まれてはじめてだった。とくに、「鼓動」というテーマで描かれた絵は私が大好きな絵の一つなのだが、象を通していのちの強さとか大切なものの温かさみたいなものが実感でき、存在感のある絵だ。象が好きな人だけではなく多くの人を感動させる絵でないかと思うのだ。絵を見ていると、彼女が心の底から象が大好きだということ、その気持ちをこれからも大切にしていきたいということ、その絵を見た人にも幸せになってもらいたいと思っていることなどいろいろな気持ちが垣間見れ、ふっと純粋な気持ちになれる。

 絵理菜は年に1〜2回チェンマイに遊びに来ている。ソンクラーンにも毎年遊びに来て、象大好きメンバーの1人である。以前に紹介したことのある「まり」という子と絵理菜と私はチェンマイではもちろん日本でも時々会ったりするが、象の話は尽きることがない。この前も確か明け方の5時位までうとうとしながらも話をしていた気がする。傍から見れば象の話だけで盛り上がる私たちは異様かもしれないが、何の気兼ねもなく好きなだけ象のことについて語れる仲間は私にとって貴重な存在である。

四苦八苦して作り上げた象さんTシャツ♪後プリントもあり!
 そんな私たちが3人で協力してTシャツを作った。絵理菜がTシャツのデザインをし、まりがタグを作り、私が注文した。サイズなども全てオリジナルで首元や丈の長さなど細かいところまでこだわった。かなり時間がかかったが、イメージ通りで可愛く満足したものができ、象好きにも好評だ。今エレファントホームや日本のアジアン雑貨などで取り扱っている。今後は男性サイズもつくりもっと販売する場所を広げていく予定でいる。もちろん、利益の全ては象のために役立てようと計画中だ。

 エレファントホームの立ち上げの時にも、象使い衣装にロゴマークを絵理菜に描いてもらった。とても可愛いロゴでお客さんからもたちまち人気になった。そんな多くの人をハッピーにさせる絵をこれからも描き続けて欲しい。絵理菜の今後の活動・活躍がとっても楽しみだ。

 (文・写真 by なお)
エレファントホームのお問い合わせ:elephanthome@hotmail.co.jp (日本語)

 

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